見出し画像

私とインバウンドと2022

こんにちは!全国通訳案内士のリサです。2022年はインバウンド業界にとって変化の多い1年でした。みなさんは、どのように2022年を振り返りますか?今日は、変化の多かった2022年の思い出と、2023年にやりたいことについて書いていきます。

4月、ひとりぼっちのお花見ツアー。

2022年の大阪城と桜

2022年4月1日午前7時。咲き誇る大阪城の桜を、数百人の外国人たちと一緒に眺めていました。Beautiful! Gorgeous! やまない歓声が聞こえてくる。「来年の桜は、あなたたち(外国人旅行者)と実際にここで見られるといいな」という私の言葉に、たくさんのハートマークやいいねマークが飛んできます。

そう、これは対面のお花見ではなく、バーチャルお花見。カメラレンズとインターネット回線を介して届ける満開の桜と、視聴者たちの声を受け取るチャット画面のコミュニケーション。観光目的の入国ができなかった2022年前半、ガイドと外国人旅行者は、バーチャルで繋がるしかありませんでした。何百人もの人に見守られながら、私はたったひとり、大阪城でお花見ツアーをしていたのです。

バーチャルツアーに出来て、対面ツアーでは出来ないこと。

天橋立でバーチャルツアー

寂しかった一方、バーチャルツアーにしかできない事もありました。それは参加人数が(サーバーが耐えうる限り)上限なし、ということ。
対面のツアーでは一回のツアーでお会いできる人数は少なく、私の場合は、多くても9人までの人数制限を設けています。一度に数百人のゲストを連れて街を歩くのはかなり難しい。これはバーチャルだからできること。特に午前7時はアメリカ大陸の夕方、ヨーロッパの国々の夜。多くの国からの視聴者と繋がれる時間帯です。世界中の人々と繋がって時間を共有することができるのがバーチャルツアーの楽しいところでした。また、金銭面や身体面で日本に旅行に来ることが叶わない方にもたくさんお会いすることができました。対面ツアーだけでは絶対にお会いすることがなかった方々との出会い。今後もバーチャルツアーは続けていきたいと思っています。

満開の桜と天橋立

また、バーチャルツアーには視聴者の移動時間がないので、実際に行くには移動時間がかかるような遠方にお連れすることもできました。例えば個人的に大好きな天橋立は、実際に行くとなると往復4時間かかるので、京都で過ごす日数に余裕のあるゲストしかお連れできないのですが、バーチャルツアーでは移動時間ゼロでみなさんに絶景を楽しんでもらうことができました

5月、世界が見守る日本の鎖国

世界中で旅行の解禁が進む中、日本の「鎖国」が終わるのはいつか?世界の旅行業者たちは固唾を飲んで見守っていたに違いありません。世界一大きなガイドと旅行者のマッチングサイトのひとつ、ToursByLocalsの営業の方とお話する機会がありました。彼らのウェブサイト上では日本の都市を検索するキーワードが急上昇していました。日本まだ旅行者が入国できないことで大きな機会損失をしていると同時に、未来の潜在需要に対して大いに期待していると伝えてくれました。

そのミーティングの最後に言われた言葉が印象的でした。
「外国人旅行者の受け入れが再開したヨーロッパでは、今まで旅行したくてもできなかった人たちの思いが爆発して大変な旅行者の数になっている。あなたたち(日本)も、いずれそうなるよ。
そんな嬉しい言葉を聞いても、どこか空虚な気持ちが拭えませんでした。「来年こそは、終わるかもしれない。」「この波が収束すれば、戻ってくるかもしれない。」そんな根拠のない期待に何度も裏切られ、二年以上に及ぶこの鎖国状態が続いた結果、いつしかインバウンドが戻ってくることを期待することすら恐れていた気持ちがありました。

しかし、そんな期待を逆に裏切る、水際対策緩和の知らせは突然やってきました。インバウンドが、ついに帰ってきます。

7月、インバウンドが帰ってきた!

