シャニマスパズル部 活動ログ

こちらは私タイガーアイによるペンシルパズルアドベントカレンダー2020の11日目の記事になります。

※当初は各パズルの解き方も解説しようと思っていたのですが、12/11現在制作の遅れから解説はまだありません。今のうちに解いてあげましょう!(宣伝は基本) ただし、それ以外の部分でも解き方について触れている箇所があります。

あらすじ

このアドベントカレンダーには毎年参加させていただいているのですが、いかんせん何か大きいことをしたとかパズルの手筋研究を行ったとかがないためgeneralな話のネタがなくなってきました。そこでspecificにはなってしまうのですが、これまでに自分が作ったパズルの中でも特に思い入れの強い #シャニマスパズル部 として投稿した作品群について紹介したいと思います。私自身はパズルに関して語れ語らせろのスタンスの人間(というかあとがきが大好きな人間?)なので気づけばどんどん長くなってしまうのですがご了承ください。ネタバレ全開です。
軽く概要を説明すると、シャニマスというのは「アイドルマスター シャイニーカラーズ」というアイドル育成ゲームの略称です。登場するキャラクターはいくつか(現在6個)のユニットに分かれているのですが、そのユニットをテーマにしたパズルをこれまでに何度か作ってきました。自分の中ではこれらのパズルをシリーズとして見ている部分もありつつ、そう都合よくアイデアが出てくるわけではないのであくまで「タイミングがあった時に作っているだけのもの」ではあります。

煉獄の幸福論

https://puzsq.jp/main/puzzle_play.php?pid=726
https://twitter.com/tigereye_werewe/status/1130471003258118146?s=20

2019年5月に作った、アルストロメリアをテーマにした覆面相ダ部屋です。

ルール
・相ダ部屋のルールに従います。
・盤面のアルファベットは1から9までのいずれかの数字を表します。同じ文字は同じ数字、違う文字は違う数字を表します。

ネタについて
アルストロメリアは、双子である甘奈・甜花に加え千雪の3人で構成されたユニットです。同名のユニット曲「アルストロメリア」やゲーム内シナリオイベント「つなぐ、まごころ、みっつ」において「天と地」というワードが出てくるのですが、これは3人の名前「甘」「甜」と「千」にかけたものであるという指摘があります。一方、パズルの相ダ部屋の英語名は「Araf」ですが、これはトルコ語で天国と地獄の間にある「煉獄」を意味する(『トケタ? vol.3』より)ということでこれを題材としています。実際、アルストロメリアはポップでキュートをコンセプトとし天使のようと形容されながらも、むしろ天国にあらざる姿がサポートSR「楽園に背く」や最新ユニット曲「ダブル・イフェクト」など定期的に描かれており、幸福論をテーマに掲げるアルストロメリアを通底する哲学であるように伺えます(ここまで一口)。
また、同じく楽曲「アルストロメリア」の歌詞に出てくる「Cipher」という語はパズル界では「覆面」を意味することから(ほかにcodedなどもよく用いられますが)、恐らく前例のない覆面相ダ部屋となりました。このままでは原理的に数字が決定できない(無限大にもできてしまう)ため使用数字に制約を課さなければいけないのですが、「ALSTROEMERIA」が幸い9種類の文字で構成されていたため比較的おさまりのよいルールとなっています。

解説

作者コメント
私の一番好きなパズル手筋はカウンティングで二番目に好きなのが全体制約なので、パズルとして非常に気に入っています。ネタが決まった時点で自然と思いつく解き筋を実装していった形になります。
これの着想を得たのは、2019年3月に行われたシャニマス1stLIVEでボロ泣きした帰り道でした。思いついてしばらくは特に大きい数字の決定が無理ゲーに思えて寝かせたままにしていた(作るとも思っていなかったので普通にTwitterにネタを書いた)のですが、2ヶ月後に目途が立って一気に組み上げました。さすがに制約が強くていくつか仕込めなかったネタはありつつも、初のシャニマスパズル部作品ということもあって思い入れは一入です。

