「何者にもなれなかった大学生」

  夢はありますか?あるとすればどう叶えていきますか?十塚洋太は大学生になって、自問自答してきた。1年生のときは大手企業に入って、金持ちになりたいという漠然とした夢があった。1年生のときは、社会情勢が不安定で、家にこもることが多かった。長期のインターンシップに行くのを目標にしていた。洋太は悩みがあった。自身が精神疾患で病院に通い、薬をのんでいることだ。そのため、免許も取れていない。車の運転で事故を起こす可能性があるため、医師からも免許取得を止められている。
 大学生の年頃、周りの友達が免許合宿や教習所に通っている。そんななか、周りから置いていかれるような孤独感を洋太は味わった。
 「洋太は免許とらないの?」と聞かれるたびに
「そのうちとるよ」と返事していた。
洋太はアルバイトをしていなくて、理由はアルバイトよりも読書をしたかったからだ。本を読むことで、知らない知識を補充したい。周りはアルバイトをしているので、肩身が狭い思いをした。
大学で唯一の友達に、コミュニケーションが取れていないことを指摘された。しかし、危機感を持つには至らなかった。
そのまま、2年生になり、就活のことを調べはじめた。すると、集団生活をしている大学生のほうが就職しやすいという内容の記事を読み、今までの生活を見直すことにした。
 アルバイトを始め、サークルやゼミにも所属した。プレゼンで人前で話す機会を積極的に設けた。
人と積極的に関わった。
ミスをすることもあったが、自身で振り返りノートを作り、再発防止策も考えた。アルバイトではシフトの作成やシステム、一緒に働く人と話してみたりと吸収できるものは何でも学んだ。
 3年生になった。今まで、頑張ってきた反動がきた。急に心が不安定になった。体が思うように動かない。うつだと思って、サークルやアルバイト先に連絡を取り、休ませてもらうことにした。
体調が悪化し、入院を余儀なくされた。インターンシップにいけないことが何よりも悔しかった。
前期は単位をほとんど落とした。4単位だった。今まではどれだけ悪くても20単位は取れていた。後期から、復帰し、インターンシップにも積極的に行った。電車とかの公共交通機関の利用をするようになった。一人旅とかにも挑戦した。
 就活の選考では、グループディスカッションがあった。今まで、サークルでミーティングをしていた効果のおかげか、緊張することなく、話せた。
 内定を頂いて、就活は3年の春に終わった。病状が和らいだため、教習所に通い、車の免許も無事に取れた。
4年生は残りの単位と、思い出づくりにはげんだ。ボランティアに行ったり、アルバイトをしたりした。ゼミの卒論に向けて集中して、データづくりをした。活動に夢中になっているうちに、仲の良い友人ができた。
大学の職員さんに、「十塚さんは変わったね、良い方に。」と言われた。
 見てくれている人はいるんだと確信した。
4年後期になると、単位を取り終えて、アルバイトと卒論に熱中していた。アルバイトは平日にも積極的に入っていた。1日中働く日もあった。就職するからには、アルバイトでたくさん働いて、体を慣らしておこうという狙いがあった。
洋太は、大学時代に免許や就職先を手に入れた。3年で就活を終えたため、4年時はのんびり過ごした。
3年で体調を崩したため、空白期間があったことが悔やまれた。洋太は社会人になる。将来は、お金をためていくことを考えている。大学時代に、一人暮らしを経験しているため、社会人になってからも一人暮らしで寂しさを経験することはなさそうだ。

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