41.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(一之倉聡)

ーーーーーーーーーーーー

※スピンオフ
※40話の続き

完全自己満、創作なので苦手な方はご遠慮ください。誤字脱字あり。すみません。


ーーーーーーーーーーーー


校舎を歩いていたら
生徒と一緒に走ってるのを見かけた。
余裕そうに走って、バテてる生徒の背中を叩いてる。

そのまま笑顔で声を出しながら
走り抜けていく。

軽い足取り。
生徒達の集団からペースを落として抜けると
声をかけながら、生徒達を流して見つめる。
私の前を走る生徒に目線を移して
私に気がつく。
また、あの目で見つめて
軽く私に手を挙げた。
一之倉が口角だけあげて、私を見て笑う。

小さく手を振った。
普通にできてるかは自信がない。
一挙一動が私を掻き乱す。

制服姿の自分が、次の教室に向かう。
ため息をついた。
「はやく卒業したいなぁ…。」
思わず言葉にした。


謹慎明けの吉原に、急に校舎外へ呼び出される。

いじめをしていた事がばれて1週間謹慎していた。

これで少し懲りたはず。と思っていたら
登校してきた初日に呼び出された。
復讐でもされるのかな…。と
ヒヤヒヤしながら自分の大胆な行動を振り返る。


黒髪になった吉原は、昔みたいで。

でも変わったようで、やっぱり変わってなくて
自分が1番変わったんだと気づく。

「…元気?」
バツが悪そうにそう切り出す。
あんなにキレてたくせに。
そう思いながら、その問いかけにうなづく。

何も話さないので痺れを切らず。
「何…?もう行くよ。」

手を掴まれた。
「いたっ。」
「あっ。悪い。」
そう言われて、初めて違和感を覚える。
もしかして、吉原って女の子の扱い方が
わからないのかな。と思った。

目が泳ぐ様子を見て、次の女の子には優しくしてあげなよ。と思う。

「今日、俺ん家来ない?」そう聞いてきて
はぁ?と思いながら
いつもの私なら、行ってたもんな。と気づく。
好きって気持ちがなくなると
冷静にわかってくる事がたくさんあった。

「あっ。吉原君悪いことしてる。」

声が聞こえて、振り返る。
最悪、こんなとこ見られるなんて。と掴まれてた手を振り払った。

一之倉が私たちを指差して
口角だけ上げて近づいてきた。
いつもの様に重そうなバックを持ってるので
もう、部活の時間か。と気づく。

「いやっ…何もしてないです。」
うわっと言う顔をして吉原が言う。
明らかに苦手そう。

「いちゃいちゃするのは学校以外でしてね〜」
そう言って一之倉が通り過ぎるので
「してないから!」と私が言った。

そう必死に言う私の顔を、吉原が不思議そうに眺める。



授業をサボることを止めた。
唯一、残念に思ってるのは
一之倉と日中話せなくなったこと。

だから、最近は学校に残って遅くまで
勉強してバスケ部が終わるまで待つ。
掛け声が聞こえなくなった位に校庭にでて
駐車場に向かうと、一之倉が車に向かって歩いているところを見れる。