運命の鍵

https://puzsq.jp/main/puzzle_play.php?pid=2347
https://twitter.com/tigereye_werewe/status/1161639301827842049?s=20

2019年8月に作った、アンティーカをテーマにしたバリエーションTapaです。

ルール
・Tapaのルールに従います。
・文字のあるマスは、それぞれの文字が盤面全体でちょうど1マスだけ黒く塗られるようにします。
・歯車は、そのマスのタテヨコナナメに接する最大8マスがどのような並びで塗りつぶされるかを表します。外周の歯車では、盤面の外側が全て白マスと見なされます。歯車は回転させてもかまいませんが反転してはいけません。

ネタについて
アンティーカ(L'Antica)は、ゴシックをコンセプトにした5人ユニットです。ユニットロゴや衣装に歯車のデザインが取り入れられていることから歯車型のヒントが特徴的なModern Tapaを作りました。さらに、アルファベットを表出したいということでAlternative Tapaの要素も組み入れています。Tapaにはこのように様々なバリエーションルールとそれをまとめたpdfが存在するので、抑えておくのをオススメしたいです。
表題はユニット曲「バベルシティ・グレイス」から。錆びついた歯車を回しましょう。

解説

作者コメント
着想は比較的早かった気がするのですがパズル部分を仕上げるのに苦労していて、しばらく製作途中で放置していた時期もあります。せっかくバリエーションを2つ混ぜるのだからそれっぽい解き方を入れたいというところが大変でした。R8C2やR6C4などは特にそれを意識した部分です。それでも、6個のAlternativeを使い切った後に残った中央下部など、もう少し工夫したかった場所もできてしまっています。

ストレイトライ

https://twitter.com/tigereye_werewe/status/1201879322371473414?s=20

2019年11月に開催されたパズル会議#1にあわせて作った、ストレイライトをテーマにしたグラーデヴェグのバリエーションです。

ルール
・以下を除き、グラーデヴェグのルールに従います。
・ループが数字のマスで直進するとき、そのマスを通過する直線の長さは数字より1大きいか1小さいかのいずれかになります。

ネタについて
ストレイライト(Straylight)は、シャニマス1周年のタイミングで追加ユニットとして登場した3人ユニットです。メンバーはいずれも一癖も二癖もある子で、その有り様を評してstraight lieと評した人もいました。私はそういう言葉遊びが好きなのでそのツイートを見て印象に残っていたのですが、パズル的にも使えそうということでループ+数字の要素を備えたグラーデヴェグの嘘つきバリエーションとして実装しました。灰色数字はメンバーの誕生日です。
ちなみに「Gerade Knapp Daneben Weg」ですが、Knapp Danebenというのはパズルでヒントを±1するようなバリエーションに対して使われるドイツ語です。Geradeというのが同じドイツ語で「まっすぐな」という意味を表すらしいので、これでちょうどstraight lieと同じ語順になっているという命名です(多分文法はかなぐり捨てられています)。

解説

作者コメント
あまり発表作を悪く言うものでもないですが、やや心残りのある作品です。パズル会議の冊子企画では恐らくデレマスパズル部のネタがあるだろうと思ったので(実際ありました)、シャニマスパズル部としても載せたいというところで脳内ストックから無理やり引っ張り出したという経緯があります。パズル会議に出せたという点についてはまったく不満なところはないのですが、今も十分に練らないまま作ってしまったと反省しています。もっとも、そこで作らなければ今もただ脳内にあるままだったとは思いますが。モチーフをあまり入れられなかったり、また嘘つきパズルの宿命ではあるものの各ヒントについて仮定を繰り返す解き味が個人的な趣向と離れていることもあったりで、本作についてはパズスクへの投稿も見合わせています。

チルアウト・ノクチルカ

https://puzsq.jp/main/puzzle_play.php?pid=8922
https://twitter.com/tigereye_werewe/status/1251815719978721280?s=20

