esportsのおしごと!

*オブザーバーの話しをします

 新年あけましておめでとうございます。今年もまた何か書いていこうと思います。昨年はSFマガジンにゲームのお話しで寄稿させていただきましたが、今年はファッション関連のエッセイが出ます。おいおい告知します。

 さて、実は映像制作業を日々行っていたのですが、新年より新会社に転職することになりました。まだ公開情報が出そろってないのでこれもおいおい明らかにしていきますが、ざっくりといえばesports関連のお仕事です。(とはいえ以前のお仕事も引き続きです)
 esportsと言っても、いろいろあるじゃん?というのは明らかですが、いまのチームでは主にゲーム内観戦カメラマン、ゲームスイッチャー、配信が主軸となっています。(ちなみに現在の僕の立ち位置は番組Dみたいな感じです。)
 何のタイトルやってんの?というとtier2タイトルですが、これもそのうち公開情報になると思います。とはいえタイトルと関係なく、esportsないしある程度の競技性のあるゲームの大会というのはゲーム内観戦カメラマン(以下オブザーバー)がとても大事だなと思ったのでそれを中心に書いていこうかなと思います。

 さて、オブザーバーという職種ですが、ご存知の通りあまり誰も細かいところは話してくれません。まず簡単なところから解説していきましょう。
 はじめにオブザーバーの主な目標としては実況解説がしやすく視聴しやすい絵作りが第一で、次に実況解説に先回りしてゲーム展開に合わせたコールをゲームスイッチャーに送ることです。実際にゲームを事例にみてみましょう。

1.)格闘ゲームの場合
 さて、格闘ゲームの場合はオブザーバーの仕事はほとんどありません。なぜならば、スマブラやSFVなどのタイトルでは観戦ルームに入るだけで仕事としては終わりになります。古のタイトルであれば、観戦カメラとしてプリンが自爆するところから試合スタートなんてこともありましたね。小規模な大会ではPlayer1の画面をキャプチャしてみれば事足りるというところです。

2.)MOBAの場合
 LoLが主に中心のタイトルですが、この場合最低3人はオブザーバーが必要になります。推奨は4人です。ゲームスイッチャーに送る前に3秒ほどのディレイを入れておく必要もあります。MOBAというゲームの性質上ちょっとしたいちゃいちゃしたダメージ交換が致命的な結果(ソロキル)を引き起こすこともあるため、オブザーバーはレーニングを注視して戦い始める兆候があればスイッチャーにコールします。「TOPレーンダメトレ!」みたいな感じですね。それに合わせてゲームスイッチャーはテイクします。
 とはいえ序盤はジャングルでの小競り合いやアーリーガンクの準備となるので、主に有利マッチアップのレーンを中心にとりつつ、ジャングラーのルートを紹介できるように適宜テイクしていくことになります。中盤以降(ここでは一旦2ndドレイク取得かアウタータワー2本破壊後とします)になると、選手がローテートしていくので、戦局に応じて、サポートの視界管理やアサシンのアンブッシュなど次のプレイが起こる予兆がわかる準備フェーズを映していくとゲーム全体の把握がやりやすくなります。空いた観戦カメラでADCにファーム集めてるね~というデータを見せるためにjgクリープを狩っている様子をみせたりするとなお丁寧です。
 終盤は基本的にエルダードレイクとバロン、インヒビターを取る瞬間さえとれていれば問題ありません。一方で、スプリットプッシュ戦略を取る場合にはゲームスイッチャー側で画面分割を用いて集まっているチームと一人で押している選手を映す必要があるので、その場合もコールして画面を切り替えてもらいます。

