35.自分に優しくなる(2023/9/24)

朝、カーテンを開けると気持ちの良い青空が広がっていた。窓を開けるとひんやりと秋の空気。思っていたより早く目覚めることができたので、今日は前々から行きたいと思っていたAssistens Cemetryに行くことにした。

Assistens Cemetryは、アンデルセンやキルケゴールが眠る墓地。墓地といっても公園のような緑豊かな場所で、ランニングや散歩コースとして人々の憩いの場になっている。
寮から自転車で30分ほど、朝の新鮮な空気をいっぱいに吸いながらマイペースに。中心地から少しだけ離れた場所にあるので、落ち着いた雰囲気。墓地の敷地内に入ると、ジブリの世界に迷い込んだような感覚があった。あまり緑が多くないコペンハーゲンの中心地を通ってきたので、突然大量の緑に囲まれて不思議な感じがした。とても背の高い木々が生い茂り、芝生の間に幾筋かの小道がつながっている。
それにしてもどうしてこんなに木が大きいのだろう。屋久島で屋久杉を見るために森を歩いたときに見た木々を思い出した。1760年に作られた墓地なので、300年以上の歴史がある。それだけ長い期間をかけて成長したということなのだろうか。それとも地中に埋まる人々のエネルギーみたいなものが木々を大きくするように作用しているのだろうか。


公園のような墓地とはいえ、やはり墓地ならではの静謐さ、厳粛さというものはあって、死の気配を感じる。歩き回っていると、結局人は死んで土に還って行くのだという事実がすっと私の中に浸透してくる。アンデルセンもキルケゴールも、確かにこの世に存在して、名を残し、ここに埋められている。その場所を、平凡な日本人の私が訪れている。

墓地の近くに人気のあるパン屋さんがあり、そこで朝ごはんを食べようと思っていた。ゆっくり墓地を歩き回ってお腹がすき、パン屋さんに向かうとちょっとした行列ができていた。でも適度に席は空いていて、店内でゆっくり過ごすことができた。墓地で感じた死の気配の余韻に浸りながら、私にとっての生死の意味を考え、ちょっと泣きそうになったりちょっとした発見があったりもして、自分に優しくしようと昨日に引き続き思った。

クロワッサンキューブ。
中にピスタチオクリームがぎっしり詰まっていておいしかった

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