2020年4月に作った、ノクチルをテーマにしたオリジナルパズルです。

ルール
・盤面(上)を1×2のブロック(ドミノ)に分割し、それらを過不足なく盤面(下)に配置します。
・文字の組み合わせが同じになるドミノのペアができてはいけません。
・盤面(下)では、ドミノはタテヨコにひとつながりとなって1つのループを作ります。ループは全体でただ一つ存在し、かつループが通過しないドミノがあってはいけません。(したがって、全てのドミノはちょうど2つの他のドミノとタテヨコに接します)
・盤面(下)で異なるドミノをタテヨコに隣接させる場合、接触辺の両側に書かれている文字が同じになるようにします。
・盤面(下)でドミノが2×2の領域を形成してはいけません。
・盤面(下)の外側の文字は、その列に現れるすべての文字の種類を順不同で示しています。同じ列に文字が複数回現れてもかまいません。「?」は任意の文字を表します。
・盤面(下)にはいくつかの文字があらかじめ示されています。

ネタについて
ノクチル(Noctchill)はシャニマス2周年のタイミングで追加ユニットとして登場した4人ユニットで、メンバー全員がアイドルになる前からの幼馴染という特徴があります。このパズルの大元は、ユニット曲「いつだって僕らは」の中にパズルという語がでてくるところから来ています。歌詞によればパズルはあわせてつなげるものらしいので、あわせてつなげるパズルを作りました。ジグソーパズルとか言わない。タイトルはユニットのキャッチコピーをそのままお借りしており、自前のセンスの枯渇が露呈しています。
ルールの着想元としては、PGP2018 R5に出題されたAntidomino Snaky Loopを意識しています。ただし、作ったときは当該パズルを自分がどこで解いたか覚えていなかったため直接参照はできず、ルールとしても結構離れています。なお、今調べたところなんと昨年アドベントカレンダーのにょろっぴぃさんの記事にAntidomino Snaky Loopへの言及があったことが判明しました。記事によるとこのルールにもある程度系譜があるようです。
ドミノをテーマにしたパズルですが、これはノクチルについて制作プロデューサーも語っていた「ユニット内で多様な"2人組の関係性"がある」という点と重ねています(後付けです)。また、パズスク投稿時などには「アイドルの世界で関係性が再定義されるイメージから作りました」とも書いています。しかしながら、その後登場したシナリオイベント「天塵」を始めとするノクチルの展開を見た現在だとこの一文は書かないかなあと思っています。早い話が解釈違いですが、そういう自分の解釈の変化を記録しているとも言えるでしょう。

解説

作者コメント
ノクチルは今年の4/3から順次ゲームに登場しましたが、この作品は4/19投稿と他のシャニマスパズル部のものと比べてもかなりのスピードで作っています。ノクチルがいかに私に事故みたいにぶっ刺さったかということが伺えます(4月から7月くらいまではマジで頭からノクチルのことが離れなかったような気がします)。
パズル製作の面で言えば、上盤面を作るのが意外に一悶着ありました。まずルール素案を考えた段階ではユニットメンバーだけの盤面を思い浮かべていましたが、それだと文字数が奇数になってしまうということで一度絶望を味わっています。これは幸いNOCTCHILLを入れることで解決しましたが、当初はこれが一番下の行に来る盤面でした。ところが、なんとその盤面はどうあっても唯一解を作れないことが判明し(結構なパターンに分岐した後全部潰れます)、最終的に今の形に落ち着きました。
このルールでちゃんと形になるのかと心配していましたが、結果いいものが出来上がったと思っています。特にヒントは最小限しか置いていないのですが、これが逆に次に見るべきポイントをわかりやすくしており、一手の重さと合わさってちょうどよい塩梅になったかなと自負しています。

あとがき

自分が書きたかったことを書いただけの内容でした。私としてはあまり他人を気にせず気ままにやるのが向いているかなあということで、パズルにしてもこの記事にしてもとにかく自分の好きなものを詰め込んで作っています。そうは言ってもそれが他人に伝わったりいいと言ってもらえたりするとたいへん嬉しいので、つまりどういうことかというと、アイドルマスターシャイニーカラーズをやりましょう。これからも気が向いたときに何かしら作っていけたらと思ってます。

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