本姫さま(書籍姫)
本姫さま youkai shoot the breeze
江戸時代は何となく、本とか沢山出回っていた印象があるけど、やはり今に比べて本は高価だったわけです。
貸し借りもあったわけで、藩で運営したり、中にはお寺で貸してくれる場合などもありました。
その一つ、四谷の全勝寺というお寺の墓地の一角に小さなお堂がありまして、玉心院経蔵という名で本を貸してくれる文庫となっていました。
全ての人では無いですが、返す時は別の本を一冊添える事になっていて、それによって維持されていたのです。
ここで本を返さないと、お姫さまが、枕元に立って返すように催促したといいます。
そのお姫さまの名前を『本(書籍)姫』さまといいます。 そのお堂の前にあった墓石に耳を当てると姫が本を読む声が聞こえるといわれました。
玉心院経蔵は牧野備後守の娘、松子姫の墓の前にありました。
姫は生前、書物を好んでおり、一切経(5000巻あまりの仏教の基本的な叢書)を読破しました。
亡くなったのち、姫の三周忌に作られたのがこの玉心院経蔵でした。
この松子姫が書籍姫であるといいます。
文庫は明治初年の火災で燒失したといいます。
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