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新機能に懸ける思い

こんにちは、Tidyです。
 今回はまもなくリリース予定の新機能「ハイリスク者抽出機能」について、私が何を思って構想し、世に出そうとしたのかについて書いてみたいと思います。

 いきなりですが「働くひとの健康を世界中に創る」が当社のパーパスです。しかし、"働くひと"や"世界中"はさておき"健康を創る"というのは漠然とした話になり易いです。健康である人がいるとして、より健康になる、とした場合、なおさら目指すところが分かりません。
 一方、健康を害す、健康を脅かす、健康を崩す、などマイナス面に関してはイメージし易いのではないでしょうか。
 ILO/WHOの共同報告によると全世界では仕事に関連した原因で亡くなった人は年間約200万人いるとのことです。言い換えるならば、働かなければ死ななかったということです。働いたら負けだと思う、とか言いたいわけではなく「労働環境下に死に至るほどの健康を害す要因が存在した」ということです。最近メンタル不調による休職者が増えてきた、などという話をされる経営者の方と話すこともありますが、休職することが治療につながるということは「労働環境下にメンタルヘルスを害する要因がある」と言っているのと同義だと思うわけです。もちろん、健康を害すというのはメンタルヘルスだけではなく十分な休息が取れないなどの身体的なものも散見されます。さすがに労働環境下に死に直結するほどの健康リスクがある会社は少ないのではないかと思いますが、働きさえしなければ本来健康でいられた人が「健康を害す要因」は多かれ少なかれどこの企業にもあるのではないかと考えています。
 株式会社iCAREの考える"健康づくり"の主体はこの「働く環境にある健康リスクを取り除くこと」にあります。当社ではこれをセルフケアやメディカルケアに対する言葉として「カンパニーケア」と呼称しています。

 カンパニーケアを実施していくためにまず行うべきは、既にある一定の健康リスクを抱えている人を調べて、その方への面談などを通じて原因を同定していく必要があります。もちろん既にリスクは顕在化しているわけですから、その方への保健指導も必要になってきます。もちろんこの段階では環境要因は「仮説」でしかありません。
 労働起因でそのリスクが生じている仮説が立ったら、同じ要因下にいる健常者に見える方々も悪化傾向にあるのでは、と調べてみる必要があります。
 たとえば、メンタル不調者ないし不調になりかけている方がいて、かつそれが労働環境下のなにかに起因するのであれば、その「なにか」を特定して原因を取り払わないと、その方が休職して戻ってきても再度不調になるだけですし、その環境にいる他の方々も不調になっていく可能性があると言えます。健康診断やストレスチェックといったもので計測はしていても、具体的な閾値を越えないかぎりにおいては、それらは見過ごしやすいものとなります。そして他の方に不調が顕在化した際には、その健康を取り戻すにも多大なる時間を要することになります。

 健康経営の先進企業において、こういった取り組みは進められていますが、自社に存在する健康関連データの中からハイリスク者やその一歩手前にいる方々を探し出すというのは中々面倒な作業になりがちです。また、健康関連データは労働安全衛生法によって各企業が定めなければならない健康情報等の取扱規程にて企業内で閲覧できる人が限定されています。主に産業保健関連の有資格者に限定されるわけですが、医療の専門家であって必ずしもデータ分析の専門家ではありません。

長くなりましたが、こういった部分をITの力で便利にしていくことで少しでも働くひとの健康を創っていきたいという思いを込めて今回機能開発をして行きました。以下は10月リリース予定の開発中画面ですが、先行して公開しようと思います。当該機能は既に特許出願を終えていますので、もう大丈夫でしょう。(特願2023-052498)

ハイリスク者抽出機能 / グラフ表示 (画像は開発中画面です)

健康診断やその他健康関連データの各項目から抽出条件を作成して、企業全体の経年変化や部署別、年代別などの推移を見ることができます。各表示人数から「実際に誰が対象者なのか」というのも、産業保健スタッフからはすぐに参照できるようになっています。これによって健康リスクを抱えた方がどんな年代やどんな部署に偏っているのかと視認でき、仮説が立てやすくなっています。

部署別に展開した状態 (画像は開発中画面です)

また抽出条件も自在です。
複数項目を用いた複合条件もできますし、判定基準ではなく数字レベルでの細やかな設定が可能になっています。問診などとも組み合わせられますので、男性で 腹囲 ≧ 85cm で空腹時血糖 ≧ 100mg/dl で中性脂肪 ≧ 150mg/dl で40〜64歳な人が何人いるか、などもお手のものです。

抽出設定画面① (画像は開発中画面です)
抽出設定画面② (画像は開発中画面です)

抽出条件にさまざまなアイコンを設定できるようにしているのは、従業員の一覧画面で当該リスクを持った人をリスト上でわかりやすくしているからです。

従業員一覧画面 (画像は開発中画面です)

個別のハイリスク対応を取りたい場合は、抽出された対象者をまとめて面談候補者に入れて当該抽出条件の対象者として管理できたり、まとめてメールを送ったりすることも可能にしています。
抽出する数値にリスク度合いに応じたグラデーションを持って抽出条件を分けることで、より高いリスク度合いの方からフォローを入れていくようなこともできるのではと考えました。

 当社の提唱するカンパニーケアや、現場の方の現在の業務としてどんなことをしているかを聞きつつ、こうあるべきなのだろうとつくってきたものではありますが、実は私の思いはもっと先にあります。

健康づくりをシェアする世界をつくりたい!

 より良い産業保健や予防医療を実現できる知識を持った方々が先進的な健康経営を実施されている企業にはいらっしゃいます。そういった方はこの機能を十全に使いこなされ、抽出された方や状況に対する施策を持って企業の健康をつくって行けるのだと思います。
 もちろん企業としてESGの取組を考えれば、そういった取り組みは企業として囲い込んでいくのが正解なのかもしれません。
 しかしそういった抽出条件やそこへの打ち手は同じような産業や業務形態を持つ企業の健康づくりにおいて大いなるヒントとなり、所属企業を越えて多くの人々の健康をつくっていけるものだと思います。
 当社としてそれをシェアできる基盤をつくって行くことで、今は専門家を抱えた企業しかできなかった健康づくりを、各社の取り組みを真似していくことで国内企業の90%を占める中小企業でも推進できるようにしたい、と夢見ています。


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