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「安心・安全なオンライン・サードプレイス」について高校生が考えるワークショップを、認定NPO法人カタリバと連携して開催

TikTok Japanは2023年10月15日、「TikTok第三の居場所プロジェクト」の第2弾として学生と専門家がディスカッションするワークショップ「安心安全なオンライン・サードプレイスとは?」を開催しました。2023年8月24日の「私たちが“らしく”いられる場所って、どんな場所?」に続く2回目となります。

TikTok Japanと認定NPO法人カタリバが連携した本イベントには、オフライン8名、オンライン5人の計13名の高校生・大学生が参加。専門家として、前回に引き続き東京大学特任教授で社会活動家の湯浅誠氏と、新たに国際大学GLOCOM准教授の山口真一氏を招き「オンライン・サードプレイスは私たちに何をもたらしてくれるのか」「デジタルの世界を豊かに生きていくために、私たちが大切にすべきことは何か」について語り合いました。

また現在、本プロジェクトの第3弾として、デジタルの世界を「ちょっとよくする」アイデアを募集する「#ちょっとよくするムービーコンテスト」を10月14日から11月8日まで開催していて、コンテストの結果は11月25日に開催する表彰式で発表されます。

安心安全な第三の居場所としてのTikTok

イベント冒頭では、TikTok Japan 公共政策本部 公共政策マネージャーの金子陽子が、TikTokの「安心安全なオンライン・サードプレイス」について改めて説明しました。

「TikTokを、周囲に言えない悩みを動画で相談したり、普段とは違う自分を表現する場として使っている方も多くいます」と金子。そういう方々にとって、TikTokは家庭とも学校とも違う『第三の居場所』となっている、と金子は指摘します。その上で、「安全安心な第三の居場所として、私たちTikTokがもっとよくなるにはどうしたらいいんだろう。そんな居場所づくりの一貫として、ぜひ今日はみなさんの意見を聞かせてもらい、一緒に考えていきたいと思います」と期待を語りました。

居場所とは、ありのままの自分を受け入れてくれる場所

続いて、東京大学特任教授で社会活動家として子ども食堂の運営などにも携わる湯浅誠氏が「居場所」についてレクチャー。「第三の居場所プロジェクト」の第1弾「私たちが“らしく”いられる場所って、どんな場所?」でも登壇した湯浅誠氏は、居場所の重要性について「居場所とは、良い関係性が得られる場所のこと。よいつながりや関係性があると、人は自分が持っている以上の力を発揮できることがある」といいます。それが「『この人たちのために何かしたい』という気持ちにさせたり、自分の次のステップを生み出すパワーにもなります」(湯浅氏)。

現代は、社会のつながりが薄くなり孤独を感じる人が増えた「孤」の時代だと湯浅氏。皆がつながりを求める時代になっており、「TikTokでつながりたい」と考えるのもそのためだと指摘します。人間は居場所の数が多ければ多いほど自己肯定感が高くなります。家、学校、会社、趣味の場、そしてオンラインなど、たくさんの居場所を確保し、「ここがダメならあそこがあるさ」と考えられる状態にすることが望ましいと湯浅氏は言葉に力を込めました。

もうひとつ重要なこととして、居場所は「Do」ではなく「Be」で考えることだと湯浅氏。「何かができてはじめて認められる(Do)」ではなく、「ありのままの“自分”を受け入れ、認めてもらえる場(Be)」であることが重要で、そんな「Be」の余地を増やしていくことが必要だと湯浅氏は説明しました。

そんなよいつながりを育むのが居場所で、「ありのままの自分”を受け入れ、認めてもらえる場」が人間には必要なのです。

湯浅氏のお話を受けて、参加者の高校生たちは「どんなときにつながりを感じるのか」「つながりは、私たちにどんな価値をもたらしてくれるのか」という2つのテーマについてグループで議論を開始。「志が同じ人から認められるほうが、より深いつながりを感じる」「オンラインの居場所では自分の価値観を広げられる」、「つながりは必ずしもよいつながりだけとは限らない」など、さまざまな意見が出ました。

ごく少数の意見によって起こる「ネット炎上」

休憩をはさんだワークショップ後半では、国際大学GLOCOM准教授の山口真一氏より「正しく怖がり、正しく楽しむネットの話」と題して、インターネットを安心安全な空間にする方法についてレクチャーをしていただきました。計量経済学を専門とする経済学博士の山口氏は、その研究手法をオンライン空間の分析に応用し、フェイクニュースや誹謗中傷といったオンライン上の課題について研究しています。

