FRIDAY DIGITAL ジャニーズ会見「NGリスト」報道への考察

もう、世間的には「ジャニーズ事務所批判は正義」の空気が出来上がってしまってる。
私が「ジャニーズ会見の『NGリスト』」をどのように受け止めているかは、下リンクのnote記事にて語っている。

基本的には、
 「情報の切り貼り」
によって、
 「現実に何が起こっていたか」
と乖離した所で、ジャニーズ事務所叩きが起こっていると私は見ている。
ジャニーズ事務所、会見運営に当たったFTIコンサルティング、司会を務めた松本和也アナウンサーの3者の示した公式声明に、辻褄の合わない部分は無い。
そして、それが事実その通りである可能性はかなり高い、と思っている。
何故私がそう考えるのか、詳細は上掲リンク記事から確認してもらいたい。

ただ、「ジャニーズ事務所との蜜月関係」を疑われ、適切ではない特別待遇を行っていた可能性を指摘されるマスコミには、この空気に敢えて挑む必然性が無いのだ。
更に、論理的な正しさを主張してジャニーズ事務所の立場を少しでも擁護しようものなら、そのメディア自体もセットで
 「未だにジャニーズ事務所への忖度は無くなっていない」
 「報道機関への圧力を持ち続けるジャニーズ事務所」
との構図で捉えられ、双方がダメージを負う仕組みが出来上がってしまってる。

ここにあらがうのは事実上不可能だろう。
世間的な受け止めは、ファクトに基づいてなくとも成立するのだ。
これは今に始まった事でもないし、世の中はかくも理不尽なモノなのだと割り切るより他無い。

ただ、それはそれとして、週刊誌報道に関して、その報道内容の妥当性を吟味する事は可能だ。
私が提示した今回の「NGリスト」の解釈に基づき、週刊誌報道について考察して行きたい。
今回は、FRIDAY DIGITALの10月6日付け記事、
 スクープ!運営スタッフが激白「ジュリー氏も会場にいた」「リストはジャニーズの要望に基づいて作成」
について考察する。



「指名候補記者・指名NG記者リスト」の意味

松本アナが語っている内容から、
 「指名候補記者」
とは、別にジャニーズ事務所にとって望ましい質問をしてくれる確約が獲れた記者と言う意味では無い。
会見の時間帯近くで生放送がある番組から、記者会見に出席する記者のリストアップに過ぎず、同番組からの質問シーンを放送可能とする為の配慮だと言う。
そして、指名候補記者リストのトップは欠席していたのだ。
これは事前に質問内容に関する工作など無かった事の傍証となる。
このような事実を踏まえれば、別に特別問題視する理由も無い。

一部で、「指名候補記者」となっている事を以て、「忖度するタイプの記者なんだ」との解釈が広まっているが、誹謗中傷に過ぎない。
「名前を載せられた記者が可哀想」と同情的な声も報道の一部に含まれるが、記者リストの意味合いを正しく報道すれば何らの報道被害も発生しないはずで、同情する前に妥当性の高い報道をしろよ、で終わる話だ。
「ミヤネ屋」の芸能リポーター、駒井千賀子氏にしても、「ゴゴスマ」のアナウンサー、藤森祥平アナにしても、無責任な報道姿勢の被害者なのだから、いい迷惑だろう。

また、
 「指名NG記者」
は、ジャニーズ事務所とFTIコンサルティングとの間でその意味合いについて議論していて、井ノ原氏による
 「絶対当てないとダメですよ」
との発言と、それに対してコンサル側が
 「当てないと言う意味では無い」
と返答した事で、リストの名目からの印象とは異なり、「絶対指名回避」との意味合いではない。

9月7日会見時、当事者の意思と無関係に性的志向を語ろうとするアウティングを行ったり、性的被害の内容を詳細に語ろうとするような、セカンドレイプ、二次被害を発生させかねない危うい質問を行う記者がいた。
ジャニーズ事務所は再度、同じような事が起こらないような対策を会見運営企業に求め、出て来たものが「指名NGリスト」と言う事だ。

状況として、この部分に何らの対策も施さず、実際に9月7日と同じ事が10月2日会見で行われた場合、それはそれで「何故、適切な対処を取らなかったのか?」との観点から非難を浴びてもおかしくない。
リスクマネジメントの観点から、ジャニーズ事務所がこのような要望を行ったのは、客観的に見ても妥当性があるのだ。

ジャニーズ事務所の対応も二転三転しており、高まる不信感に拍車をかけている。しかし、当初から事務所が一貫しているのは「事務所関係者はリスト制作に関与していない」という姿勢だ。だが、その証言にも疑惑が持ち上がっている。運営に関わっていたスタッフは「リストはジャニーズ事務所の要望に基づいて作成された」と断言する。

当該記事より引用

※太字は当該記事由来。

上述した内容を踏まえれば、この記事の内容と齟齬が無い事が分かる。
ジャニーズ事務所は、質問の場で危うい発言を行いかねない記者への対策について、運営企業に要望を出した。
しかし、「記者に質問をさせたくない」とは言ってないのだ。
そして、運営企業側が「指名NGリスト」を提出した際、井ノ原氏が
 「絶対当てないとダメですよ」
と語った事から、
 「こういう事をして欲しいと言った訳じゃない」
とのジャニーズ事務所側の意思表示は明確になされている。

