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サービス開発時のユーザーインタビュー

今年の4月からフリーランスとして独立し、8月にはmemoring合同会社というオーダーメイドブライダルジュエリーの会社を起業しました。

「サービス開発ってなんだ?」と暗中模索でしたが、9月頃からユーザーインタビューについて学ぶようになり、サービスの方向性が固まってきました。
今回は備忘録も兼ねてユーザーインタビューについてまとめていきます。

1.そもそもユーザーインタビューってなに?

「ユーザーインタビュー」という言葉自体はよく聞くワードだと思います。
スタートアップフェーズのサービスでは主に2つの目的を持ってユーザーインタビューを行います。

1-1.課題発掘インタビュー

課題発掘インタビューでは仮説を立てつつも、探索的にユーザーインタビューを行います。
「これを検証しよう!」というスタンスよりも「こういう方向性でインタビューをするとユーザーの課題が発掘できるかも?」ぐらいの粒度でインタビューをするほうが上手くいきます。
最初から仮説を立てすぎるとどうしてもそちらに引っ張られてしまうため、あくまでも課題を見つけることにフォーカスする必要があります。

1-2.ソリューション検証インタビュー

ソリューション検証インタビューでは1.の課題発掘インタビューで見つかった課題に対してソリューションのプロトタイプやLPを作りユーザーインタビューを繰り返しながらサービスの磨き込みを行います。

今回は課題発掘インタビューにフォーカスして説明をしていきます。

2.インタビュー時に気をつけること

「よーし、インタビューをするぞ!」と意気込む前に、インタビュー時に気をつけることが何点かあるので、そちらについても見ておきましょう。

2-1.直接課題について質問じてもそれらしい答えしか返ってこない

インタビュー時に直球で「あなたの課題はなにですか?」と聞いてもユーザーからは正しい答えが返ってきません。
なぜなら顕在化してる課題であれば、既に本人が解決しています。
課題は言語化できた時点で半分以上解決されているからです。

2-2.価値のフィルターを通して課題を見つける

直接課題を聞いてもその人の課題が見つかることはほぼありません。
それではどうするのか?
その人のなかで大切にしてる価値観に照らし合わせて課題を浮き彫りにしていきます。

有名な事例ですが、マクドナルドでユーザーインタビューを行った際に「マクドナルドはヘルシーじゃない」、「サラダのようなあっさりしたものがよい」などの回答が多く得られました。
そのユーザーの回答を基にサラダマックを発売したところ、全然売れなかったそうです。その後
実際にユーザーが求めていたのはクォーターパウンダーのようなガッツリしたハンバーガーでした。
単純に課題を聞かれたユーザーは表面的な「ヘルシーさ」にまつわる回答をしましたが、実際のユーザーインサイトは「ヘルシーが大事なのは分かってるけど、たまには背徳感のあるガッツリした肉を食べたい!」という箇所にあったのです。

このように表面的な課題ではなく、ユーザーが本質的に求めている価値に照らし合わせて課題を見つける必要があります。

では、どのようにインタビューを進める必要があるのか?また、どのような質問をすると効果てきなのか?について考えましょう。

3.インタビューでどのようなことを聞くのか?

具体的にインタビューでどのようなことを聞くと課題が出やすいのか、いくつか例を上げながら説明していきます。

3-1.ユーザーの実際の行動

対象となるサービスに関係のあるユーザーの入り口から出口までの行動を一度一緒に振り返りながら質問をします。
memoringの場合ではユーザーのカップルが付き合い始めてから結婚、結婚後の生活までを一緒に振り返りをさせていただきました。
なぜ、行動にフォーカスしてお話を聞くかというと、感情に先にフォーカスを当ててしまうとブレた回答が多くなるからです。
行動という事実にまずは焦点を当てることで当時の状況を思い出していただきます。
また、行動にフォーカスを当ててインタビューを行うことで現実に即したカスタマージャーニーを描くことができます。
カスタマージャーニーはマーケターの「こうあって欲しい!」が反映されがちなため、実際のユーザーの動きを知ることで現実に即したユーザーの行動を知ることができます。

