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HIV検査が陽性だった場合、本当に感染している可能性はどのくらい?

「HIV検査で陽性の場合、本当にHIVに感染している可能性はどのくらいですか?」という質問は多いです。確かに、気になりますよね。

この場合の「HIV検査」というのは、「スクリーニング検査」と呼ばれる検査のことを指しています。HIV検査は通常二段構えになっていて、最初にスクリーニング検査を行って、HIVに感染している疑いのある人を見つけます。そして、感染の疑いのある人を対象にさらに詳しい検査をして、HIVに感染していると診断するのです。スクリーニング検査は感染の疑いがある人を見つけることが目的の検査なので、「本当はHIVに感染していないのに検査が陽性になってしまう」人が少なくありません。言い換えれば、「スクリーニング検査が陽性だったけど詳しく調べたらHIVに感染していなかった」という人はたくさんいます。

病気にかかっていないのに検査で陽性になることを「偽陽性」と呼びます。今回の話では、HIVに感染していないのに、スクリーニング検査で陽性になってしまう場合です。

HIVのスクリーニング検査で陽性が出る確率は、1,000回検査して2、3回とか、大体そのくらいです。分かりやすく、1,000回中3回としておきましょう。

では、10,000人の中に、HIVに本当に感染している人はどのくらいいるのでしょうか。例えば、保健所にHIV検査を受けに来る人たちの中で、本当にHIVに感染している人の割合は、約0.3%。つまり、1,000人中3人だそうです(http://www.hivkensa.com/question/)。

ということは、保健所でHIVのスクリーニング検査を1,000回行うと、偽陽性が3人、本当の陽性が3人出ることになります。つまり、1,000人中6人で陽性が出る計算です。

一番最初に書いた質問は、「HIVのスクリーニング検査が陽性になった場合、本当にHIVに感染している確率はどのくらいですか」というものでした。

スクリーニング検査でHIV陽性になった人は6人で、このうち本当にHIVに感染している人は3人ですから、質問に対する答えは、3/6 = 1/2、つまり、50%です。

ただし、これまでの内容で分かるかもしれませんが、この結果は「スクリーニング検査の精度」や、「誰を対象に検査を行うか」によって変わってきます。常に50%というわけではない、ということです。あくまでも目安です。ただ、同じような状況であればこの数字が極端に変化するということはほとんど無いでしょう。

逆に、スクリーニング検査で陰性の場合はどうでしょうか。陰性の場合は分かりやすくて、十分な時間が経ってからスクリーニング検査を受けて陰性であれば、「感染していない」と判断することができます。

「十分な時間」が重要で、感染からあまり時間が経っていない時期に検査をすると、「本当は感染しているのに検査結果は陰性」ということがあります。これを「偽陰性」と呼びますが、偽陰性が出る可能性がある期間のことを「ウインドウ・ピリオド」と呼びます。HIVのスクリーニング検査では、このウインドウ・ピリオドは2〜3ヶ月です。つまり、感染の機会から2〜3ヶ月以内は、スクリーニング検査を行っても感染を見逃してしまう場合があるわけです。ですので、HIVの検査を行う場合には最後の心当たりからどのくらい日にちが経っているかの確認が重要ですし、十分な時間が経っていない場合には、後日もう一度検査を受ける必要があります。

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