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TikTokで、大学生が"等身大の目線”の啓発動画を発信!若年層の“安心・安全”を守るためにできること

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TikTok安全推進チームは、2020年7月より、兵庫県立大学ソーシャルメディア研究会とタッグを組んで、若年層に向けた啓発動画を制作・発信しています。

大人の目線で一方的にNGを突きつけるのではなく、同じ目線にいる大学生が等身大の言葉で考えてつくり届ける動画には、若い世代を中心に反響がありました。これまで投稿した4つの動画の総再生回数は、60万回を超え、共感のコメントも寄せられています。

ネット依存、誹謗中傷やいじめ、見知らぬ人との交流から発展する性被害……。インターネット上にあるリスクから若年層を守っていくために、なにができるのでしょうか。

ソーシャルメディア研究会の顧問で兵庫県立大学准教授の竹内和雄先生と、TikTokで啓発動画を制作した同校4回生の山本あいさん、松田朋恵さん、緒方麻耶さんと一緒に考えていきます。

「危険だから」「ダメ絶対!」大人主体の規制では解決しない

「デジタルネイティブ」と言われるように、幼い頃からインターネットに接続しているのが当たり前になりつつある現代の子どもたち。小学校高学年からはスマホを持つ子どもたちも増えています。

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(竹内先生が大阪府の2万人を対象に行った「小中高生のインターネット利用の実態調査」より)

そうした時代に、小学生からのゲームを中心としたネット依存、中高生におけるSNSでの誹謗中傷、LINEグループからの仲間外しやいじめ、インターネットを通じた知らない人との出会いとその先にある性被害などが問題になっています。

子どもたちを危険な目に遭わせたくないという想いから、大人たちは(自分のことは棚に上げて)、ネットやスマホの禁止・制限を押し付けてしまいがち。教育の現場でこの課題に取り組む竹内先生は、大人主体の規制では解決しないと言います。

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(竹内先生)

「小学生、中高生においてもスマホは“インフラ”になりつつあります。危険だからといって、親や教師、ましてや行政が上から『ダメ絶対!』と禁止をするのは、無理な話でしょう? ゲームもSNSもリスクがある一方で、たのしさがあるのも事実。だから子どもはやめられない。大人も同じですよね?頭ごなしに否定するんじゃなくて、たのしさを認めたうえで、子どもたちと一緒に話し合ってルールを決める。大人が範を示すのは大事なことだし、ダメなことはダメと言う必要はあるけど、子どもたちが実感を持って決めたルールに納得しないと、守っていけません」(竹内先生)

同じ立場で失敗談を共有し、SNSとスマホの使い方を一緒に考えていく

ネットやSNSでトラブルに遭わないよう、子どもたちが主体となってリテラシーを高め、スマホの適切な使い方を考えていく。そうした目的で2012年に発足したのが、「ソーシャルメディア研究会」。兵庫県立大学で生徒指導論を教えている竹内先生のもとに「もっと学びたい」「模擬授業をしたい」と学生たちが集まったことをきっかけに始まり、現在約50人が有志で活動しています。メインの活動は、年間300回にもおよぶ出張授業と、大阪、兵庫、滋賀を中心に開催している「スマホサミット」の運営。

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(松田さん)

「私たちは小学校、中学校、高校にうかがって、学生教師として『スマホ安全教室』を開いています。その中で、教材を使ってリスクを伝えると同時に、一方的な押し付けにならないように、一緒に考えることを大切にしています。小学生はゲームのやりすぎ問題が中心ですが、中高生はTikTokやSNSを使っている子も多いので、使い方には気をつけようねって話もしています。自分たちの失敗談や正直な想いも伝えながら。『スマホサミット』でも中高生のみなさんと、意見交換をして一緒に考えていくスタンスでやっています」(松田さん)

ほかにも、若者のSNSの投稿をチェックしてトラブルにつながりそうなものは警察に報告したり、「ネットを休む」ことをテーマに作文コンクールを実施したり。学生たちが自主的に活動しています。

「彼らがやっていることは同じ立場で考える『ピアサポート』なんですよ。覚醒剤やアルコールの依存症でも経験者同士が失敗談を語り合うことで、解決の道を探していくでしょう? それと同じで、ネットに依存してしまう、同じ立場にいる学生たちが、どうしたらいいかを一緒に考えていく。56歳の僕の言葉は子どもたちには響かないけど、近い距離にいる彼らの実感あるストレートな言葉なら響くんです」(竹内先生)