記事では、
 「事務所関係者はリスト制作に関与していない」
とのジャニーズ側の主張と、
 「リストはジャニーズ事務所の要望に基づいて作成された」
との運営スタッフによる告発が、あたかも完全に食い違っているかのように見せている。
だが、運営側がジャニーズ側要望の真意を取り間違えた事により、運営側がNGリストを作ってしまった、との経緯によって、何らの齟齬も発生していないのだ。
部分的に情報をつぎはぎした事によって、まるで
 「どちらかが嘘を言っている」
との印象へと誘導し、運営側の内部告発者の存在によって
 「当然、嘘を言っているのはジャニーズ事務所だ」
と錯覚するよう、記事を構成しているのだ。

 「如何にも週刊誌らしいなぁ」
との感想しか出て来ない。
だが、事実関係を精緻に追ってない人がこの記事をそのまま読めば、
 「ジャニーズ事務所は、まだこんな姑息な手を打っているのか」
と憤るだろう。
「スキャンダラスであればあるほど望ましい」との結論に向かって書かれる週刊誌記事などこんなものだ。

ジャニーズ側の指示に端を発するとされる「指名候補記者・指名NG記者リスト」。これに基づき、当日は“可能な限りダメージの少ない質疑応答”となるように、綿密な計画が組まれていたという。

上掲当該記事より引用

ここも、あたかも卑怯な裏工作がなされたかのような書き振りだが、ジャニーズ事務所、松本アナウンサーの主張となんらの齟齬も生じていない。
 「可能な限りダメージの少ない質疑応答となるよう」
と記述があるが、そのダメージの行き先が
 「ジャニーズ事務所」
なのか、
 「性加害問題の被害者」
にあるかで、全く話が変わって来る。
この記事では、意図的な言葉の省略によって、「自己保身に走るジャニーズ事務所」を印象付けようとしているのだ。

会見場に藤島ジュリー景子氏がいたかどうか

ジャニーズ事務所側の公式声明として、ここは明確に否定している。
そして、第三者的にはそれを疑う理由も無い。

FRIDAYの記事では、
 「依然として無責任なジャニーズ事務所」
の構図で記事が書きたくて、事実確認も疎かに断定的な
 「実はジュリー氏が会見場にいた!」
との内容を入れ込んだものだろう。

このような話題で、何処に真実らしさを見出すのか?について、解説する。

もし、現場に実際にはジュリー氏がいたとした場合、ジャニーズ事務所はこの事を報道された際に安易に「そのような事実は無い」と言い切るのは非常にリスクのある行為となる。

この記事では、運営スタッフの少なくとも一人が、会見の打ち合わせ内容などをリークしているのだ。
当該リーク者が何処までの情報をFRIDAY側に渡しているのかなど、ジャニーズ事務所側は知る事が出来ない。
事実あった内容に関して、「そんな事実は無い」と断言した後に、続報の形でそれを覆す物証を出されたならば、現執行部は完全終了となる。

「ジュリー氏がいたかどうか?」と言う、全体の疑惑の中では非常に小さな事実関係について、無理して否定を行い、それが嘘だと露見したのならば、
 「もっと大きな話題である、NGリストがどのような経緯で作成されたのか?についても、当然嘘を吐いているに違いない」
との印象を持たれる事になる。
そして、このような危機的状況にあってすら、自己保身の為に平気で嘘を吐く現執行部に対する非難の声は猛烈に高まる事だろう。
ここまで準備して来た問題解決の為のスキームが全て吹き飛ぶ事になる。

そこまでのリスクを負って、ジュリー氏の動向に関して嘘を吐く必要性も無ければ、妥当性も無い。
普通に考えれば、
 「ジャニーズ事務所が言う通り、ジュリー氏は会見場にいなかったんだろう」
と受け止める事になる。

まとめ

世間的耳目を集める話題、それも全週刊誌がこぞって報道を続けるような話題に関する報道なんて、こんなものだ。

真実性の追求など、まともに考えてる週刊誌媒体は存在しないと割り切って差し支えないだろう。

 「皆が言ってるから、多分、真実なんだろう」
 「皆が信じているから、多分、真実なんだろう」
と言った初心な気持ちで週刊誌報道を読んでいると、真実から遠く離れた場所へと連れて行かれる。
そして、真に何が問題なのか?に気付けないまま、妥当性の無い批判によって、誰かを傷付ける側に回ってしまう。

まぁ、週刊誌を槍玉にあげたが、テレビ・新聞の大手マスコミも大して変わらない。
コロナ報道でも散々見た通り、危険を煽るばかり、政府対応を煽るばかりで、世界各国との感染者数比較でどうなのか?、他国政府との政府対応比較でどうなのか?をまともに浚ったところなど一つも無い。
浚う事が出来ていたなら、あんなにヒステリックに騒ぎ立てる必要も無かったし、世界で1,2を争うくらいに手厚い政府による金銭的手当てを行った国も無い。
騒ぎ立てる必要など無かったのだが、この事を理解してる人などほとんどいないだろう。

ジャニーズ問題を通じて、メディア報道の歪みを知る人が増えるなら、メディアリテラシーを涵養する奇貨として意味があるのかも知れない。

<了>

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