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再び、愛の美しさを観る

平日の夜には珍しく、映画を観た。

『ニュー・シネマ・パラダイス』

映画に関しては何度も何度も好きなものを繰り返し観てしまう。


筋はほとんど頭に入っている。結末も知っている。それでも案の定、ラストシーンで、不思議なほど涙が溢れて止まらなかった。

人間の愛は、なんて美しいのだろう──。

“その”瞬間の悦びの表情はいつも私を涙に誘う。

「人間はこんな風に誰かを愛せるのだ」ということ。その事実がたまらなく美しくて、たまらなく愛おしい。

「こんな愛がうらやましい」とか「自分にもこんな頃があったなぁ」といったような憧れや懐かしさは一切なく、ただ、ただ、美しさが直接心臓に触れ、愛おしさがまっすぐに涙を流させる。


私が最も好きな映画でありながら、最も理解できない映画でもある。このラストシーンを観て抱く感情はこれ以上言葉で説明できない。

なぜそんなにも愛が、恋が、人の感情が、ひいては人という存在そのものが、美しく見えるのか。悲恋でも悲劇でもないものを目にして、私はなぜこうも泣いているのか。

理解できぬままに、この数分間を消耗してしまわぬよう心に留め置いて、またはじめから音楽を聴くのだった。



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