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クオモ落下

去年の春、コロナの第一波が猛威を振るうNYでトランプ大統領のいじめを受けながら反撃しつつ、野戦病院設立、医療スタッフ急募、人工呼吸器を買い漁り、その災害時の采配を全国で評価されたNYクオモ知事がセクハラ案件で、弾劾になろうかと言う状況です。

2020年はもうクオモの年!って位人気がありました。私も彼の毎日のコロナ会見で情報を得て、かなり精神の安定に役立ってもらいました。

クオモセクシュアル、懐かしいですね。


でも、2021明けてすぐ、二つのニュースでいきなり評価下落。老人ホーム関連の取り仕切りで隠蔽があり、実はもっとたくさん死亡者がいた(そしてそれはクオモ知事のせい)、と言うのが一つ。

もう一つがセクハラ。

数人の元スタッフの女性が名乗りをあげて、大ニュースに。

これが3月の話。

クオモは全否定。彼は「外部組織が調査するべき」と言うので、州司法長官が調査を始める。その結果のレポートが今週出た。それがまあ燦々たる内容。

記者会見で州司法長官は「独立調査ではクオモ知事はセクシャル・ハラスメントをしていたと結論づけました。州法、連邦法違反となります。」と話す。


被害者の女性たち

現任スタッフの女性#1:2020年11月16日。知事官邸において、この女性を抱擁、シャツの下に手を入れ、胸を掴む。

そのような事が何度もあり、仕事に行くのがストレスで、首の後に湿疹ができるようになる。臀部を掴まれる事も多数。

知事から二人でのセルフィーを頼まれたが、その時も臀部を掴まれ、恐怖で震えが止まらず、彼女の姿はブレてしまう。

司法長官:「彼女はこの事を墓まで持っていこうと決めていた。口を開き職を失うのを恐れていた。」


元スタッフ、シャーロット・ベネット:過去に性的暴行を受けた経験のある彼女に、知事はその時の話を根掘り葉掘り聞いていた。

そして「今のセックスライフはどうなんだ」「年上は好みか」「俺は寂しいんだ。誰かに触れられていたい。」などと言いよる。

当時、それを不快に感じていた彼女が友人に彼の行動を吐露した際のテキストやメールが提出されており、彼女の証言を裏付けている。


セキュリティーガードの女性:彼女は州警察官であるので、NY知事の管轄ではない。彼の不適切な行動が自分のスタッフだけでなかった事が明らかになっている。

エレベーターで二人きりになった時、後から首筋、背中に指を這わせ「hey you」と声をかける。

知事の為にドアを押さえていると通り過ぎる時にお腹だの腰だのを掌で触られる。

彼女はランク的に知事のセキュリティーの役職につける身分では無かったが、どこかのパーティーで顔見知りになった知事がそのクオリフィケーションをすっ飛ばして例外で彼女をセキュリティーにした。

自分が守るべき政府役人に辱められるとはどんな気持ちだったろうか。

これはショッキングな証人だった。


このような女性が十一人レポートされた。その何人かは3月にメディアに名乗りをあげた女性たち。彼女が職場で報復を受けた事も記録されている。

クオモ個人の行動だけでなく、彼と彼の直近の部下たちが組織的に女性たちの口をふさぎ、権威的で有害な職場環境を作っていた。不安と脅しに満ちた環境。知事のお触り、性的な物言いなどは当たり前の環境であった。イベントで膝に座らされたり、キスをされたり。

司法長官:「この十一人の女性の信憑性を高く評価します。女性の職場での安全は守られなければなりません。知事の行為は憂慮されるべきものです。」

押し倒してレイプした訳でも無いのに、と言う声も(日本からは)聞こえてきそうですが、要は、こう言うお触りや性的軽口を女性に職場で浴びせかけ、文句を言えば報復し黙らせる。こう言う環境を作ること自体が糾弾される訳です。

toxic working environment.

