”平和団体”って何?

根本的なところから、認識を改めるべき話があったので、それを紹介したい。


重信メイ騒動の余波

重信メイ騒動の詳しい解説は以下からどうぞ。

重信房子氏について

1960年代から70年代に掛け、日本では既存の左派政党では満足できず、より過激に革命を志向する”新左翼”と呼ばれる政治的集団が現れた。

日米安保条約に反対する事が世界の平和に繋がると信じ、アメリカを徹底的に敵視し、アメリカ追従の自民党政権を嫌悪したのが当時流行った”学生運動”
そして、その学生運動の中でより過激に暴力的革命を現実に起こそうと無茶な行動に走ったのが”新左翼”だ。

その中で、
 「イスラエルによって住んでいた土地を追われたパレスチナ人への共感」
から、アラブ世界で反イスラエルのテロ活動に参加した日本人が存在した。
そんな日本人が起こしたのが
 テルアビブ空港銃乱射事件
と言う悲惨なテロ事件だ。
これによって、何の罪も無い一般市民、巡礼に訪れていた外国人ら26人が殺害され、80人もの人が重軽傷を負った。

この事件を引き起こした日本人らは後に「日本赤軍」を名乗る。
この「日本赤軍」の最高幹部が重信房子氏で、重信メイ氏の母親だ

10月7日に発生した大規模テロ事件

イスラエル国内、パレスチナ人自治区の一つ、ガザ地区。
ここでは、繰り返されるテロ行為に業を煮やしたイスラエル政府がガザ地区を完全に囲う高い壁を建設し、人の出入りを完全に管理した状況が続いていた。

壁があってもこれを越える迫撃砲がガザ地区から撃たれ、これへの反撃としてイスラエル国防軍からもガザ地区へ砲撃が続く。
ただ、近年はその応酬が一定水準までで留まり、互いの攻撃が収まる事は無くとも、ニューノーマルとして受け入れる空気、イスラエル側の気の緩みがあったとされる。

この虚を突くように、それは突然起こった。
ガザ地区の壁を打ち破り、密かに掘られたトンネルを抜け、パレスチナ過激派ハマスが突如、大規模な侵入、そして攻撃を行ったのだ。
標的となった野外音楽イベントでは銃乱射によって数百人もの人命が失われ、更に周辺住民も直接的なターゲットとなり、1日にして1200人もの犠牲が出た。
更には、イスラエル国防軍からの反撃を予め想定し、”人間の盾”として、また人質交渉に使う道具とする為、多くの人々が誘拐された。

10月11日、BSーTBSの「報道1930」では、この大規模テロを中心に扱い、そこに
 「中東問題に詳しい専門家」
として、
 「重信メイ氏」
を起用した。
これが大きな波紋を広げた。

まず、ネットでこれが問題視された。
彼女の経歴、出自を考えた時、その人選に問題があるのではないか?との指摘だ。
「母親の事で本人を責めるのは違うだろう」との意見も一部であった。
だが、重信房子氏はかつての自身の行為について深い反省と謝罪を行っておらず、またメイ氏もその母の立場に寄り添い、共にパレスチナ擁護の立場を取り続けて今に至る。
このスタンスの特殊性から、やはりおかしいのでは?との意見の方が数的に優位だったと私には見えた。

更に、駐日イスラエル大使がこれに反応した。
外国人特派員協会において、重信メイ氏のコメンテーター起用を強く非難し、
 「テロ行為を容認する人を出演させるべきではない」
とTBSへ求めた。

そして、ネットでは
 「TBSの迂闊な行為が国際問題を引き起こした」
として、更に盛り上がる事となったのだ。

ネットで起こった「日本赤軍」「重信房子氏」への再注目

上述のような流れによって、Xでは非常に多くの日本赤軍、重信房子氏、重信メイ氏関連の投稿が行われた。

そして、この流れで
 「重信房子氏が、TBSの金平茂紀氏と共に、反戦平和団体主催イベントに参加する」
との情報が広く共有されたのだ。

反戦イベントと元テロリストの取り合わせ

「レイバーネット日本」のサイトでこのイベント情報が閲覧可能な状態だったのだが、先ほど確認した所ログインしなければサイトの中身を確認出来ない状態に変更されていた。
もしかすると、この件が広く拡散された事での対応なのかも知れない。

主催は
 反戦・反貧困・反差別共同行動 in京都 実行委員会
となっている。
そう、「反戦」を謳う団体なのだ。

テロとはterror、直訳で「恐怖」を指す言葉だ。
恐怖を引き起こすような行動を取る事で、社会に自分達の主張を受け入れさせようとする思想がテロリズムであり、そのような行為をする人間をテロリストと呼ぶ。
犯罪行為、それも人の命を奪うような行為を含め、社会を脅す暴力集団がテロ組織なのだ。
「反戦」との相性は最悪と言える

にも拘らず、反戦イベントにおいて、重信房子氏は登壇者となった。
何故か?

