コーヒー飲用の歴史
今回は人類とコーヒーの出会いから飲用が広まる様子を追いかけます。スターバックスで黒いエプロンを目指している方は、流れをつかみながら覚えられればと思ってまとめています(約3000文字)。
ちなみに今回触れる時代よりも昔、エチオピアでコーヒーが発見される以前の物語については以下のNOTEで触れています。
https://note.com/tik190/n/n80ce514667ce
この記事でも触れているように、アラビカ種のコーヒーはエチオピア西南部で氷河期を乗り越えて自生していました。そんなエチオピアで、コーヒーと人類の出会いがあったと伝えられています。
「アラビカコーヒーの発見」
写真に写っているイラストは西暦800~900年ごろのエチオピアでの出来事です。
「カルディー」という名前は聞いたことありますか?日本でもお店の名前になっているのでちょいちょい耳にしますよね。カルディーはエチオピアのやぎ飼いの少年の名前です。
カルディーは自分の飼っているヤギが元気になっているのを見つけ、ヤギが食べていたものを探したところコーヒーの木を見つけます。そして自分でもコーヒーを食べてみたところ、、、もりもりと元気が出てきて、疲れ知らずに働くことが可能になったそうです。
そんなカルディーの様子を見た僧侶がコーヒーの実をとり熱湯を加えて飲んだところエネルギーが出てくるのを感じこの発見を「神の贈り物」と称えました。
「コーヒー飲用の伝播」
エチオピアで発見され僧侶の秘薬とされたコーヒーは西暦1000年ごろイエメンへ渡り、イエメンを中心にして飲用の習慣が広まります。
(参照)https://www.starbucks.co.jp/coffee/story/coffee.html
イエメンの修道院ではコーヒーはその薬効から門外不出の作物として管理されていました。当時はコーヒーのことを「カフワ」と呼んで珍重していたそうです。西暦1300年ごろからはイスラム教とともにコーヒーが広がっていきますが、コーヒーの木が伝来しないよう沸騰させてから持ち運んでいたため、コーヒーの栽培は広まりませんでした。
とはいえ1450-1650年にはオスマントルコにコーヒーが広まるなど、飲用の文化は各地に広まり1554年にはイスタンブールに、1650年にはロンドンで、1683年にはベニスに、それぞれコーヒーハウスがオープンしました。
1690年にはオランダ人がアラビア半島のモカ港からコーヒーを持ち出し、商業用の栽培を成功させました。1714年にはオランダからルイ14世にコーヒーの木が渡され「聖なる木」として宮廷に植えられました。
1882年にはニューヨークでコーヒーやカカオ、砂糖を取り扱う取引所がオープンしました。この取引所はCSCE(Coffee Sugar and cocoa exchange)と呼ばれていました。
「近代の技術開発」
1900年―1910年はコーヒーの様々な加工技術が開発されました。
「焙煎豆包装技術の開発」
R.W.ヒルズがコーヒーの包装から空気を除く、「真空包装」の技術を開発しました。コーヒー劣化をまねく酸素を抜くことで保存性がたかまり、コーヒーの鮮度が長く保たれるようになりました。
今では空気のワンウェイバルブが使われています。スターバックスではフレーバーロックと呼んでいます。
*フレーバーロック
コーヒー豆を外気、湿度、直射日光から守りながら、コーヒー豆が発散する二酸化炭素を袋の外へ逃がすことのできる特殊パッケージ。コーヒー豆の酸化を防ぎ、その風味を長く保つことができます。
「1901年:エスプレッソマシンの発明」
エスプレッソの技術が商業用マシンとして形になったのもこの時代、1901年にイタリア人実業家ルイジ・ベゼッラが開発に成功しました。それまでのコーヒーは抽出に時間がかかっていましたがこの発明によりコーヒーの抽出液を素早く手に入れることができるようになりました。
エスプレッソの名前は「EXPRESS:特急」に由来しています。
また1933年にはエルネスト・イリ―博士によって自動エスプレッソマシンを開発しました。この時のエスプレッソマシンは蒸気式ですが、この後1945年にはアキーレ・ガジアがピストンポンプと水を使い、より高い圧力でエスプレッソを抽出するマシンを開発し、この方式によりエスプレッソ上にクレマができるようになりました。これが現在のエスプレッソマシンの原型となっています。
「1901年:インスタントコーヒーの発明」
1901年には日系米国人の科学者、カトウ・サトリがインスタントコーヒーを開発し、その後1906年にはジョージワシントンが大量生産のインスタントコーヒーの大量生産方式を発表しました。
1938年にはネスレがインスタントコーヒーの商業生産を開始しました。当時はブラジルのコーヒー生産が供給過多になっており、コーヒー飲用のすそ野を広げる必要がありました。ブラジルのコーヒー生産者の依頼を受けたスイスのネスレが開発に取り組み、マックス・モゲンタラーがフリーズドライ方式のインスタントコーヒーを開発しました。これがネスカフェの誕生でした。
「1903年:デカフェ技術の発明」
1903年にはドイツ人貿易商のルードヴィヒ・ロゼリウスとカール・ヴィンメルが偶然カフェインの除去方法を見つけたといわれています。デカフェの原理や歴史に関しては以下のNOTEにもまとめているのでご参照ください。
「1948年:カプチーノの誕生」
1948年にはカプチーノが誕生しました。カプチーノは「小さなフード」を意味しており、ミルクフォームがとがったフードをまとうカプチン会の修道士の姿を連想させたために名づけられました。
「1966年:スペシャルティーコーヒーが米国へ」
オランダ生まれのアルフレッド・ピートはカリフォルニア州のバークレーで「ピーツ・コーヒー&ティー」をオープンし、風味豊かなコーヒーをアメリカの愛飲家に伝えました。この時にジェリー・ボールドウィン、ゼブ・シーゲル、ゴードンバウカーに焙煎方法を伝え、彼らがシアトルでスターバックスを創設しました。
「まとめ」
ちょっと偏りのある内容でしたが、今のように日常的にコーヒーが楽しまれるようになった歴史をまとめてみました。
ざっくりとした流れでいうと、1000年~1700年は秘薬や貴重な飲み物として少しづつ広まる黎明期、1700年からはコーヒーの生産量が高まることによって一般にも広く楽しまれるようになる成長期、1900年からはインスタントやデカフェ、エスプレッソなどの技術開発が進んでいく全盛期といったイメージです。
今は身近になったコーヒーですが、たどってきた歴史を感じながら今日もコーヒーとともに豊かな時間を!
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