金閣寺にてアメリカ合衆国からのゲストたちと。

インバウンドが帰ってきた!そう感じ始めたのは2022年7月初旬。政府が初めて条件付きで訪日外国人観光客の受け入れを再開した6月1日から約1ヶ月後のことでした。
旅行会社を通して全工程ガイドの添乗及び健康管理が求められた当時、外国人旅行者にとって日本を旅行する費用負担はとても大きかったです。
それに、ビザ発行までに旅行者が行う書類提出の行程も大変でした。それでも一目散に日本に駆けつけた方々がいて、ガイドの私が驚かされました。二年越しの卒業記念旅行や、結婚周年記念旅行など、大切な記念日を日本でお祝いしたかった方々が、数年遅れてやっと実現できた!と喜ぶお顔が見られました。中には、ずっとユニーバサルスタジオジャパンの「スーパー・ニンテンドー・ワールド」に行きたかったお子さんを連れてきたお父さんも。

10月、ついに開国!みんな、日本へGO!

2022年10月11日、ビザなしで訪日外国人が入国できるようになりました!これはコロナ以前とほぼ同じ条件で入国できるということ。( ワクチン接種などの条件が満たされない場合はまだ出国前PCR検査などが必要)
上記のように、Twitter上では大喜びする人々や、速攻でフライト予約をする人々の様子が見られました。

そして、10月といえば秋。秋の日本といえば、そう、紅葉です。今ならまだ日本の紅葉に間に合うかも!と思った多くの日本ファンから、一気にメールやSNSでのお問い合わせが急増しました。信じられないけど、本当に開国したんだという喜びが、じわじわと込み上げていました。
と同時に、ビザが不要になったためガイド添乗という条件も不要になったことで、既存の予約がキャンセルになったケースもあり、その処理に忙しくもありました。

一生に一度、最高の京都。

ひと気のない伏見稲荷大社(!)

規制が緩和されたとはいえ、まだ入国者が急増する直前だった10月の京都は最高でした。秋晴れの空の下、最高の気温の中、普段なら絶対に見ることのできない「人の少ない」絶景。映える写真が撮り放題だし、何を食べるにも並ばずに済む。こんなラッキーなことはもう一生ないかもしれないね、と、お客さまと一緒に幸せを噛み締めて時を過ごしました。

11月、混雑する紅葉の京都と観光地の嬉しい叫び。

紅葉の清水寺はいつもに増して神々しい

紅葉がピークを迎えた11月下旬の週末、京都や大阪ではコロナ前に戻ったかと錯覚するようでした。外国人旅行者、日本国内の旅行者、修学旅行生などがごった返す清水寺の参道道頓堀の人気たこ焼き店に長蛇の列。市場のお店やさんも以前より早くお店を開けたり、シャッターがずっと閉まっていた商店街にどんどん新店舗がオープンしたり、観光地の受け入れ体制もコロナ前のように充実してきました。
でも、タクシーの運転手さんたちが口をそろえて仰っていたのは「まだまだ、序の口。中国からの観光客が日本に入国できるようになったら、この倍になるで。」
そう、長らくゼロコロナ政策を続けてきた中国からは、まだ日本への観光入国ができなかった今年の秋。今後、中国のゼロコロナ緩和で予想される混雑に、軽く目眩を覚えつつ、目元はにっこり優しい眼差しの運転手さんたちでした。
そんなタクシー運転手さん含めた街全体が、急激に増えた観光客に忙しく対応しつつも、嬉しい叫びを発していたように見えました。

2022年の最も嬉しかったこと

2022年の最も嬉しかったことの一つは、観光業界のお知り合いや仲間が増えたことです。例えばTokieさんは、2022年にお友達になった通訳案内士さんのお一人。ポッドキャスト番組に出演していただきました。
お知り合いが増えたその理由は、「みんな時間があったから」というと聞こえが悪いですが、まあ、そうなんです。これは2022年に限ったことではなくコロナが始まって以降、今年前半くらいまでずっとですが、観光業界全体的に時間的な余裕がありました。そのため、取材をお願いしたり、企画にご協力いただくお願いをしやすい雰囲気があったと思います。出会えた方々から得られた気づきや、さらなる出会いは、とても貴重な財産になりました。これからコロナ以前のように忙しくなっても、忙しいことを言い訳にせず、いろいろな人とつながる時間をきちんと確保して通訳案内士のお仕事を続けていきたいと思いました。

2023年にやりたいこと

2023年の春、私はゲストと一緒に満開の桜の美しさに酔いしれていることでしょう。新緑の山々も、雨の中で見る竹林も、そして秋の紅葉も。ゲストの喜ぶ顔を見て、隣でその感動を分かち合えることが、今から楽しみでなりません。2023年は、ただただ、ゲストの横でガイドができる喜びに酔いしれたいです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?