左派の底流にある「反米思想」、「反日思想」

歴史的に「冷戦」とは
 自由をより求める自由主義陣営(西欧、アメリカ、日本)
 平等をより求める社会主義陣営(ソ連、東欧、中国)

の対立であった。

そして、左派は欧米的価値観を「帝国主義」と見做し徹底批判する「マルクス主義」の信奉者として、「反帝国主義」の立場を取る
これはそのまま「反米思想」に繋がっている。
アメリカと強力な同盟関係を結ぶイスラエルに対して批判的で、イスラエルと対立する立場のイスラム世界への共感を抱き、極端な人達が反米的活動を行うアラブ組織へ接近したのだ。

また、それはアメリカに国防を大きく依存する日本の政治体制にも強い批判を行うし、「日米安保条約の破棄」を求めるのだ。
左派界隈が日米安保を外交防衛の基軸に据える自民党政権を徹底的に批判するのは、歴史的にはこのような経緯がある。

(但し、今現在、一生懸命これらの活動をやってる若い人達がどれだけこの歴史的経緯を理解し、意識しているのかは正直よく分からない。左派界隈は昔から不勉強な人達が多いからだ。かつて、
学生運動に参加していた田原総一朗氏は、
 「日米安保に反対していたけれど、当時は条文なんて分かってなかった」
 「後になって条文がどう変わったかを知った時、日本にとって良い内容へ改正されたのだと理解した」
と言った内容の事を何度か語っている。)

第二次安倍政権が始まって以降、左派界隈は特に
 「日本の軍事化が強まり、戦争が近付いてしまう」
との主張を繰り返し、反アベキャンペーンを繰り返した。

自民党内には伝統的に「タカ派」「ハト派」が存在する。
基本的にはどちらも日米安保を中心に据える前提なのだが、
 タカ派:自主防衛の必要性を語り、より強い日米関係を志向
 ハト派:左派政党へ融和的、近隣諸国への謝罪外交に積極的

との違いがある。
そして、タカ派の総理大臣が生まれた場合でも、ハト派への一定の配慮を行い、自民党内でも軍事関連の意見は角が取れるし、そこから野党との話し合いへと移ると相当な譲歩を行うのが定番化していた。

「より多くの意見を取り込んで」と言えば聞こえが良いが、その実態は国会において「空想的な平和論者に阿る為に、実効性を失うような国防論議を延々と繰り返す」だけだった。
自衛隊の装備を更新するのも一苦労、予算を上げさせない事が平和に繋がると明後日の方向から主張を行う左派勢力に合わせ、日本の国防を取り巻く環境の変化に対し、日本を危うい状況に陥らせる選択を行い続けて来たのだ。

第二次安倍政権は、もう既に日本の危機がそこまで迫っているとの認識から、数多くの外交国防面での変化をもたらした。
日米同盟の更なる強化を推進し、国防予算の在り方にも大きくメスを入れた。
左派界隈はこれが気に食わない。

今までのタカ派総理では見られたハト派、左派への配慮が全く見られない。
彼らにとって、これは
 「安倍晋三は日本を戦争に追いやるつもりに違いない」
と映ったのだ。
左派的発想から距離を置く人に取って、左派界隈がヒステリックに安倍政権を攻撃する理由は良く分からないと思うが、彼らには本気で
 「日本が戦争に巻き込まれる」
 「安倍晋三がアメリカと組んで、世界平和を壊そうとしている」
と思い込んでいたのだ。

そして、重信房子氏はハーグ事件への関与を認定され懲役20年の有罪判決を受け、その出所が叶ったその日、待ち構えたメディアに対し、反アベ的発言を行ったのだ。
元々の思想が反米・反日であり、日米同盟強化に努める安倍晋三に対し、重信氏が好意的に見る訳も無かった。
また、TBS執行役員である金平茂紀氏やジャーナリストの青木理氏らは、重信氏に対し、左派的価値観を突き詰めた所で動いてた事へある種の憧れを抱いてる節もあり、一部の極端なマスコミ界隈は重信氏に対し非常に好意的なのだ。
何の落ち度も無く殺されてしまった被害者たちへ思いを馳せる事が出来ないのか、最初から重信氏を祀り上げようとする左派界隈の動きがあった。

反戦イベントに重信房子氏を登壇者として語らせようとの発想は、一部の特殊な左派にとっては自然なものなのだろう。
武器を取らない事を求め、それはたとえ自身の命が危機に晒されたとしても徹底されるべきと普段語っている反戦運動、平和運動を行う人達が、もろに武器を取り、敵を殲滅せよと叫んだテロリストを仲間と認定するのだ。
価値観が狂っているとしか思えない。

 「どのようなテロ行為に対しても徹底的に非難し、人命尊重を謳うのが平和主義ではないのか?」
このような当たり前の疑問に対し、お茶を濁しながら重信房子氏を持ち上げる事しか出来ないような連中の語る”平和”に、人の心を動かす力などある訳も無い。

まとめ

人は理想主義にハマると、現実を見失う。
まともなロジックも用意できず、自分達の意見と異なると言うただ一点を以て、安易に安倍晋三を悪魔化した連中は正にその状態だ。

自分達が求める理想をどのように実現するか?のロードマップなど全く作れもしない癖に、現実の平和維持の為、出来る事をコツコツと前に進めた政治家を悪魔化し、非論理的な主張で批判し続け、日本の国防を危うくする方向に全力を尽くしたのだ。

 「平和主義者の行動で、現実世界に平和をもたらす事は決して無い」

かつてのテロ行為について、真摯な反省の弁を語った事の無い重信房子氏を、「反戦平和」を謳う団体が有難がって意見を拝聴する。
この異常性に気付けない人達に、世界を変える力など無いのだ。

<了>

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