勇気がでたら話しかける。

一之倉はどんな時も
「今日どんな1日だった?」そう話しかけてくれるのが救いだった。
そろそろ、私が待ち伏せしてる事に気づいてそう。

毎回、迷惑かな?と思って週1回か2回にしようかな…と思いながら。

でも、どうしても顔が見たくて
会いたくて我慢できない子供の自分。

今日は話しかけるの辞めようかな…。
困らせてるかな。そう思っていたら
珍しく電話しながら駐車場を歩いてる
一之倉に気づく。

恥ずかしくて隠れた。

「いいのに誕生日プレゼントとか。」

…一之倉、誕生日なんだ。
そう思ってはっとする。
思わず盗み聞きしてしまって、
罪悪感が生まれるけど
それより誕生日だっていう事が
頭に残る。

「ミサキ、プレゼントありがとう!」

女の人の名前を聞いて
心がモヤッとする。 

「あれ、高かったでしょ?でもめっちゃ嬉しかった。ありがとう。」

嬉しそうに話す一之倉を見ながら、
ただ立ち尽くした。
私…なにやってるんだろう。
そう言って車に乗る一之倉が走り去るのを見届ける。

「今日…話せなかったな。」
しゅんとしてトボトボ帰る。

財布を見たら、そこまで入ってないお金を見て
ため息をつく。
こないだ香水買っちゃったしなぁ…。

「大人の女の人って何あげるんだろぅ…。」
そう思ってモヤモヤする。
私も、一之倉に何かあげたいよ。

帰り道、すぐお金がもらえるバイトを探す。
「うーん。キャバクラかぁ…。」
そこまで危なくなさそうで、日払いでもらえそうなのはキャバクラしかなくて、頭を抱える。

「ミサキって、誰だろう…。」
さっきの電話を思い出して、早速アルバイトの応募をしてみる。




「20歳?」
「はいっ。そうです。」
自分が持ってる中で1番大人っぽい服装を選んだつもり。さすがに18歳って言ったら受からないと思ったので、嘘をついて履歴書を出した。

「あの…お酒飲まなくても本当にいいですか?」
「うん。別にいいよ。オーダーする時にウーロンハイって言ってくれればウーロン茶だすから。」

そう言って笑う店長の男の人は若くて
システムを説明し出した。
「うちは大手のチェーン店なんで、スポットで数時間でも大丈夫だよ。未経験だよね?」
「はい…。えっと19時から22時までも大丈夫でさすか?」

「大丈夫だけど、この希望金額すぐ稼ぎたかったら一回2時まで入ったらすぐ稼げちゃうよ?」

そしたら終電じゃ帰れないなぁ…。そう思いながら一回で稼げるならそれでも、いいか。と思う。

「今決めなくても大丈夫だから、電話して。」

そう言って名刺を渡された。
ポケットにいれる。

少しドキドキしたけど、これでプレゼント買えると思ったら嬉しくなった。



夕方、校舎の裏で昨日もらった名刺を見ながら
人気がいないところで電話をかけた。

「あっ、はい。こないだ面接にいきました。」
少し緊張する。
「えっと明日19時から2時まで働きたいのでお願いします。」

とんとん拍子に話が決まって
何をあげようかなって考える。

喜んでくれるかな…?
そう考えてにやにやする。

「あれ?珍しくサボってる?」
「わっ」
一之倉がいつもよりはやく学校に来ていた。
会えて嬉しいけど、こんなタイミングで会えると思ってなくてかなり動揺する。

「あっちょっとね。勉強しすぎて疲れちゃった。」
そう言って前髪を直す。

「…ふーん?」
何か腑に落ちないように私を見る一之倉。
「なんかあったの?」
そう言ってポケットに手を入れて、壁にもたれかかる。

「えっ、何もないよ。」
そう言って目を逸らす。
いつもの目で見られるから、耐えきれなくて話題を変える。

「ねぇ、一之倉ってさ…何が好き?」
「え?」
唐突すぎたかな…そう思いながら
何かヒントが欲しいな。と思う。
私が真剣な表情だったからか、
「俺の好きな物?」と言いながら
少し考える。

「バスケ?」
「うん…バスケは知ってる…」

バスケかぁ…プレゼント考えるの難しいなぁ。
そう思ってわかりやすく考え込む様子の私を見て
一之倉が、わかった。と言って
「吉原君に、何かあげるの?」
そう言われた。

「え?…」すごく嫌な顔をする。
一之倉って、もしかして
私がまだ吉原の事好きだと思ってる…?

確かにあんなに目の前で泣いちゃったしな…。と
思い出して赤面しながら
「違うよ!!!!」と大きな声で否定する。

大きな声に驚いた様子の一之倉が
「そんな、照れなくていいよ。」と笑いながら
「いいなぁ、青春っぽくて。」と言った。

子供扱いされてるようでムッとする。
違うのに…。

そう思って、「もう、行く。」と
素直になれなくて一之倉を通り過ぎた。




「18の時、俺もあんな感じだったのかなぁ?」
そう呟いて、歩いていくミレイを頭を掻いて見送った。

振り返ると、ミレイがいたところに落ちてる紙に気づく。
「ミレイの?」
拾い上げると名刺だという事に気づいた。
「…。え?キャバクラ?」
店名を読み上げて、そういう店だと気づいて勘が働く。



