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喜びは束の間、哀しみはしつこい

 先の第二次世界大戦の際、ナチスドイツから迫害されていたユダヤ人難民救出のため、例外的なビザを発給(=“命のビザ“とも言われています)した日本人外交官、当時リトアニアに駐在していた杉原千畝氏は有名です。

 実は、ユダヤ難民救出劇は、もう一つありました。

 それより2年前の昭和13年(1937)、満州の特務機関長であった軍人・樋口季一郎氏によるもの。詳しくは、「指揮官の決断 満州とアッツの将軍 樋口季一郎」(文春新書刊、早坂隆著)をご一読頂きたいが、この樋口氏が好んだ言葉が「善悪不二(ぜんあくふに)」。

 その意味は、世の中には絶対の善もなく、絶対の悪もない。善悪は相関的なもの。善(ぜん)は、正しい、優れた等の意味。悪(あく)は、正しくない、不道徳等の意味。すなわち、善悪(ぜんあく)とは、読んで字の如し。

 先にご紹介した著書の中で、筆者は、“概して言えば、清濁あいまみえる人生において、喜びは束の間だが、哀しみはしつこい“と書いています。

 私達が知らない戦争を戦った当時の日本人の感性が、今の私達の心を強く揺さぶる事に強い驚きを覚えます。