学生が等身大の目線でつくった動画だから、若年層に届けられる

若い世代の等身大の言葉を若い世代に届けていく。そのために取り組んでいるのが、ソーシャルメディア研究会とTikTok安全推進チームによる啓発動画の制作・発信です。

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(山本さん)

「TikTokは、直接的な授業よりも大きな影響力で、自分たちが一番メッセージを伝えたい中高生に届けられる。嬉しい一方で、最初は不安もありました。授業やサミットで使う動画として限定公開のYouTubeの制作はしていたんですが、全世界にオープンに発信するのは初めてだったので。コメント欄が荒れたらどうしようって。でも私たちが考えたアイデアに対して、TikTokの担当の方が安心・安全の観点でアドバイスをくれるので、学びながらたのしく取り組めています」(山本さん)

制作の過程では警察署を訪ね、ネットが絡む事件や無断転載の実刑などについてのインタビューも行ったそう。

「私たちも勉強しながら、自分たちの経験や周囲に聞いた話から訴えたいテーマを考えています。伝え方で意識しているのは、大学生らしさ。私たちにしかできないことを発信したいと、漫画をコマ送りにしたり、流行りの音楽を使ったり。関西人なのでおもしろさも強調して(笑)。個人情報が特定されないように、顔出しをしないで温度感を持ってどう伝えていくか、試行錯誤を重ねています」(緒方さん)

1回目、2回目、3回目と投稿を重ねていくうちに、いいねやコメントの反響も大きくなっていきました。

「TikTokは60秒以内の短い尺の中で伝えたいことを詰め込まなきゃいけない。短いからこその難しさもありましたが、見やすい分、みなさんの興味のあるテーマでいいものがつくれたら広く届けられる。最初はダイレクトにコメントが届くことにびっくりしたんですが、みなさんの貴重な意見に学ぶことも多かったです。反応を見ながら工夫していくうちに、好意的なコメントをもらうこともできました。私たちの想いが届いているんだなと嬉しかったです」(松田さん)

これからも長期的な視点で啓発動画を届けたいと意気込みます。

「TikTokの人気クリエイターの方とコラボして啓発動画をつくってみたいです。ソーシャルメディア研究会としては、オリジナルキャラクターをつくって定着させていきたいですね。あとは、出張授業でこの動画を見せてTikTokの使い方に関する授業をやってみたいと思っています」(緒方さん)
「正直僕は、動画のなにがおもしろいか、正確にはわかってないと思います。でも、これだけ再生回数が伸びているということは、若い世代に伝わる感性、感覚なんだと思います。56歳の私主導ではうまくいかない。若い世代の彼らが先頭に立って啓発していくことが、今後の方向性だと感じています。学生たちのメッセージも、どんどんソフトに、コミカルに、それでいて重要なテーマに切り込んでいっています。彼らの発信でひとりでも多くの若者が気づいてくれたらと切に願います。僕にできることは、行動を起こそうとする若者たちを応援して、一緒に考えていく機会をつくっていくことだと思っています」(竹内先生)

大人は子どもに考える機会を与え、「心の問題」に寄り添う

ソーシャルメディア研究会の活動をはじめ、竹内先生が「子どもたちが一緒に考える」場をつくることに尽力するのには理由があります。元中学校教員だった竹内先生は、教育現場で生徒たちのネット依存やトラブルに直面してきました。

「もともと大阪の中学校の教員で、卓球部と生徒会の顧問をしていて。生徒みんなと交換日記をするような暑くるしい先生でした(笑)。たのしんでいたんですが、2005年に寝屋川教師殺害事件が起こりまして。高校生が小学校の先生を刺殺した事件ですが、殺したのは私の教え子で、殺されたのは私の友だちでした。一部の報道では『いじめられて不登校になり、ネットでもつらいことがあった』と言われています。もしかしたら、助けてくれなかった教師を恨んだのかもしれません。僕もそのひとりです。もう教師は続けられないと強く思いましたが、亡くなった友だちの教え子たちを守ってあげたいと思い直して教師を続けました。

