飴の話

先生の机の上には飴の入った缶がふたつあった。レモンとオレンジの、紅茶が入っているようなおしゃれな缶で、中には粉のいっぱいかかった高そうな飴がいくつか入っていた。
先生はいつもあたしに「レモンとオレンジどっちにする?」と聞いた。あたしはいつもレモンを選んで、先生がいつもオレンジを食べた。
飴はいくつかしか入っていないのに、なくなることも増えることもなくて、いつも、いくつかだけ入っていた。
28.6.25

#エッセイ #コラム
#はんぶんフィクション

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?