誰もが自由に発信できる「人類総メディア」時代、SNSをはじめとするオンライン空間は、幅広い経済効果を生み出しています。「ネット上の口コミ効果は、日本の消費を1.5兆円も押し上げる効果を生み出しているという試算もある」と山口氏。その一方で「ネット上の誹謗中傷が原因で著名人が亡くなったり、コロナ禍では世界中にSNS上にデマが拡散したりするなどの課題もある」とネットの危険性も指摘します。誹謗中傷を受けたことがある人は、ネットユーザーの約4.7%と20〜21人に1人の割合です。ただし10代、20代はその傾向が高まり、10代男子では10%以上となります。それほどネットの誹謗中傷は身近なものなのです。

このような誹謗中傷や批判が殺到すると「ネット炎上」となりますが、実は炎上に参加する人はほんの一握りだと山口氏。「以前の調査では、X(旧Twitter)でネガティブなコメントをしている人は、たったの0.00025 %。約40万人にひとりの割合なのです」(山口氏)。中には1人で100回以上コメントを書き込む人もいますが、その背景にあるのは個人の「そんなことは許せない」という正義感です。

「でもここでいう『正義』は社会的な正義ではなく、あくまでも個人の正義で、1億人いたら1億通りの正義があります。そんな個人の価値観を相手にぶつけているのが、ネット炎上なのです」(山口氏)。

フェイクニュースに8割以上がだまされている

ネット上のもうひとつの問題に、フェイクニュースがあります。2016年はフェイクニュース元年といわれ、米国大統領選挙で大量のフェイクニュースが流れました。そのフェイクニュースを信じたことがきっかけとなり発砲事件にまで発展したほどです。

「実はフェイクニュースを間違った情報だと気付ける人は、かなり少数派です。例えばある政治関連のフェイクニュースを誤っていると気づいた人はたった13%。残りの87%はだまされていました。しかも、フェイクニュースにだまされやすいのは、50代、60代の中高年のほうが多いという結果もあります」(山口氏)。

これらのフェイクニュースの拡散は、スピードが早く、圧倒的に直接の会話によるものが多いのが特徴です。真実が1,500人以上に届くには、フェイクニュースの6倍もの時間がかかるというデータもあります。さらに、生成AIが普及したことで今後、誰もがAIで簡単にフェイクニュースをつくれるようになることへの懸念も広がっています。

オンラインの危険を知り、安心・安全に楽しむ

ここまでの話を聞くと、誹謗中傷やフェイクニュースが渦巻くネットは、怖い世界だというイメージがわくかもしれません。しかしそうではない、と山口氏は続けます。

「ネットの世界の意見と実社会の意見は、実は全然違うことが多いのです。なぜなら、ネットでは『発言したい人』の声だけが届くから」。山口氏によると、ネットでは言いたいことのある人が自ら言うという能動的な発信しかありません。このため極端な意見が主流となりやすい傾向にあります。「ネットの意見はあくまでも切り取られた世界のもの。社会の総意とは違うことを知っておくべきでしょう」と山口氏は注意を促しました。言葉だけでなく、画像や映像が加工されているケースにも注意が必要だと付け加えました。

では、インターネットの世界で安心安全を保つには、どうすればいいのか。山口氏は「自分の判断能力を過信しない」「自分がアクセスしている情報はさまざまなバイアスがかかった、自分が見たい情報だけが集まっていることを認識する」の2点を挙げました。レクチャーの最後に「SNSの投稿に限らず、他人と比較しないということは、人生において重要な価値観です。比べるのなら、過去の自分と比べ、そこから将来の目標を立ててがんばってほしいですね」と山口氏はエールを送りました。

安心・安全なつながりのために

山口さんの話を受け、グループワークでは「他者との比較」がなぜ起こるのかということに参加者の関心が集中しました。「他者との比較に対してどう行動していけばいいのか」という問いには「人生を楽しむ、自分に自信を持つマインド持つ」「資格など自分の武器となる環境を整える」「自己分析をして自分の中に自分の居場所を作り、自分を受け入れる」などの意見が出され、活発な議論が交わされました。

ワークショップの最後には、「私たちを豊かにする安心・安全なつながりとは?」「つながりを得るために今日からできることは?」という問いについての議論を振り返りました。参加した高校生たちからは、「今日ここで学んだことを実践していきたい」「自分が幸せになることを探して、さらに相手も幸せになることを見つけていきたい」「自分を客観的にみることで安定できそう」「今日の場所のように自分が否定されない場で自己開示ができて、誰かとつながれるコミュニティがあることがとても素敵」などの発表があり、それぞれに気付きを得た様子でした。

最後にTikTokの金子陽子は、前日から開始された、デジタルの世界を「ちょっとよくする」アイデアを募集する「#ちょっとよくするムービーコンテスト」について改めて紹介。「今日得た気付きやアイデアを、ぜひ動画にして発信してほしい」と高校生たちに呼びかけました。

▼その他のTikTokの安心安全に関するお知らせはこちら

https://note.com/tiktok/m/m64d5db8626a1

 


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