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自立支援教育訓練給付金

今回の記事は「自立支援教育訓練給付金」について記載します。いろいろ調べて分かったことは「誰が得する制度なの?」です。まあ、お手軽簡単にお金がもらえてしまうと、それはそれで問題なんでしょうが、「母子家庭の母は、就業経験が乏しいことなどから、生計を支えるための十分な収入を得ることが困難な状況におかれている場合が多く」(出典:厚生労働省ホームページ)というのが分かっているのなら、もう少し使い勝手よく改善できないのかなと思ってしまいました。

実施団体

音頭を取っているのは国(厚生労働省)ですが、実際の対応は各都道府県・市・福祉事務所設置町村になります。そして、厚生労働省のホームページでは「詳しいことは、お住まいの自治体の窓口にご相談いただきますようお願いします。」とあります。

ですので、この制度が気になった方は、お住まいの自治体にお問い合わせいただくのが一番早いと思います。

対象者

厚生労働省のホームページでは「母子家庭の母又は父子家庭の父であって、現に児童(20歳に満たない者)を扶養し、以下の要件を全て満たす方」とあります。以下の要件とは「児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること」と「就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められること」とあります。

簡単に言ってしまうと「シンママであること」「低所得であること」「教育訓練を受けていいと自治体から認められること」が条件です。ですので、申請も受講前と受講後の2回行う必要があります。細かいことは後ほど記載いたします。

対象になる講座はいっぱいあるけど・・・

この給付金は、「教育訓練」であればなんでも言い訳ではありません。大きく分けると「雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座」と、「その他都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座」になります。要するに、リストに載ってなければ給付金はもらえないわけです。

具体的にどんなものがあるかというと、けっこういろいろあります!(出典:https://gooddo.jp/magazine/poverty/single_mother/6152/)

輸送・機械運転関係の資格や講座
大型自動車第一種・第二種免許
中型自動車第一種・第二種免許
大型特殊自動車免許
準中型自動車第一種免許
普通自動車第二種免許、けん引免許
玉掛け・フォークリフト運転・高所作業車運転・小型移動式クレーン運転・床上操作式クレーン運転・車両系建設機械運転技能講習
移動式クレーン運転士免許
クレーン・デリック運転士免許

情報関係の資格や講座
Webクリエイター能力認定試験
Microsoft Office Specialist2010、2013、2016
CAD利用技術者試験、建築CAD検定
Photoshopクリエイター能力認定試験
Illustratorクリエーター能力認定試験
VBAエキスパート
Oracle認定資格・LPICなどでITSSレベル1の資格
Oracle認定資格・LPICなどでITSSレベル2の資格
シスコ技術者認定などでITSSレベル3以上の資格
第四次産業革命スキル習得講座(新技術・システム(クラウド、IoT、AI、データサイエンス)、高度技術(ネットワーク、セキュリティ)など)

専門的サービス関係の資格や講座
中小企業診断士、司書・司書補
社会保険労務士、税理士
行政書士、司法書士、弁理士、通関士
ファイナンシャルプランニング技能検定
キャリアコンサルタント

事務関係の資格や講座
実用英語技能検定、TOEIC、TOEFL
中国語検定試験、HSK漢語水平考試
日本語教育能力検定試験 ※語学試験については一定レベル以上を目標とするもの
建設業経理検定
簿記検定試験(日商簿記)

医療・社会福祉・保健衛生関係の資格や講座
同行援護従事者研修
介護職員初任者研修
介護支援専門員実務研修等
特定行為研修、喀痰吸引等研修
福祉用具専門相談員、登録販売者試験
看護師、准看護師、助産師、保健師
介護福祉士(実務者養成研修含む)
美容師、理容師、保育士、栄養士
歯科衛生士、歯科技工士、社会福祉士
柔道整復師、精神保健福祉士
はり師、あん摩マッサージ指圧師
臨床工学技士、言語聴覚士
理学療法士、作業療法士、視能訓練士

営業・販売関係の資格や講座
インテリアコーディネーター
宅地建物取引士資格試験
調理師

技術・農業関係の資格や講座
土木施工管理技士、管工事施工管理技士
建築施工管理技術検定
自動車整備士、電気主任技術者試験
測量士補

いっぱいあるんですが、私がこれをみて思った感想は「これって、シンママにはハードル高くない?」です。どう思われますか?

支給される額

お金をもらうには「受講前に申請を出してOKをもらうこと」「対象の講座を受講すること」「受講を修了すること(全部やり切ること!)」「受講後に2回目の申請を行うこと」が条件です。

もし、受講前にOKが出て受講したとして、途中でやめるようなことがあれば、お金をもらうことができなくなります。

そして、この条件を満たしても「受講に必要な経費の60%(下限は1万2千1円、上限は修学年数×20万円、最大80万円)が支給」となっています。つまり、確実に40%以上はシンママ負担なのです!

申請に必要な書類の準備がめちゃくちゃ面倒!

そして、極め付けは「申請に必要な書類の準備が面倒くさい」です。先ほど、申請は2回必要と申しました。受講開始前と受講後の2回です。そして、それぞれでこれだけの書類が必要です。

受講前

-受講講座の案内書(金額・受講期間のわかるもの)
- 児童扶養手当証書の写し(受給されている方)
- 申請者および児童の戸籍謄本または抄本
- 申請者の属する世帯全員の住民票の写し
- 申請者の前年(1月から7月までに申請する場合には、前々年)の所得の額などについて市町村長(特別区の区長を含む。)の発行する証明書
- ハローワークが発行する「教育訓練給付金支給要件回答書」
- 個人番号カード(マイナンバー)などの身分証明書

受講後

- 受講対象講座指定通知書
- 教育訓練施設の長が発行する教育訓練修了証明書
- 教育訓練施設の長が申請者の支払った教育訓練経費について発行した領収書
- 児童扶養手当証書の写し(受給されている方)
- 申請者の前年(1月から7月までに申請する場合には、前々年)の所得の額などについて市町村長(特別区の区長を含む。)の発行する証明書
- 振込を希望する申請者名義の口座の通帳
- 個人番号カード(マイナンバー)などの身分証明書

日々、家事・育児・仕事に追われているシンママに、これがすんなり準備できるでしょうか?

行政は本気でやりたいと思っているの?

自立支援教育訓練給付金の実態を可能な限り調べてみました。まず、国(厚生労働省)がどのくらいの予算を確保しているのが、調べようとしました。残念ながら、自立支援教育訓練給付金単体でいくら予算がついているのか分かりませんでした。

しかし、大阪府で予算を計上している方法が開示されていました。「大阪府予算編成過程公表」と題名がついているサイトで、こちらから確認いただけます。

さて、大阪府ではいくら予算が計上されていると思いますか? なんと「32万円」です。しかも、その内訳は「6万円2名+4万円5名」です。さらに、数年間この数字で、その前はさらに少ないです。

正直な感想は「この給付金、支給したくないんでしょ?」です。「手続きが面倒」「ハードルが高い講座しか受講できない」挙げ句の果てに「予算が少ない」、一体誰が得するんでしょうか? 

私には、誰一人として得する人のいない制度に見えました。

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