3-2.感情の変化(トリガー)

行動を一緒に振り返る中でユーザーの感情の変化も一緒に振り返っていきます。
memoringの場合には付き合ってから結婚までのどの段階が一番楽しかったのか?どの行動が感情のトリガーになっているのか?などを見つけていきました。
オーダーメイドで作った結婚指輪を受け取るタイミングよりも、オーダーメイドで結婚指輪を作っているタイミングでより楽しさを感じていたり、「あー、結婚するのか」と実感してるユーザーが多くいました。
このようにどの行動が感情のトリガーになっているのかを見つけていくことが後々のサービス開発に活きてきます。

3-3.フリクション(摩擦)

行動を振り返る中で、フリクション(摩擦)を見つけることも重要です。
フリクションとは簡単に言うと「一連の行動の中で面倒だったこと、大変だったこと」、です。
行動を振り返ることでこのように当時の負の感情も見つけることができます。
memoringでのインタビューの場合には下記のようなフリクションが見つかりました。

・店舗に行くのが面倒だった
・お店で営業を受けるとどんどんアップセルされるのが嫌だった
・オーダーメイドで作ってくれる人がどのような人か分からず不安だった
etc...

ここまで行動を振り返りながら感情の変化を追いかけることでやっと課題が見えてきます。
これが最初から「結婚指輪を買う時の課題はなにでしたか?」と聞いても「特になかった」、「値段が高かった」などの表面的な課題しか返ってこなかったでしょう。
memoringではこうしたフリクションを解消するサービス開発を進めています。

4.インタビュー後のPDCA

インタビュー後にはインタビュー自体のPDCAを回していきます。

4-1.内容をまとめる

インタビュー後には当たり前ですが、インタビューの内容をまとめていきます。
注意点としては下記のようなものがあります。

・実際にユーザーが言っていた内容を記述(抽象化しない)
・必要ないと思うこともすべてメモ
・インタビューの中でサービスのタネになりそうなものは分けて記載

実際にユーザーが言っていた内容ではなく抽象化した内容を記述してしまうと、どんどん解釈が足されてしまい本当にユーザーが考えていたことが失われるので気をつけましょ。

4-2.次回以降"何を深ぼればよいか"を考える

インタビューを通して、なにかサービスのタネなどが見つかることも多くあります。
そうした「サービスのタネ」を考える上で「あと何が分かればいいのか?」と逆算して考えることで次回以降のインタビューのスクリプトに追加することができます。

ここまですることでどんどんインタビューの精度が上がっていきます。

5.参考文献/記事

最後にインタビューを学ぶ上で役に立った参考文献/記事をまとめておきます。

5-1.なぜ「つい買ってしまう」のか?~「人を動かす隠れた心理」の見つけ方~

「インサイト」について詳細にまとめられている名著。
インサイトとは「ユーザーを動かす隠れた心理」と定義しているのが秀逸。
真正面からの質問ではなく、価値のフィルターを通して課題を見つけていく方法論がまとめられています。

5-2.Running Lean ―実践リーンスタートアップ

リーンスタートアップについての本はたくさんありますが、Running Leanは一番実践的だと思います。
課題発掘とソリューション検証を分けてインタビューしてるのはこの本からの学び。

5-3.顧客フォースキャンバスによる解決に値する課題の見つけ方 by Ash Maurya

Running Leanの著者が書籍の出版後に更にインタビュー手法をブラッシュアップした内容を和訳した記事。
未来の曖昧なことではなく、行動にフォーカスすることの重要性を学びました。

6.最後に

ユーザーインタビューについてはまだまだ初学者なので繰り返すことで、より精度高くサービスをつくることができればと思います。
ここどんどん掘っていきたいので仲間を募集しています!
Twitter(@tkp0520)でもコメント欄でも興味ある方ご連絡いただけると嬉しいです!

追記

今回は定性の話が多いですが、定量での仮説検証はこちらのnoteをご参照くださいませ!


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