目を閉じれば、全てはただのノイズ
人生を支えた音楽をプレイリストにするなら、必ずBasement Jaxxを入れたいと思っている。
でも、彼らとの出会いの曲 "Close Your Eyes"は、彼らのアルバムには長らく入っていなかった。
曽利文彦監督のアニメ作品「ベクシル」の冒頭曲。
まだ映画を見る前だったけれど、渋谷のTSUTAYAの視聴機に入ったOSTを見かけ、BOOM BOOM SATELITESが入っているからきっとかっこいいだろう、それぐらいの気で聴いて、ファーストトラックのこの曲にしびれた。
Basement Jaxxを知る人は分かると思うが、ゴリゴリのダンスチューンの中では珍しいバラード曲で、静かな冒頭のストリングスに続く高揚を含んだメロディーが本当にかっこよくて、自分の音楽の世界が拡がった。
このアルバムは即買いして、何回もこの曲だけ聴いた。
ちなみに映画の印象だけれども、正直これが流れた冒頭シーンしか覚えていない。
一番よかった。
彼らの楽曲を聴く度に、楽曲もかっこいいけれど、そこに流れる詩を読み込むと、深いなぁ、と思う。
わたしたちが我を失いかけてるのは分かってる
シャワーを浴びて、争いを報じるあらゆるニュースを眺める
私たちが見てるのは誇大広告と暴力ばかり
あなたとわたしみたいな人のことなんて取り上げられるはずもない
あなたと彼女は努力してる
でもあなたたちがいくら手を尽くしても、彼を止められない
危険が迫っている
でもいいのよ、だってわたしたちはお互いがいるんだから
わたしたちが我を失っているように見えることは分かってる
でも事態はまったく良くならない
我を失ってるように見えるのは分かってるの
ああ、わたしたちには変えられない、それが現実なんだから
目を閉じて
全てはあなたの頭の中のノイズでしかないの
さすが映画に合わせて書き上げられただけあるな〜
ベクシルの本音はこの歌に込められてるのかなと感じる。
気になる方はベクシル観てみてください。
そして2020年になって、世界はパンデミックの中。
彼らが"Lost Tracks"というLPに"Close Your Eyes"を収録した。
それに合わせてか、リモートで"Close Your Eyes"を演奏したビデオもYoutubeにアップされた。
ちなみにセルフリメイクのボーカルはメンバーFelix。ゆるかわな雰囲気の背景に流れる情勢を考えると逆に怖い。
People get panic とか、世相を反映した歌詞にリメイクされてるんだけど、世に出すタイミングとしてすごく合っている歌になって「しまった」な、と思った。それは喜ばしいのか、嘆くべきか。
ある二人が窓の外を見ながら、肩を寄せ合うイメージが見えた。外の景色は戦場ではなく、青空が広がる街。人はいない。
そして、2022年の今。
欧州には大きな戦場がある。
目の前に広がる風景から、目を塞いでしまいたい人も、きっと多くいるだろう。
止めるべき「彼」は、
特定の人、権力、見えざるウイルス、
脅威であれば、何にでも当てはまると思う。
自分は、少しでも平穏を祈りたい時聴くようにしている。
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