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「八岐の園」を読み返した。もう紛れもなく敬愛する作家と言ってしまっていい。その哲学は難解だが(たぶん理解できてない)、文章自体はとても簡潔かつ明解。無駄なく、誰の真似でもないプロット。これが芸術なんだな。
■アガサ・クリスティー『三幕の殺人』 物語を読みながらずっと拭えない感覚があった。この書かれた物語自体が、ナレーション自体が、物語の中の物語のように感じられたのだ。 つまり、私は「アガサ・クリスティ著『三幕の殺人』を読んでいる」のではなくて、「アガサ・クリスティ著『三幕の殺人』の中に書かれた、チャールズ・カートライト演出【三幕の殺人】という芝居を見ている」という感覚だ。 一枚モヤがかかったようなその朧げな光景というか。『幻の女』を読んだときと少し似ている。 それは、こ
ここ数日、ボルヘス『伝奇集』特に「八岐の園」が、脳裏に繰り返し浮かぶ。少しずつズレている不可思議な世界、切り詰められた言葉、鮮やかな結末。こんなにも美しく無駄のないフィクションがあるだろうか?文字列からのみ浮かぶチェスを語るシーンが、とてもとてもリアルで、夢と現実が混ざりそうだ…
■エラリー・クイーン『オランダ靴の秘密』 時間がなさすぎて読むのにいったい何日かかったことやら。笑 地味ではあるけれど、いつも通りの整然とした推理でした。クイーンの小説は(私が推理ができないだけかもしれませんが)、読むと「なんだか単純だなぁ」という推理が多くて。ババーン!まさか!みたいな感じが少ないから、アガサ・クリスティなどに比べてしまうとエンターテインメント性がやはり低い。でも、ズレのなさ、強引さのなさが魅力。地味ですけどねぇ。 クナイゼルという研究者とエラリーが出