不憫男子・アルロンからしか得られない栄養がある【創作大賞感想】
不憫といえばおぱんちゅうさぎ
アルロンさんはおぱんちゅうさぎなのかもしれないね(?)(?)(?)(?)(?)
限りなくどうでもいい話なのだけど、わたしの性癖にドスドス刺さるもののひとつに、「不憫男子」という界隈がある。
そんな男子のジャンル分けが本当にあるかは知らない。今わたしが勝手に言い出したことだからだ。
そんなわたしの性癖にぶっ刺さってくるのが、不憫男子・アルロンさんである。
見ているとニヤニヤワクワク、わたしのサディスティックな感性と見事にマッチし、「もっと不憫になって」と願わずにはいられなくなる。
今回取り上げる記事は、かつて北海道の東の方で公務員をしていたアルロンさんが、なぜか真冬の夕方に80本の牛乳を売りさばくことになった、血と涙の記録である。
エッセイである。エッセイのはずだ。
それなのに、なんだろう、このある種エンターテイメントじみたおかしみは。
この物語のキーパーソンは、冬のイベント実行委員長となった地域おこし協力隊のお姉さんである。
彼女はすごい。
なんというか、浮世離れしている。
人口5000人の町の初めてのイベントで、800杯のホットミルクをアルロンさんに売らせようとしているのだ。
誰だよ、こいつに牛乳買わせに行ったやつ。立候補したとしても止めろよ。誰もポンコツだということに気がついていなかったのかよ。
80本の牛乳パックを目の前に、アルロンは働く。ひたすら働く。
涙の代わりに鼻水を垂らしながら。タダ働きで。
ホットミルクでさばけなくなった分は、2本100円というスーパー玉出もびっくりなディスカウント価格でご提供。
最後は押し売りならぬ押し付けというなんだかよく分からない方法で80本をどうにかするのだった。
しかし、これは物語の結末ではない。
さらなる不憫がアルロンに襲いかかる。
これだけ身を粉にしてタダ働いたアルロンが最後に手にしたものとは、果たして一体何だったのか。
あるいは何も手にしていないのか。
あなた自身の目でご確認いただきたい。
道民として、真冬の日が落ちた後の寒さ、というかもはや痛さは、わたしにも身に覚えがある。
北の寒さは刺さる。
何千本ものいろいろな太さの針が、束になってじわじわと皮膚を圧迫してくる感覚、といえば道外の皆様にも伝わるだろうか。
あの中で大量の牛乳と向き合っていた侘しさを思うと⋯⋯
やっぱり、アルロンさんにはもっと不憫な目に遭ってほしいなぁ、そしてもっと不憫ネタ書いてほしいなァと思ってしまうサディスティックティコなのである。
彼からしか得られない必須栄養素、アルロン酸ナトリウムは絶対にある。