マガジンのカバー画像

【読書】のマガジン

147
読書感想文、読書に関連する投稿のみを集めています。読書の記事のみにご興味のある方はこちらをフォローしてください。
運営しているクリエイター

#村上春樹

読書感想文一覧【随時更新】

noteに投稿した読書感想文が増えてきたので、自分の整理も兼ねて一覧にしてみました。随時更新します。脱線している場合も多いですが、気になる本があればぜひ読んでみてください。 2022年■アミール・D・アクゼル『「無限」に魅入られた天才数学者たち』 ■有元葉子『レシピを見ないで作れるようになりましょう』 ■ジョージ・オーウェル『一九八四年』 ■ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』 ■日高敏隆『ネコの時間』 ■加藤文元『人と数学のあいだ』 2021年■志賀直哉『暗夜行路』

「絶望があり幻滅があり哀しみがあればこそ、そこに喜びが生まれるんだ」

■村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉』 「絶望があり幻滅があり哀しみがあればこそ、そこに喜びが生まれるんだ。絶望のない至福なんてものはどこにもない」(P.220) ◎ 上巻に引き続き前置きが長くなってしまいそうだけれど、この作品に対する賛辞を並べる前に少しだけ書いておきたいことがある。 長い間、具体的にいうと10年近くの間、村上春樹という作家が好きだとは表立って言えずにいた。彼の作品を、長編・短編・エッセイ問わずほぼ全て読んでいるにも関わらず─

「想像というのは鳥のように自由で、海のように広いものだ。誰にもそれをとめることはできない」

■村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉』 「想像というのは鳥のように自由で、海のように広いものだ。誰にもそれをとめることはできない」(P.234) たしか二十歳前後のころ、初めて読んで感銘を受けた物語だ。それから10年以上、再読することがなかった。 最近、古今東西のさまざまな文学に触れるようになり、私の中で『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の、ひいては村上春樹という作家の地位が下がりはじめていた。 「あの頃は感動したが、成長した自分の