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【読書】のマガジン

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2021年8月の記事一覧

数学と情緒

■岡潔『春宵十話』 著名な数学者であった岡潔の随筆集。数学者が書いた本を何冊か読んできたけれど、いずれも(おそらく世間一般的なイメージとは違って)言葉が簡潔でわかりやすいという点に感銘を受ける。頭の中がスッキリしているのかな、という印象だ。 岡潔の言葉は、とりわけわかりやすい。……というか、あまり数学者っぽくない。 記事タイトルにもあるように、岡潔という人は「情緒」を大切にしていた。日常生活、人間教育、そして数学にも通ずる「情緒」というもの。その思想が前面に出ている一方

「詩人はつねに有限なものを愛する」

■G・K・チェスタトン『木曜日だった男 一つの悪夢』 哲学者は時に無限なものを愛するかもしれない。詩人はつねに有限なものを愛する。彼にとって偉大な瞬間は、光の創造ではなく、太陽と月の創造なのだ。(P.304) 海外の古典ミステリーを読むうちに、「チェスタトン」という名前を頻繁に目にするようになった。 「どうやら『チェスタトン』という作家がミステリー界における重要人物らしいぞ!」……とAmazonで検索するも、どれを選べばいいのか今ひとつわからず、長らく手を出せずにいた。