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カナリアの子供

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3部作中の第1部。
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記事一覧

カナリアの子供(7)手紙

(まだ暑いな……) スズキが街に戻ってくるのはひと月ぶりだった。 道楽ジジイたちの避暑旅…

カナリアの子供(6)また明日

カラスの呼吸のペースが変わって、彼が寝付いたのだとわかった。 祭りの光景にも花火の迫力に…

カナリアの子供(5)祭の後

新緑の季節を過ぎ、やさしい雨の季節を過ぎて、夏になった。 「夏は袖が短くて、通気性のよい…

カナリアの子供(4)夜に

カラスに購入の約束を取り付けた日の夜、銀色の人形は、さっそく自分の所属する紹介所へ向かっ…

カナリアの子供(3)変化

「こんにちは」 ピッ。「こんにちは、カラスさん。お待ちしておりました。こちらが先日分のデ…

カナリアの子供(2)契約

指定されていた”帰るべき”家は、小さな平屋だった。 閑静な住宅地の中にあるけれど、駐車場…

カナリアの子供(1)迷子

どうしたらいいのだろう。 なにかをどうにかしたほうがいいのだろう、とまでは考えられたけれどその先、なにをどう、という具体性は浮かばなかった。 思考もめぐらない。少年は、長く考え思うことに不慣れだった。 ちょうど目の前に見つけた公園のベンチに座った。昼少し前、11時。昼食に向かう人たちが多く行き交う様を、少年はただ眺めていた。 人々の様子は、ひと時も変わらずに姿を変える。眺めているうちに思考はますます溶けて、少年はそのうち自分が風景の一部に溶けたような気持ちになった。 た