フリーランスが融資相談に行く前に準備すること

コロナショックで仕事が激減したフリーランスの方で、「この先長引きそうなんで貯金も目減りしてきたし・・・ちょっと心配だなぁ」などという人も多く、4月、5月と経済活動を止められたら借金も検討しないと・・・と思い始めるころないでしょうか?

ニュースなどで中小企業経営者の融資相談が増えてるだの、信用金庫では500万円まで貸してくれるだの・・・様々な情報が飛び交っていますが、フリーランスにとってはそんなに甘いもんではないというのも事実です。

なぜ、フリーランスはこういうときの社会の仕組みから半分仲間はずれ的に扱われてしまうのでしょうか?

要するに多くのフリーランサーの方が、現在の日本の会計システムというか金融システムというか、そういうものにあまり準じていない商習慣で仕事をしているから・・・ということにつきる気がします。

会社の場合、経理部門というのがあって帳簿をつけているのですが、フリーランスの場合、売上げというか「ギャラ」に相当するものは現金または銀行口座に振り込まれ、経費は領収書を溜めておいて確定申告時に「えいヤッ」と計算。ましてや白色申告の方は合計金額程度しか気にされていない方も・・・

実はこれが融資においてメチャメチャハードルを上げる要因なのです。

特に今回の新型コロナウイルスに伴う緊急支援策の融資では、前年度の同月売上げまたは3ヶ月の平均売上げと比較して減少している場合・・・という条件付き。

ピアノの先生をされている方や、ダンサーとしてお仕事をされている方で、昨年1月から3月までの月商を直ぐに答えられる人は意外に少ないのではないでしょうか?

ちなみに青色申告をされている方は、所得税青色申告決算書の2ページ目をみれば、月別の売上金額が出ていますので確認できます。

白色申告の方は、通帳を遡って金額と日付をリストアップするか、自分が出した請求書の控えを足し算してリストを作るかのどちらかが必要です。ちなみにこれも会計が入金ベースなのか、請求ベースなのかを整理しないとぐちゃぐちゃになってしまうので注意が必要です。

こういった資料が揃わないと、売上げの減少証拠を提示できずに融資を断られてしまいます。

また、経費についても同様で、領収書の日付を頼りに、月別の経費額・・・しかも各経費がどの分類(交通費なのか、消耗品費なのか・・・)なのかも整理しておく必要があります。

面倒だなぁ~と思った方も多いと思うのですが、銀行の方や役所の方々はフリーランスで働く方の10倍以上一般企業の経理状況を調査しており、それ以外の判断基準をあまり持っていないというのが正直な所で、仕方が無いというのが現状です。

なので、これを機会に一度ご自身の経理を見直し、一般的な企業会計に近い会計を目指してみると良いと思います。

さて、この月別の売上げや経費資料は、確定申告書類も含めて過去3年分は用意しましょう。結構2期分で良いですと書いてある金融機関は多いのですが、フリーランスはまず間違えなく3期分要求されます。(それだけ信用ないのです・・・)

最近はe-TAXで申告されている方も多いので、申告書に税務署印が押された控えを持っていない方が多いと思いますが、電子署名を入れて申告書を送付したときの送付書(税額と送信日付と受付番号が書かれたメール)を印刷したものを添付すれば、パソコンに残っている申告書のコピーを印刷したモノで大丈夫です。
次に必要なのが納税証明書なるものです。

物販をメインにされている方は個人事業主でも個人事業税を納めていると思いますので、この納税証明も必要ですが、個人事業税対象外職業(執筆とか・・・)の方は市民税(区民税)の納税証明書で大丈夫です。公庫は固定資産税もチェックされることが多いです。ちなみに納税の時に出る半券の領収書でも大丈夫ですが、Pay-easyを使っている方やクレジットカードで支払っている方は納税証明書の方が安心です。担当者によっては引き落とされた通帳などをコピーすれば許してくれるときもあります。

実際に調べてみると、実は個人事業税を収めなければいけなかったのに申告していなかった・・・というのが発覚することもあるので、気をつけましょう。お金を借りるどころか追徴課税が来ます(笑)