「お疲れ様でした!」
思いっきりざっくり胸元が空いたワンピースを
着たのは初めてだったから、ドキドキしたけど
回転がはやくて忙しくて…
やる事が多くて目が回った。
あっという間に終わって、
店長とキャストの人に声をかけて
お店を後にする。

あくびがでた。
2時か…疲れたな。
なんだか頭がまわる。
「ウーロンハイって言ったのになぁ…。」
忙しかったからか、1杯だけ
多分お酒がでてきた。

歩けるけど、そんなにいい気分じゃない…。
親には、友達の家に泊まると言ってきたから
歩いて駅まで行って、漫画喫茶で始発まで時間を潰そう。
そう思って、暗い道を千鳥足で歩く。

「ミレイ!」

知ってる声が聞こえてびっくりする。
知ってるというか、ずっと聞きたかったっていうか…

辺りを見回す。少し酔ってるから反射が遅れた。

手を掴まれる。
振り返ると一之倉がいた。
今まで見た事ない、心配した顔をしている。

「え?なんで?」
すごく慌てた。
一之倉が着ていたパーカーを脱いで
胸元があいた服を着ている私に着せる。

あったかくて、いいニオイがして
ずっと緊張してた気持ちがほぐれる。

動揺してる私の手を引いて、何も言わずに停めてる車まで連れて行く。

車のドアを開けて、深刻な顔してる一之倉に促されるまま車に乗せられる私。

いつも駐車場で見送ってた、一之倉の車に乗る日が来るなんて…。と思って踏み込んでしまった自分にドキドキする。

運転席に座る一之倉が、一呼吸置いて私の顔を覗き込む。

「大丈夫だった?危ない事なかった?」

そんな心配した様子の一之倉に動揺して
ただ、驚いて弱々しくうなづく。

「なんで…こんな事したの?」
そう聞かれて、なんだか自分は大変な事をしてしまったのかな。と思い始める。

「一之倉…なんでここにいるの?」
「え?」
そう聞かれて、目が泳いだ後
ポケットから名刺を出した。
「あ、それ。」
見た事ある名刺を見て慌てる。
一之倉に学校で会った時、店長の名刺落としてたんだ…。

「今日、2時までって電話で言ってたから…もしかしてって思って。」

それを聞いて顔を俯く。

電話してたの、聞かれてたんだ…。
最悪だ。

そう言った後私の様子を見て
ため息をつく一之倉。
「高校生が、こんな事しちゃダメだよ。」

そう、心配そうに言われて、
困ったような一之倉の顔を見る。
急に申し訳ない気持ちになるのと
子供扱いされて悔しくなる。

「ごめんなさい…。」
喜ぶ一之倉の顔しか、想像してなかったから
こんなに困った様子の一之倉を見て
悲しくなる。

一之倉に嫌われた。そう思った。

「家まで送って行くよ。」
そう言ってエンジンをつける一之倉。

「えっ無理無理。友達の家に泊まるって言っちゃったから、この時間にこんな格好で帰ったら殺される!」
そう慌てて言う私を見て
「そんな事言ったって…。」
と困る一之倉。

