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お酒を飲むと誰かに電話したくなる

「お酒を飲むと誰かに電話したくなる」とよく言われるけど、お酒を飲めるようになって、身に染みて分かる。心の底から同感する。
さっきまで誰かと一緒に居たはずなのに、バイバイして一人になると、とたんに誰かの声が聴きたくなる。
誰かに会いたくなる。
こんなときに限って、詩のように文章が頭の中に浮かんでくる。
小説家のように美しい文章を書くことはできないけれど、
思考がすべて文字になって頭の中を支配する。

友だちと宅飲みをした帰り、夜道をゆっくり歩きたくなるし、その逆で、私以外に誰もいない、車も走っていない夜道を全力で駆けたくなる。
昼間はできない道路の真ん中を駆けたりして。
楽しかった気持ちと同時に切なさがこみあげて、やっぱり電話したくなる。
その電話したい相手の顔がはっきりと頭の中に思い浮かぶ前に、ぼやけて消える。
でも誰かの声が聴きたい。
なんならもう一杯公園でお酒飲みませんか。
街灯と信号機の明かりだけの、明るいのか、暗いのか分からない静かな夜道を歩きませんか。
十字路で踊りませんか。
車の明かりが走ってくるのに気づいて、歩道まで走って、何もしてないって顔で歩きませんか。
車が過ぎ去った後に、二人で笑いませんか。
こんな夜があと何回来るだろうか。
バイト終わりの夜だって、静かで私以外に誰もいないけれど、楽しかった時間の後の静かな夜道はどこか違う。
絶対に違う何かがある。
説明しろと言われても、うまく言葉にできない何かがある。
楽しかったなあ。
この夜がずっと続けばいいのに。

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