元官僚でありながら、現在は内閣官房参与や慶應義塾大学大学院教授、テレビ番組のコメンテーターなどを務める岸博幸さん(@kishihiroyuki)。
複数の肩書きを持つ岸さんですが、実は5万4千人のフォロワーを抱えるTikTokの人気クリエイターとしての顔も持っていることをご存知でしょうか。
社会派として活躍している岸さんが、なぜTikTokに参入し、人気を獲得するまでに至ったのか。
その目的とヒットの要因を探りました。
世の中を良くするカギは、「専門知識のない人に情報を届けること」
岸さんがTikTokで投稿しているのは、その幅広い知識を活かした質問に答える動画です。
「岸博幸史上No.1政治家は誰ですか?」「年金は将来もらえないんですよね?」など、視聴者からの質問に対し、岸さんなりの見解を端的に、わかりやすく回答しています。
岸さんは一体どのような目的で、動画を投稿しているのでしょうか。
世の中を良くするための情報発信の一環として、TikTokを使っているそうです。
「困りごと」はテレビとTikTokでここまで違う
テレビや講演会などと比べ、TikTokではどのような人から反響を受けますか?
同時に岸さんは、TikTokを通じて10代に動画を届けて、世の中に対する関心を啓蒙することも狙っていました。
自分ごととして捉えられる“半径”を広げていきたい
岸さんの動画はビジネスや教育、キャリア形成など、視聴者にとって“半径3メートル”以内の悩みに回答したものも多いのが特徴。
アカウントを成長させるためにテーマを絞るクリエイターもいる中、岸さんはどのような理由でオールジャンルの動画を扱っているのでしょうか。
現代人に情報を届けるには、まずは身近なテーマを入り口にすることが大切だそうです。
時にはこんな身近な質問にも回答
では、ズバリ“半径”を広げることの重要性とは?
TikTokは自分にとって“修行の場”
また、テレビや大学での講義、講演会、セミナーなど、さまざまなフィールドで活躍してきた岸さん。
TikTokではどのような点に違いを感じますか?
3分以内という厳しい制限時間のあるTikTokでは、伝えたいことをギュッと端的に表現することが求められます。
大学教授やコメンテーターに求められることとは真逆ですが、岸さんは若者に情報を届ける上で、そのスキルこそが肝になると分析していました。
知識人でもできる!岸流・話を短くまとめるコツ
ですが、豊富な知識を持つ専門家にとって、話を短くまとめるのは苦手分野のようにも思えます。
伝え方のコツを聞いてみると……。
たとえば、SDGsについて解説したこちらの動画。
岸さんは冒頭で「SDGsとは、経済と社会と環境の3つが調和の取れた発展を目指すこと」と、結論を提示しています。
さらに「SDGsの目標には人種差別の撲滅も含まれているので、周りにいる外国人と仲良くするのはSDGsになる」と具体例を挙げることで、複雑になりかねない話を一気にわかりやすくしているのです。
「私は人に媚びるのが大嫌いなんですよ(笑)」
最近では、岸さんのように何らかの分野でコメントを求められる人がTikTokに進出する流れは、徐々に加速しつつあります。
彼らに先人としてアドバイスするとしたら、どんな言葉を送りますか?
専門知識を話したくなる気持ちをグッと堪えて、誰にでもわかる言葉を選択する。
決して簡単ではなさそうですが、岸さんはなぜ、その姿勢に徹することができたのでしょうか。
一方で、岸さんの人気を支えるもうひとつの秘訣は、その“媚びないスタイル”です。
歯に衣を着せない言葉で世相を斬る岸さんのスタイルは、新しい視点の提供や信頼感アップにつながり、視聴者の支持を集めています。
そこまで世間の反応を気にしないとは……。
「TikTokのユーザーさんにも媚びようとは思っていないので(笑)」
さらに岸さんは、こう続けます。
誰でも真似できることではないですが、勇気を出して自分の主張を発信するのも、TikTokの使い方のひとつです。
専門家のみならず、一般のクリエイターにとっても参考になる岸さんの金言。
政治や社会にかんする専門知識だけでなく、一人ひとりが抱えている“半径3メートル”の悩みにも歩み寄る岸さんの最新の発信スタイルは、今後“知識人”と呼ばれる人の間でも浸透していくのかもしれせん。
【クリエイタープロフィール】
岸博幸(@kishihiroyuki)
禁無断転載
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