蠱惑的で愛おしい存在というものがある。フェティシズムを刺激するような。私にとって『ロング・グッドバイ』はそんな存在の一つになっていた。あからさまなタイトルも、ギムレットというカクテルも、顔面の傷も、メキシコの地も、すべてひっくるめて胸をぐっと握り潰す。それこそが真の芸術だと思う。

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