人口108万人の山形県唯一のBMWディーラーが、フォロワー数日本一の販売店アカウントになる必然<BMWのオネーサンインタビュー>
「駆けぬける歓び 」
これは、言わずとしれたドイツの高級自動車メーカーBMWのキャッチコピーです。
スポーティーな走り、洗練されたデザイン、安定したコーナリング。
そのどれもが上質な仕上がりを見せるBMWという歴史あるブランドに、あなたはどのようなイメージを持っているでしょうか。
おそらく、ドイツのアウトバーンを力強く駆け抜けている姿や、ヨーロッパの伝統的なレンガ造りの町並みを優雅に走り抜ける絵を想像する人が多いはずです。
しかし、「TikTokで有名なBMW」はこれとは少し様相が異なるものです。
こちらの動画をご覧ください。
これは、山形県唯一のBMW正規ディーラーYamagata BMWで働くBMWのオネーサン(@my_name_is_bmwladies)のアカウントです(以下、オネーサンと表記)。
なんと、そのフォロワー数は8万人以上!
“会社公認”だというその動画の内容を見ると、クルマの機能説明から、山形の田園風景をバックにクルマを走らせる動画など多種多様。中にはネイティブな山形弁を話してBMWを解説しているユニークな動画まであります。
このアカウント、なぜここまで人気を集めているのでしょうか?
地方都市のディーラーさんがTikTokアカウントを開設すると、その後何が起きるのでしょうか?
この店舗に起きた奇跡を、オネーサンに語っていただきましょう。
「これって、なんの広告も打っていないんですよ。すべて0円なんです」
オネーサンはもともと受付として入社し、3年前からはマーケティング業務にも取り組むようになり、SNS運用を開始したといいます。
山形県の人口はおおよそ108万人。
これに対し、東京都世田谷区の人口だけで約93万人。東京23区全体で968万人。単にSNSを運用しても、フォロワー数は都市部の人口と比例関係にあるだけで大きな変化は見込めない…。
彼女はそう判断したのです。
では、実際にTikTok動画がきっかけでクルマを買われた方もいるのでしょうか?
BMWといえば、車両によっては1000万円近くする高級輸入車メーカー。
人口約100万人の山形県内において、TikTokの動画だけでこれだけの集客があることがいかにすごいことかは簡単に想像がつきます。
BMWというブランドを保ちながらいかにして投稿するのか
しかし、ここまでオネーサンの話を聞いていて、一つ気になる点も。
BMWというブランドイメージを維持しながらTikTokアカウントを運用するのはなかなか難しかったのでは?
やはり、スタイリッシュな高級車のイメージを保ちながら親近感のわく動画を投稿するというバランス感覚が求められそうです。
特に、クルマの機能を説明する動画はかなりいいねとコメントが集まりやすいのだと言います。
むしろ、方言は武器。山形弁のなまりがウケる
しかし、オネーサンがTikTokで高い人気を誇る理由は、もっと別のところにもあります。
こちらの動画のように、山形弁でドイツ製の輸入車の話をする。そのギャップとあたたかみが人気を集めているのです。
ただし、「方言が全面的に出ている投稿ばかりをするのはよくない」とオネーサンは語ります。
ほかにも“地理性”が入った投稿はコメントやいいねの数が大きく反響が大きいのだといいます。
オネーサンいわく、「いま住んでいる場所の当たり前のものにこそ、バズる要素が隠れている」のだといいます。
地元の何気ない風景、そして方言。
それらはすべて、世界中の人に見られるTikTokというプラットフォームでは強烈な個性として価値を生むのです。
“地元の資源”にいかに気づき、いかに活かすか?
ということは、今からTikTokを始めようとする企業は地元の見えない資産を活用すればよいということでしょうか。
とはいえ、何より忘れてはならないのは、製品の魅力をどのような形でも伝えるということ。
では、実際にオネーサンの動画を見てTikTokアカウントを運用しようと思っているディーラーさんにアドバイスを送るとするならば?
地域の資源を発見し、人を打ち出す。
「うちにはSNSにあげられるネタはなにもない」そんな諦念を持っている企業や店舗も、一度自分たちの資源を改めて棚おろしすれば、人気アカウントになるポテンシャルが見つかるのかもしれません。
クリエイタープロフィール
BMWのオネーサン
禁無断転載
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