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石を愛でる、解する。「水石」の魅力

石の中に森羅万象を観る

「水石」(すいせき)というアート趣味がある。
水石は河川などに散乱・埋没する石の中から、秀逸な色や形状、肌触りなどを持つ石を持ち帰り、これを芸術的に楽しむ鑑賞法だ。
印象深い文様や形をした石の中に森羅万象や宇宙を発見するという、極めて創造的な娯楽。古より、文人・武人などがたしなみ、現代へと受け継がれている。

「見立て」というたしなみの美学

掲載した写真は、この芸術を世界へ広める活動をしている写真家の恩田義則氏が所有する滋味あふれる作品(本人撮影)。漆黒の石にあなたは何を想像できるか。ある人は山脈のうねりと解するかもしれない。またある人は悠々と流れる大河の流れを想像するかもしれない。いずれにせよ、これらの石をどう解釈するか、どのように愉しむか。石の「見立て」がこのアートワークの醍醐味だ。

悠久の時の流れの中で息づく

水石の収集場所として有名な土地は全国にいくつかある。石狩川、加茂川、瀬田川、揖斐川、佐治川や、東京近郊では多摩川がこれに当たる。恩田氏のコレクションは多摩川が中心だ。
また、水石は愛好家から愛好家へと譲られて受け継がれる場合もある。場合によっては、何世代もの間これを所持し、見立ての優れた次世代の愛好家に譲り渡すなど、大きな時の流れの中で、その趣味を結んでいくこともある。

「マイ・ストーン」を愛でる愉しみ

深みにはまればどこまでも深くのめり込んでいける水石の世界だが、伝統的な習慣に縛られることもないだろう。
自分の想像力を刺激する石を見て、手に触れ、深夜の書斎で想像の翼を広げるのも一興だ。
あなたも「マイ・ストーン」を探しに、近所の河原を歩いてみはいかが。

★恩田義則氏がコロナ禍の東京を撮影した作品集
"Hello/Goodbye Tokyo Concert 2019-2020"


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