一周忌

どうも俺です

1年前のこの時間の俺は深い眠りについている

覚醒させる薬が切れ、2週間の寝たり、寝なかったりの不規則な生活のせいで、俺の限界はとうにきていた

もう二度とやらないと二人で誓い、売ってくれる人の番号を消し、道具も捨てる準備も出来ていた

明日は休みだから、2人でゆっくりしようという話をしていた気がする

その薬は時間が過ぎるのが早く感じる、というより記憶が途切れ途切れになるせいで早く感じる

脳を壊していく

このままだと捕まるか、死ぬかのどっちかだと思い二度とやらないようにしようと話した

彼女はその日の2日前、俺が仕事に行っている間に遺書を書き、自殺未遂をしてた

怖くて出来なかったと言っていた

遺書を読み返して、こんなの書いて恥ずかしいと笑ってた

俺はその縄をとりあえずロフトの上に投げ入れた
捨てればよかったが、冷静な判断は当時の俺の脳ではもはや出来なかった

彼女は希死念慮を抑えるために薬をやっていた

よくその薬は寿命の前借りと例えられるが、先延ばしでも、一日でも長く生きたかったんだと思う

切れるとまた死にたくなるので、回数と量がドンドンと増えていった

もはや死より魅力的なモノがこの世には残っていなかった

首を絞めてくれと、その日は言われた

俺は疲れてすぐにやめてしまったが、その後自分の着ていたパーカーの紐で自分で締めていた

反射で緩めてしまうので死ねないのが分かっているが、それでもそんなことはして欲しくなく、思わず怒鳴って頭を叩いた

彼女は一人で泣いていた

俺は明日になったら謝ろうと、罪悪感を胸にしまい寝た

少し話を戻す

床についたときに、彼女は自分の半生を語った

なぜこうなったのか、なぜここまでになったのかを順に話していた

全部聞いたことがあったが、いっぺんに話すことはなかったので不思議だった

朝になり、目が覚める

虫の知らせというのか、急に飛び起きた

隣に寝ていたはずの彼女の姿がなく、嫌な予感がしたので狼狽しながらリビングにいくと、すでに彼女は死んでいた

時刻は9時ちょうどだった

叫びながら紐から下ろそうとしたが、ハンギングノットだったため、不可能だった

包丁で紐を切ると、糸の切れた人形のように頭から床に落ちた

反射がなく、すごい衝撃だったにも関わらずピクリとも動かなかった

もう心停止しているのがわかっていたため、すぐに救急車を呼びながら心肺蘇生をする

心臓マッサージをするたびに、肺から押し出される空気が喉を通り声となった

それが最後に聞いた声だった

涙が止まらなく、どうしたらいいのか分からず、恐らく警察も一緒に救急隊と来るだろうと分かっていたので、使用していた薬の道具と財布と携帯をリュックに入れた

まだ暖かく、恐らく30分、いや10分でも早く俺が起きていたら死ななかったのかもしれない

前回の未遂のときに紐を捨てておけばよかった

もっと俺が首を絞めておけばよかったのかもしれない

俺がもっと優しかったら

彼女の母親や共通の友達に病院で連絡し、延命措置を受けている間、警察から事情を聞かれていた

トイレに行くといい、自販機のゴミ箱に道具を捨てた

外にタバコを吸いに行くと現実感がなく、どこかフワフワしていて、自分の身体が半分になったような感覚がしていた

14:22に死亡宣告された

俺はぼんやり「2時22分だからにゃんにゃんにゃんだな」と考えながら、「はい」と繰り返し言っていた

俺も彼女もねこが好きだった

遺体を見ると、眠ってるようだった
首のアザがやたらと痛ましかった

「最後の挨拶をしてくれ」と言われたが、何が最後なのか分からず、頭だけを撫でた

「もういいんですか?」とかなり驚かれたが、「もう大丈夫です」と答えた

その後現場検証が入った

2日前の遺書も捨てずに残していたし、前日に半生を語ってくれたおかげでかなりスムーズに終わった

このことも計算済みだったんだと、話しながら気づいて泣いた

俺になんの疑いが持たれず、なるべく迷惑がかからないように彼女は生を諦めた

その後、彼女の親御さんが到着し、二人で話した

今後、引越しするのであれ何にしろかかる費用は私が払います
一緒にいてくれてありがとうございます
幸せだったと思います

親御さんはそう話していた

守れなかったし、救えなかった俺に対してそう言ってくださった

ご実家が離れていたため、火葬は俺が1人で済ませることになった

病気で外出も叶わず、久しぶりに見た化粧は死化粧だった

呼びかけたら起きるのではないかと思うほど、安からな顔をしていた

俺は以前から頼まれていた、火葬の時は一緒に焼いて欲しいと言われたものを棺に入れた

食べて欲しいと生前言っていたので、遺骨を少し頂き家で食べた

1週間ほど舌に苦味が残っていた

今日で1年経つが、何かしらの睡眠導入剤がないと寝れなくなってしまった

直接的な死因は俺が寝ていたことにあると、自責の念が強く、3ヶ月ほど起きるたびに思い出し、泣いていた

今はかなり安定しているが、相も変わらず寝ることが出来ない

早く病院に行くべきだと思っているが、保険証を持っていないため行けていない

それでも何とか生きている

彼女と書いたが、今日を境に彼女と呼称することはしない

今の俺には新しい彼女がいて、生活を支えてもらっている

不義理に見えるかもしれないが、1人でいると気が狂ってしまうと思えるほど夜が辛くなる

元カノは俺に3年半かけて呪いをかけた

1年経つが、未だに解けていない
が、少しずつだがマシになっている

支えてくれる人が幸いにも周りにたくさんいるため、ここまで生きてこれた
比喩ではなく、本当にそう思う

俺はその人たちのために死ぬ訳にはいかないし、生を諦める訳にはいかない

死後の世界というのがあるのかは、死んだことがないので分からないが、せめて安らかに眠ってほしい

貴方と過ごした3年半は人生において大事な宝物であり、ダメージを受けた

最近ようやく、死んだことが理解出来てきた

言葉だけじゃなく心がだ

いい思い出も悪い思い出もたくさんあるが、後悔はなく今も俺の心の中にいる
忘れることは無い

すぐ新しく彼女作ってごめんなさい
でも、どうにか幸せに生きたいと、今の彼女と模索中です

きっと向こうで怒ってるだろうけど、不幸を願う人では無いのは分かっているので、なんとかこれからも頑張っていきたい、頑張って生きたいと思ってるので、見守っててください

感情に任せてスマホをポチポチして、変な文章書いてすみませんでした

次は頑張ります

無理かな?

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