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【読書】のマガジン

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2020年9月の記事一覧

アリストテレスの慎重な「倫理学講義」の価値|地から図を描くこと

■アリストテレス『ニコマコス倫理学(上)』 この本を読む上で、一つだけ念頭に置くべきと思うことがある。それは、ここに書かれた内容は、アリストテレスが(ギリシャの)若者に対して行った倫理学の講義である、ということだ。 「タイトルを読めばわかる」と思われるかもしれない。……がしかし、必要以上にそのことを意識したほうがいいと私は感じた。 つまり、これはアリストテレスといういち哲学者が世間一般に対して書いたものではないし、「私はこう思います!」と声高らかに伝えたいわけでもない。

「われわれはむしろ、白刃をさげて敵の前に立つ剣士に近い」

■河合隼雄『ユング心理学入門』 (われわれは)もはや、落下するリンゴを立って見ているニュートンではありえない。われわれはむしろ、白刃をさげて敵の前に立つ剣士に近い。 ー 7ページ (一つ前の投稿を読むと何一つ効果がなかったことがわかるのですが……)心理学に突っ込みかけた足を抜くことは容易ではなく、結局ある程度タイプを分解し、その元祖たるユング先生の思想まで読むに至って、やっとこさ落ちついた……のかな?笑 この本についてまず一言感想を述べるなら、「安い」。倍はとっていいで

タイムイズマネー、人生は有限なり。

■セネカ『人生の短さについて 他2篇』 手の中にあることが確実なものなら、それがいかにわずかでも、やりくりするのはたやすい。しかし、いつ尽きるともしれないものは、より慎重に守らなければならないのである。 ー 43ページ 「人生の短さについて」「母ヘルウィアへのなぐさめ」「心の安定について」の三作が収録されている。 ストイックの語源ともなっている「ストア派」に属するだけあって、禁欲的な思想のセネカ先生。全体として素直な感想は、「そこまでストイックになれないかな〜」でした。