ガタガタ橋

ガタガタ橋  飛騨の伝説と民謡

 その橋は歩くとガタガタ音を立てることからそう呼ばれていた。橋のそばの男はその音を聞いて一日を過ごしていたが、時折深夜に音がすることがあった。一度気になりだすと落ち着かずに、いったいどんな人がこんな夜中に通っているのかとみると姿はない。
 ただ、泣き声であったり、足音が確かに聞こえる。男は不気味に思い占ってもらうと、それは死者が立山にある地獄に向かって落ちていく通り道だからだという。男はすぐに引っ越した。
 しかし、亡者たちを哀れに思い、盛大な法事を行い、家のあった場所に経塚を置いた。それからは音は聞こえなくなったという。

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