太陽神ラーの娘イダモ

私は太陽神ラーの娘イダモ。私の短くも
美しい生涯を語ります。

私はラムセス14世の第三夫人アミニ
の侍女でした。
私はとても刺繍がうまかったのでかわ
いがられました。
アミニは蛇神を崇拝してたので私は蛇
の刺繍をたくさん作りました。
今でもピラミッドのどこかにあるはずです

ですが反逆がおこり王が暗殺されると私たちはみな
つかまり暗い牢獄につながれました。食べ物を与えられず
餓死を待つ身でした。

ところが夜中になるとどこからか蛇が現れて私に
イナゴのパンを食べさせるのでした。みんな死ん
でしまったのに私は死ななかったのです。

新しい王が死なない私に興味を持ち不死の秘訣
を教えよと迫りました。私は刺繍した蛇が助け
に来てくれたとありのままに答えました。王が
ならば我を刺繍せよ。さすれば我も不死となろ
うと命令しました。私は王の姿を刺繍しました。

しかし王の地位を狙う王の次男は私をこころ
よく思わず私の刺繍には呪いが入っているの
だと嘘をつき私に毒酒を飲ませました。私は
死にました。

私が死んで太陽神ラーのところ
に行くとラーはおまえの生涯をさばくからあ
りのままに申せ嘘は通用せぬと言いました。
私はただ好きな刺繍をしていただけで何も
申すことはありませんと言いました。

ラーは確かにそのとうりだ、お前は正直に
生きたから予の刺繍係りに命ずるとお
っしゃって私は天の刺繍係りになりました。

私の仕事は何千年もかけて天の星々を刺繍
することでした。私が新しい刺繍をする
ごとに新しい星々が生れ私が刺繍の糸を
ゆるめると流れ星が落ちます

生前私が
おつかえしたアミニ様が時々遊びにきて
今では対等の仲良しです。

時々刺繍をしながら私はアミニ様と
歌を歌います。こんな歌です。

ヤレカシナ ほまれナイルよ 天の荒神

すこらばれや すころばれや これは
豊穣と繁栄を祈る歌です。

やがて代が
かわり次の次の新しい王になると私た
ちの容疑は晴れ私もアミニ様も神とし
て祭られることになりました。
私の
神名は織物の女神ウクリナです。

私の地上の生涯はつまらなかったけれど
今ではこんなにたくさんの恵みをいただ
きましたので私は果報者でございます。
ナイル河の氾濫が気がかりなのでこの
ごろはナイル河に災いが来ぬよう慎重
に天の刺繍をしています。

これがわたくしラーの娘イダモ、
今は女神ウクリナと呼ばれる者の短い
人生の物語です。

太陽暦7964538
月歴9036521
日歴 79376554
女神ウクリナ(地上名イダモ)への祈り

あれかしあれかし大なる女神イダモよ
地上の汚れをきよめ
ナイルに平安あらんことを
地上の汚れをきよめ
ナイルに喜びあらんことを
我ら女神ウクリナに
祈り祈り祈り申し上げます

太陽神ラーの娘
偉大なるウクリナよ

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