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四斑犬

四斑犬 正寶院縁起
 大多喜の正寶院は狐落としで知られている。秘法がつたわっており、ある狐落としの際に得たものという。

 もっとも秘法を得る前も寺の法印は狐落として知られていた。
 その評判を聞いて、和泉村という近くの村から狐につかれたという男を連れてきた。この狐つきはとほうもない狐つきと呼ばれていた。
 法印はいつもの如く祓おうとしたが、うまくいかない。

 その上、この狐は力だけてなく、頭もよい。話し合いで伏せようとも、様々に問答をし、まったく意に介さない。
 これには法印も困り、泣き落としにかかった。すると狐は、法印の苦労を評価した上で、

「我は千年を越えて、いまは飯綱明王の使者となっている四斑犬というものである。少しの事があって人についたのだが、そこもとに免じて今から去ろう」
と去っていった。

 その際のことをまとめたものが狐払いの秘法として伝わっているのである。

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