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電力センサーを試してみた

執筆者:Roger Sato, Customer Project Manager at MODE

電力センサーってどんなセンサーなの?

今回試してみたのは、泰興物産株式会社が製造・販売しているクランプ式の電力センサー、C3-lessセンサーです。機器につながっている電源コードにクランプする事で、漏れ出ている微弱電波を拾って検知し、電流値等の検知結果を無線通信でとばしてくれます。

C3-lessセンサー

また漏れ出ている微弱電波を使うので、検知~送信まで電池いらずで行ってくれる優れものです。センサー利用にあたっては必ず、電源をどうするか考慮する必要があります。電池を使う場合でも、その容量が小さければ、数か月単位で交換しないといけませんし、大きければ、センサーの大きさや価格に影響してしまいます。電池いらずというのは、IoTを実現する上でとても重要な特徴です。

どんな事に使えるの?

例えば、製造工場では様々な装置が稼働しています。各装置が稼働し、それらが有機的に連動して製造しており、どれか1つでも止まってしまえば、工場全体の製造が止まってしまいます(もちろん例外はありますが)。そんな製造工場において、各装置が動いているかどうかを監視する事はとても重要で、様々な工場でその取組がなされています。

しかし古い製造装置の場合はどうでしょう?その装置の稼働状態を取得したいと思っても、装置が古くて改造できない、改造できる人や会社がもういない、という話をよく聞きます。また、今更お金をかけられない、という理由もありますよね。そんな時に、装置を改造せず、後付けできて、かつ価格の安いこのセンサーが重宝するのです。

最近では、製造工場の装置稼働監視だけでなく、工事現場の排水を行う水中ポンプの稼働監視(西松建設様事例)、冷凍・冷蔵庫の監視、養魚場のポンプやブロワーの稼働監視に使ったりもしており、用途は様々です。

錦鯉養魚場とポンプ
監視用ダッシュボード

まずはテストしてみた

センサーを入手して、実験してみました。私は電気の専門家ではないので、詳しくは分からないのですが、直流は測れないそうで、このようにセンサーを取り付けます。

家庭用の電気機器では電力が弱いため、上の写真のようにコードを何重にも巻いて、検知電力をあげています。

実際の設置はこんな感じです。

センサーはどんな仕様なの?

こちらは泰興物産株式会社さんに聞いた内容です。

無線で飛ばしてくれた情報ってどうするの?

今のところ「測ってみただけ~」ですよね。このセンサーはTWELITE(無線の一種で2.4GHz帯の電波)というプロトコルで検知結果を送信してくれるので、その情報をGatewayで収集して、クラウドへ送信し、ブラウザで可視化します。ここまでする事で初めて情報(機器の稼働状態)を活用する事ができますね。

MODEのクラウドサービスはこのセンサーに標準対応していますので、数分で可視化ができます。(ここは宣伝です^^)

また、センサーからの情報が収集できない時には、アラートを発報する機能がありますので、メールをとばしたり、パトライトを回したり、別の機器へ信号を送ったりといった事ができるようになります。

ちなみにC3-lessセンサーのTWELITE版は、数メートル~十数メートルくらいと、その電送距離は比較的短いです。

十数メートルじゃ使えないんですけど!?

TWELITE版よりも電送距離が長いLoRa版のセンサーもあります。LoRaは920MHz帯の電波を使う通信プロトコルで、電送距離が見通し約1キロメートルくらいといわれています。敷地の広い工事現場などで利用する場合には、とても重宝しますね。

見通しって何?

よくメーカーのホームページなどでは「見通し何メートル」という記載を見かけます。これには深ーい意味がこめられていて注意が必要です。これは見通しが良い場所、つまり障害物や電波干渉などがない条件なら、という意味で、要するに「電波にとって最適な状態の場合の最大電送距離」と思った方が良いです。

実際にどれくらいの距離まで電波を拾えるか隅田川の河川敷でテストしてみました。

これはBluetoothのセンサーをテストした時の写真なので少し違うのですが、河川敷横のビルから様々な電波がでていて、これが干渉して、めっちゃ邪魔をしてくれました。ちなみに次の写真は私の自宅近くの広場でのもので、都会と田舎で、こんなにもとんでいる電波には差があります。

それではLoRaはどうなの?

少し話が横にそれましたが、LoRaならどれくらいの距離で電波を拾えそうか実験してみました。

トンネル入口から約30m離れた駐車場に停車し、送信機を固定。もう1台の車に受信機を設置し、約40km/hで走行しながら離れていく、という実験をしてみました。5回ほど実験を繰り返してみましたが、500m付近まで電波が拾えていました。この時は、トンネル工事現場で300mくらいまで電波が飛ぶかどうかを知りたかった為、結果は良好でした。この実験は、実運用トンネルで行ったので、走行車両はありましたが、工事車両や工事機器といったノイズを発生させるものは少ない環境だったかと思います。また40km/hで走行しながらの実験なので、こちらは実環境の方が有利かなと思われます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?C3-lessセンサーのような電力センサーを使って何ができそうか、イメージが湧いてきましたか?非常に用途が分かり易く、色々な場面で活用できそうですよね。私も一番大好きなセンサーです。

尚、検証や執筆にあたり、下記サイトを参考にさせていただきました。どうもありがとうございました。