あとは「個人事業の開廃業届け」の控え・・・これは重要です。

出してない???人は・・・

一応確定申告しているので、税法上は問題ないような気もするのですが、金融機関の印象が大分変わってしまうので、あるにこしたことはないというか無いと否決率がぐっと上がります。

住宅ローンを組んでいる人は、住宅ローンの返済明細および引き落としの通帳コピー
実印と印鑑証明書、住民票
メインでギャラなどが振り込まれる銀行口座通帳6ヶ月分ぐらいのコピー

公庫の場合は最低限必要なのはこのぐらいです。信用保証協会の融資を依頼するなら、自治体の危機関連保証認定を受けて、その証明書を持参しましょう。あるのと無いのとでは金利が異なります。

ちなみに公庫は支店に申し込みに行っても、その日は審査官との面接日を決めるだけになることがほとんどですが、万が一空きがあって今から・・・なんてことがあったら大変ですので準備をしておくのも手です。現在災害モードとのことで迅速対応に動いてくれているようですから、できる限り後日持ってきますにならない方が良いと思います。

金融機関の場合は、支店で融資実行できそうな案件だと思われれば、申し込みまで一気に行くこともあるので、資料を用意して臨みましょう。

題名にあるとおりの書類は、融資相談時に次回までに用意してくれと言われるのですが、先に用意していた方が相談も申し込みもスムーズであることが多いです。

あと、相談時に幾らまで貸してもらえますか?

と聞く方が多いそうですが、100%「幾ら必要ですか?」と聞き返されます。

コロナの影響で先がみえないとは思いますが、自分なりの理屈でこのぐらいを考えているというのを思い切って切り出してみるのが良いと思います。

たとえば、ご自身の年商を12割りして3ヶ月分とか6ヶ月分とか・・

損害が出そうな金額プラス正常にもどるまでの期間を考慮して読んだ上で、正常時の年商の10%を返済で何年分なら安全かなど・・・

さて、これらの資料を用意して挑んでも融資が決まるわけではありません。

担当者になぜお金が必要か、どう返す予定か、自分の仕事はどんな内容か?業績の説明など・・・懸命に説明をします。

先方が書類を受け取ってくれたら、上司に稟議を出す気になりました・・・程度の反応だと思って下さい。(今の時期はもう少し頑張ってくれると思います・・・)

一週間ぐらいすると書類選考第一弾に受かったかどうかぐらいの反応(うかりましたと言われるわけでは無いですが・・・)で電話がかかってきます。この時点で無理な場合は、お茶を濁さず断りを入れてくるので、さっさと切り替えて次の金策に走って下さい。

ここが通るとだいたいのケースで、実態調査に来られます。要するにお店なり事業所なりに審査担当者が訪問しに来るわけです。

これ、ダンサーさんとか役者さんとかは結構大変だと思いますが、事業所として実際に仕事をしている現場を確認しに来るので、ほとんどのケースで自宅に来るということを意味しています。なのでお部屋を片付けておきましょう(笑)

このプロセス、公庫の場合は既に借りていたりする契約があればほぼスキップできます。新規の場合はどうでしょうか???緊急事態なので・・・と期待したいところですけど、店舗を持っている方や、著名人じゃない限りスキップは難しいかと・・・

ちなみにこのときに来られる方は、上司に稟議をあげる方であることがほとんどなので、できる限りフレンドリーに接した方が良いです。やはり人間ですから・・・

ここで、不足の書類提示を求められたり、条件変更についての可能性について告げられたりと様々なやりとりがあります。

平時はその後1週間ぐらいで、再度連絡が入り、最終的な判断(ここでやっぱりダメですってこともあります)が告げられ、融資がオッケーなら契約書が送られてきます。公庫だと契約書が先方に届いてから3~4日後ぐらいに入金されます。(送り返すときは必ず書留にしないと、届かなかったときに痛い目をみます)いまはもう少し早いのかもしれないですけど・・・申込者の事情によって異なるので何とも・・・

でも今は現状を先送りにして正常な社会情勢になったら今までの倍頑張る!という考え方しか無いのかもしれません。悶々として精神的にダメージを受けると、この先の商売にも影響が出るので、勇気を持って舵を切りましょう。

それと、良い機会なのでフリーランスも経理に強くなって、社会的な仲間はずれにならないように武装するのが良いと思います!





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