3.)バトロワの場合
 主にPUBGやAPEXが中心タイトルのジャンルですが、結構問題を抱えている場合が多いです。まずAPEXが一番の問題児で、観戦モードがバグっています。選手の主観に入った際に持っている武器と名前が違っている場合があります。その場合対処法はありません。また、後述するタクティカルシューティングでは画面上にゴーストとして直近の敵対プレイヤーを透過表示できますが、Apexではできません。チートツールのウォールハックの方がまだみやすいという状況です。また、全体マップを見た時にどのチームがどこにいるかわかりません。多くのバトロワだと番号が振ってあり、1番チームが北にいるなどそういった情報を得ることができますが、Apexでは三角形が表示されるのみです。つらいですね。
 それはそうと、こういったゲームの場合オブザーバーは大変忙しいです。ごくまれにゲーム展開を予測するディレクターがスイッチャーの横につき、全体マップや全オブザーバーの画面をみながら指示をだします。(インゲームリーダーみたいな感じです。)基本的にはスイッチャーがオブザーバーに「交戦しはじめたAテイク中、Bは付近の寄ってくる選手映す準備」など指示を出しながら、終盤まで進行します。ここで重要なのが、有力(過去優勝経験あり、前マッチで勝利した)チームをどの程度映すかというところです。
 これは番組の方向性にもよるものですが、競技性が高い番組であるほど、ちゃんと何故勝ったのか?(あるいは負けたのか)という情報を実況解説まで届ける必要があります。
 例えば、初動で有力チームを潰しにきたチームがいたならば必ず映すべきでしょう。一方で難しいのが、移動中あるいは隠れている場合です。この場合は周囲の情報をチームがつかめているのか、選手の動きをみて予想する必要があります。例えば装備が不十分な状況で隠れていて近隣の区域で戦闘が起こってるにも関わらずスコープを覗いていないならば、トッププレイヤーの場合は次の安全区域の収束をマップで確認後すぐに移動を始める可能性があります。その移動先に敵チームがいる場合は戦闘がおこるのでオブザーバーを配置しておく必要があります。
 誰をどこに配置して次どのカメラをテイクしていくのか、というのがゲームスイッチャーには求められ、チームの連携が必要になってきます。また、終盤に近付くにつれ、有利なポジションを取ることが出来る移動経路を取っているチームがいた場合は一度移動して全体マップも実況解説にみせておくと親切です。例えば南東から北西に向かって山の裏側を車で移動しているが、周囲に敵はいない。交戦はしばらく起こらないが、他チームの配置を考えると最終的にこのチームが有利なポジションを確保して勝利する可能性が高い、ということをオブザーバー/ゲームスイッチャーは予測することが可能です。実況解説も全ての画面が見えている状況であれば可能ですが、基本的には配信されている画面をみているので、こちらで映す準備をする必要があります。

4.)タクティカルシューティングの場合
 主にCSGOやValorant、R6Sが該当するジャンルですが、これらの観戦はバトロワに比べると少し落ち着いています。R6Sのみ特殊で、建物内の配備の準備フェーズを細かく映しておかないと、実況解説に必要な情報がわたらないので、ここは気合になります。戦闘が起こる直前にスモークやフラッシュといったスキル要素を映し、エントリー役のテイク、次にそれを受ける選手が複数人いた場合はその選手、1vs1の場合はエントリー役の主観ママかついてくるサイト内を見渡せる選手、設置前に倒す動きで防衛側が動いているようであれば俯瞰のカメラ、など、状況に応じてテイクしてみやすい絵作りを考えながらすすめていきます。
 また、CSGOならばゲーム内カメラの動きを数値で設定して、バイフェーズでみせるオシャレな絵の動きなども作りこむことが出来ます。valorantならば、first strike直前のアップデートから投射物に追従するカメラがでたのでリーコンダーツの動きも追うことが出来て直後に俯瞰視点に切り替えるとオシャレです。

 ざっくりとオブザーバーのおしごとについて話してみましたが、実はこの世界には人が足りません。もし興味がある人はお声がえいただければ、いろいろ教えることが出来たりします。(また豆知識ですが、チームで日常的にゲームを行いインゲームリーダーとして常に戦局を見渡す能力を鍛えておくのが望ましいです)
 また、ゲームの大会開いてみたいんだけど技術的な部分でボトルネックがあるよーという方も一緒に考えることが出来ます。
 なおamoung usの面子が足りてないのでこいよ!という人やNo man's sky有識者も募集しています。(最近買ったけどチュートリアルで積んでいます)あとOuterWildsとCloud punkをみんなやってくれ。

 取り急ぎこんな感じで。


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