女性の働く環境は守られないといけない、と言う事。

クオモ知事の反論

「いやーやってないっす。向こうが勘違いしただけっす。」

挨拶やプラトニックな愛情の表現としての抱擁だったりお触りだったりキスだったり。自分はそんなのは女性だけじゃなく、男性にも、誰にでもやるんだ、と。それをセクハラと言ってる、と。

"They heard things that I just didn't say." (そんな意味では言ってないっす)

よえーなー。弱い!

ガスライティングだよなあ、完全に、と言う世の評価。


政界の反応

3月のニュースの時点で既に「辞任せよ」と言っていた議員は「前から言ってんだ。辞任しなさい。」と発言。

3月の時点ではまだ庇っていた役人も「もう無理だよ。辞任しなよ。」と言い始めた。1番の大物はこの人。

先の知事選でも応援に来てくれて仲良しだったバイデン大統領に「辞めなさいよ」って言われちゃった!

でもクオモ知事は自ら辞任する事は絶対に無い。それは関係者筋が全員口を揃えて言う。

じゃあどうするか。

押し出すしかない。


弾劾へ

本人が去らないとなると、州議会が弾劾をしなければならない。州議会と知事の関係はnot goodと聞いているが、と言うホストに

"not good, is understatement" (良くない、どころじゃ無いっすね)

とレポーター。

州議員は皆知事のいじめや搾取にあっており、機嫌を損ねればパワハラモラハラの嵐(嫌がらせ電話とか脅しの電話とかかけたりするんだって)、世間受けの良い州法を通せば手柄は全て知事に取られる。

司法長官のレポートの発表後、州議会が緊急収集されどうするか話し合ったが、クオモ知事を擁護する議員は一人もいなかったと。議会は「早急に」「優先的に」弾劾手続きを始めると発表。(多分調査にかかるのは数週間位、とレポーター)

3月のニュースの段階では、州民の世論は「彼は次落選すると思うけど、今辞めるこたぁねーやな。」という感じだった。それが彼の命綱だったが、今、世論調査では59%の州民が「辞任すべき」と言っている。次期知事選で彼の第4期を支持すると言っている民主党有権者はたったの18%。

任期は残り1年。この荒波をくぐって彼が任期満了する可能性はあるか、とのホストの問いに、レポーターは

それは分からないけど、確実に言えるのは、彼が自ら辞任することは絶対に無い、と言う事です。「辞めるのは神に殺される時だけだ。」と公言していましたから。

この司法長官の調査は民事ケースでの調査であったが、刑事での立件を見据えて、州都アルバニー含む州内3つの地域の検察官が調査を始めている。(update:8/6の速報でレポート内の知事官邸で胸を揉まれた元スタッフの女性が刑事訴訟へ。現在アルバニー含む5名の地方検事が調査開始)

いやあ、、、凄いっすね。元々「プリンス オブ ダークネス」と言われ、3期努めた知事の息子でもあり、小さい時から政界にいて、父や自分の政敵に汚いいじめや脅しを繰り返していた、と言う話は聞いていましたが。

去年の春のNY州のコロナの采配は、あれはあれで評価されるべきものだと思うけどやっぱり隠れていろんな人を傷つけたり、重大なミスを隠したりとかもしてた。あの時はあんな大統領でこんな事態になって、どうなっちゃうのよって不安からああ言うブルドーザーリーダーを皆が欲してたんだろうとも思う。絶頂のクオモ人気で全メディアで持ち上げ万歳だったあの時もデモクラシー・ナウだけは批判的なニュースを流していたなあ。流石。

今回も、司法長官の調査レポートを受けて、New York Working Families党の人をゲストに呼んだりしていて唸った。NYWFPは昔からクオモとガチンコしているプログレッシブの政党で、相当な嫌がらせを受けている歴史がある。

ま、ね、去年の春のあれは、あれって事で。

ありがとう!

そして、さようなら〜〜!!!


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