「漫喫泊まるからっ!大丈夫だから!」

「そんな格好で降ろせる訳ないよ…」

ちょっと強めに言われて、口どもる。
どうしよう…。めちゃくちゃ困らせてる。
そう思いながらも、家には帰れないと焦る。

「…一之倉の家泊めて?」
そう両手を合わせて言った私に
一之倉が一瞬目が泳ぐ。

「ダメだよ。」
ハンドルを持ちながら私をまっすぐ見て断る。

「えっ何で。絶対迷惑かけないっ。始発の時間になったら帰るから!」
「なんでって…」
そう言って前を向いた後、また私の顔を見た。

「俺も男だから。」

想定してなかった言葉と、真剣な表情の一之倉に
何も言えなくなって顔が赤くなる。
「ごめん…。」小さな声で言った。
急にアルコールが回って、目がまわる。

「ん?」一之倉が顔を近づけるからビクッとする。
匂いを嗅がれてドキドキする。

「…酒飲んでんの?」
さらに落胆した顔をして、ハンドルに項垂れた。
その様子を見て何も言えなくなった。

「…飲まないつもりだったんだけど。」
そう言った私に、一之倉が困ったように言う。

「ねぇ、お願いだからもうこんな事しないで?」
「え…。」
「俺と約束して。」

目尻が垂れて、心配そうな一之倉の顔を見る。
そう言って見つめられて、何も言えずにうなづいた。

私の反省した様子を見て、頭に手をポンと置いた。

そして黙って車を走らせた。

困らせちゃってごめんね。
運転してる一之倉を
横目に見てドキドキが止まらない。
暗い車内で、沈黙が続く。
反対車線の車のライトがたまに一之倉を照らす。

私、一之倉のこと好きなんだよ。と
心の中で呟く。
伝えたくて、伝えたくて泣きそうになった。

こないだ、あんなに傷ついて
味気なく感じた長い間の恋も
いつか今日のためにしたんだって思える。

すぐにでも伝えたくなる気持ちを抑えて
2人きりの時間を味わう。
はやく大人になりたいよ。

「ついたよ。」
しばらく車を走らせた後、マンションの駐車場らしきところに停まった。

「…どこ?」
すっかり潮らしくなってる私の言葉に
「俺んち。」諦めたようにそう言って
目を合わせずに車から降りる一之倉。

潮らしい態度とは裏腹に、心臓が鳴った。
私、一之倉の部屋に泊まるの?
さっき酔いに任せて言ってみたけど
正直心の準備はできてなかった。

そうだよね…こんな酒臭くて
もし補導されたら退学か…。

ああ、どうしよう。めちゃくちゃドキドキする。
そう思いながら黙って一之倉に着いていく。

キョロキョロしながら、
初めて男の人の一人暮らしの部屋に行くっていう事実に明らかに動揺する私。

綺麗な1LDKで、寝室には薄ガラスの扉がついていた。
部屋に通して、寝室を指差す。
「あそこで寝て。」
「一之倉は…?」
「俺、そこのソファーで寝るから大丈夫。」
リビングにある広めのカウチを指差した。

「着替える?」そう言われて
一之倉に着せられたパーカーから見えている
胸元がざっくり空いて谷間が見えているワンピースをパーカーを羽織り直して隠した。
「うん…。」
意識しすぎて、顔を見れない。
あと申し訳なさすぎて何も言えない。

一之倉がソファーの上に畳まれていたロンティーとジャージのズボンを渡した。
いつもより口数が少ない一之倉の様子をみて
怒ってるかな?と思ってオドオドしてる私。

「疲れたでしょ。ゆっくり寝な。」
そう言ってソファーに座る一之倉。
ずるいよ…。そんなに優しくされると、誤解しちゃう。
「一之倉、ありがとう。」
やっと顔を見て言った。
それを聞いてまた、困ったようにため息をついていた。

通された薄ガラスの扉を開けて、後ろ手で閉める。
ワンピースを脱いで一之倉の服を着る。
ぶかぶかだった。
なんだか無性に浮かれて、切なくなる。
気になって少し扉を開けて、後ろ姿の一之倉を見つめた。

来ていた服を脱いで、ロンTに着替える瞬間で
シックスパックが見えてドキドキする。
大人の男の人だ…。
そう思って扉を閉めた。

恐る恐るシングルベッドに寝転がる。
あー、どうしよう。
今日でもっと好きになっちゃった。
一之倉の匂いに包まれて、あんなに疲れてたのにドキドキして眠れそうにない。

もう、朝になったかな。
朝なんて来なければいいのに。
扉の向こうに好きな人がいる。
そう思って、こっそりベッドから出る。

静かに扉を開けて
暗い部屋の中に目が慣れるのを待つ。
一之倉は本を開きながら、ソファー寝ていた。
静かに近づいて、ソファーの横にしゃがむ。
しばらく寝顔を見つめた。

触りたくなる気持ちを抑える。
私の気持ちを知ったら
困らせるよね。
でも、気づいて欲しい。
何も言わずに顔を近づける。

生まれて初めて自分からキスをした。

そっと唇を合わせて
ゆっくり離す。

こんなに夢中でごめんね。
そう心の中で呟いた。
目を閉じたままの一之倉の顔を見て
顔をくしゃくしゃにして、立ち上がる。
黙ってまた、寝室に戻った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?