その後、生徒指導として彼らを支えましたが、子どもたちは不安定でした。原因を探っていったら、当時は前略プロフィールやmixiが子どもたちの間で流行していて、インターネット上でのいじめやトラブルが彼らの不安定さの根底にあることに気づいたんです。最初は生徒指導の教師として、ネットを禁止しましたが、禁止や制限しても隠れてやるだけで何も変わりませんでした。生徒たちとネットとスマホの使い方を一緒に考えてルールをつくっていったら、少しずつ落ち着いていきました。自分たちが納得いくルールなら守る。その経験から、大人が声を大にして危険性を唱えるんじゃなくて、子どもたちが使い方を考える機会をつくるようにしています」(竹内先生)

大人にできることは、ネットやスマホの利用を禁止・制限することではなく、子どもたちの「心の問題」に目を向けることだと竹内先生は言います。

「ネットやスマホを使うこと自体は悪いことではありません。ただ注意が必要なのは、ネットやスマホは、『居場所がなくて寂しい』『いやなことがある』など、寂しい気持ちやつらい思いがあるときの逃げ場になっています。気持ちが弱っているからトラブルに巻き込まれやすくなってしまいます。昔は“盗んだバイクで走り出して”街を徘徊して仲間とつるんでいたんでしょうけど、いまはインターネットを徘徊してつながりを求めることもあります。より見えにくくなっている分、大人は子どもたちの奥底にある気持ちに寄り添っていく必要があると思ってます」(竹内先生)

たのしみを消さないために意識したい、安心・安全な使い方

スマホでTikTokやSNSを使う際に意識したいポイントについて、竹内先生に教えてもらいました。

「まず、時間を決めること。TikTokもSNSもなんでもおもしろいからつい見てしまってやめられない。でも、長時間やり続けたら生活に支障がでてくるでしょ? 松田さんはスマホの見過ぎで勉強が手につかなくなって、自分では簡単に解けない暗証番号をかけてロックしてたこともあったそうです(笑)。スマホのスクリーンタイムで画面を見ない時間を設定することもできる。夜長々と使わないようにスマホの充電は居間でするとか。TikTokにも1日あたりの使用時間を制限する機能がある。それぞれの家庭、個人の生活に合わせてルールと時間を決めましょう。

次に、実名顔出しのリスクを知ること。基本的に未成年は事件に巻き込まれる可能性があるので、実名顔出しは避けた方がいい。生徒たちも動画をつくるときにやってたけど、TikTokには顔や声をぼかす機能もありますから。前に就活が上手くいかない学生がいて、なんでだろうと思って名前を検索してみたらくだらない投稿がわんさかでてきた。有名人じゃなくても簡単に調べれば個人を特定できちゃう時代、軽はずみな行為が人生を左右する可能性があることを知っておいたほうがいいと思います。

それから、13歳未満の使用制限について。TikTokも含む主要なSNSはほとんど13歳未満の使用を禁止しています。でもこれ、社会の中であまり知られてないんですよ。親の同意を得てやっている子どもたちもいるけど、社会のルールは13歳以上からになっていることを知っておいてほしいですね」(竹内先生)

では、現役の大学生のみなさんは、どんなことを意識してSNSを使っているのでしょうか。

「中学生の頃にLINEとTwitterが流行り始めたんですが、結構みんな、プロフィールに学校名を載せていたり、制服で写真を投稿したりしていて。危ないなあと思ったので、私はSNSに個人情報は載せないようにしています。TikTokは匿名アカウントで見る専門です」(松田さん)

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「私は高校生の頃に実名で好きなアーティストについてつぶやくSNSをやっていたんですが、『ライブのあとに会おうよ〜』とか結構DMでメッセージが来て。今考えると危険だった。今はそのアカウントは削除して、SNSはすべて鍵付きで、知り合い以外はフォローを返さないようにしています。私もTikTokは見てたのしんでいるので、そのたのしさは消したくない。正しい使い方をすれば大丈夫だと思うので、これからも若い世代と一緒に考えていきたいです」(緒方さん)
「高校時代に学校で、SNSでも揉め事があって学年集会が開かれたことがありました。怖いな、現実でたのしめればいいやってスタンスで私はあんまり使っていません。言葉の重みは一緒なのに、面と向かって伝える言葉と画面に向かって打ち込む言葉は変わってくる。誰かを傷つける前に一歩立ち止まって発信をしてほしいなって思っています」(山本さん)

TikTokは、ソーシャルメディア研究会のみなさんとこれからも啓発動画をつくり、若年層に届けていきます。そして、安心・安全な使い方を一緒に考えていきたいと思っています。13歳以上の若い世代も含む、より多くの人に安心・安全にTikTokをたのしんでいただけるように。

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