カナリアの子供(1)迷子
どうしたらいいのだろう。
なにかをどうにかしたほうがいいのだろう、とまでは考えられたけれどその先、なにをどう、という具体性は浮かばなかった。
思考もめぐらない。少年は、長く考え思うことに不慣れだった。
ちょうど目の前に見つけた公園のベンチに座った。昼少し前、11時。昼食に向かう人たちが多く行き交う様を、少年はただ眺めていた。
人々の様子は、ひと時も変わらずに姿を変える。眺めているうちに思考はますます溶けて、少年はそのうち自分が風景の一部に溶けたような気持ちになった。
た