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論述試験の取り組み方

ご興味を持っていただき、ありがとうございます。
キキモトといいます。
Twitter(x)で、IPA資格などの情報を発信してます。https://twitter.com/ticktackworker

今回は、論述試験に挑戦する方を応援するための情報を発信できればと考えてます。

対象者像 

  • 論述試験に初めて挑戦する方や、論述が苦手な方

  • IT専門の仕事をしていない方(私もそうです)

  • いきなり専門書を読むのは敷居が高いと感じる方

このnoteの特徴

  • IT専門外の方にもわかりやすい言葉で伝えます

  • 論述初心者が悩みがちなところを中心に伝えます

  • なるべく記憶に残りやすい形で伝えます

  • 読了までに10~20分くらいかかると思います

想定試験区分

  • ITストラテジスト
    (その他の試験区分にも応用できます)


内容は以下の通りです。
Twitter(現x)でフォローいただいている方には既知の情報かもしれません。


さて、ご説明の前にお伝えすべきことがあります。
このコンテンツは「読めば合格できる」と約束するものではありません。

なんといっても合格率15%の試験です。
仮にそういうコンテンツがあったら‥疑ってください。

このnoteは、論述試験に挑戦するための武器や手がかりを求めるあなたに、戦い方のイメージをつけていただくことを目標としています。

※読み始める前に、過去問をお手元にどうぞ。


1.まずは敵を知ること 👻 

①全体像からイメージしよう

下図をご覧ください。
これを使って、論述試験の全体像をご説明します。

※以降も図が表示されますが、拡大の必要はございません。
いきなり細かい情報をお見せすると負荷が高すぎるので、この抽象度のままでひと通りご説明します。

ITストラテジストの論述範囲

②全体像を分解して理解する

さて、論述試験では3~4つの問題の中から一つを選んで論述を書き上げることになりますが‥
各問題はほぼ確実に「設問ア~ウ」で構成されています。

こんな感じで、三つの枠組みがあると思ってください。

そして、それらは横にも分かれています。
設問を横断する三層のレイヤがあるとご認識いただければよいです。

この、赤枠内の人があなたの分身です。
全体像のうち、ちょうど真ん中くらいに立っています。

論述の流れはこうです。

  • 前提レイヤで状況を説明し

  • 戦略レイヤで課題を捉え

  • 行動レイヤで課題解決のために行動し

  • 戦略レイヤで評価する【重要】

イメージできるよう、順序よくご説明します。


2.戦い方を知ること 🎯

全体像がなんとなく解ったら、次はパーツごとに戦い方を学びます。
先ほどの説明で全体像がいまいち解らなかった場合でも、そのまま読み進めていただいて問題ありません。

①設問ア

ここでは、あなたが関わる企業や組織の概要を伝えます。
このとき、あなた自身のアクションは重要ではありません。
どのような競争環境で、どのような事業を、どれくらいの期間行っている企業なのかを伝えます。

つぎに、環境を踏まえた事業戦略を伝えます。

ここであなたの登場‥と言いたいところですが、事業において課題意識を強く持つのは「経営層」です。
経営層は、「この事業、この状況ならではの課題」を抱えているはずです。

競合企業の進出、高齢化に伴う人材不足、デジタル化に伴う店舗の統廃合‥などの状況設定と、事業において何を重視しているかを組合わせて課題を提示します

ここでようやく、あなたの自己紹介ができます。
あなたがどのような立場で、どのような課題を解決するために行動するのかを宣言します。

ここまでが、「設問ア」の流れです。
専門の参考書より字数が少ないとはいえ、疲れますよね‥

まだ続きますので、休憩しながらご覧ください。


②設問イ

「設問イ」は、これまで学んできたIT技術や分析手法について触れる必要があり、合否を分ける重要な部分です。

‥が、今の時点で掘り下げる必要はありません。
今のあなたに重要なのは、全体像を知ることです。

後回しにするのは不安かもしれませんが、午後Ⅰ問題をクリアする中で、少しずつ知識をため込むことができます。
この点については、以降の章でお伝えします。

※吹き出し部分も囲ってますが、横軸のレイヤは「人」に注目してください

③設問ウ

最後の設問です。
こちらも「設問イ」同様に、これから少しずつ掘り下げればよいのですが、合格水準を目指すために、この時点で必ず理解して欲しいことがあります。

※吹き出し部分も囲ってますが、横軸のレイヤは「人」に注目してください


それは、「経営レベルの課題を経営層への説明によって解消する」という点です。

他の区分で合格している方でも、ここが抜けている方が多い印象です。

「行動」した時点では課題は解消できておらず、かかるコストを含めて、あなたの行動を評価するのは経営層です。


以上で、基本的な流れはお伝え出来ました。

あらためて最初の画像をご覧いただき、以下の流れがイメージできるなら、現時点での理解度は十分です

  1. 企業や組織を取り巻く状況がある

  2. 経営層が事業ならではの課題を抱えている

  3. ITを用いた解決策を策定し、行動する

  4. 経営層に結果を伝え、評価とともに解決する


④敵の弱点(評価ポイント)

論述の流れがなんとなくわかったところで、どのような点が評価されるか知る必要があります。

ポイントは「問題文の趣旨に沿うこと」や「設問で要求した項目の充足度」‥と、よく耳にすると思います。
それもそのはず「試験要綱」にはっきり書かれています。


ところで、「充足度」や「趣旨」と言いますが、どれくらい網羅すると想像しているでしょうか。

次に掲載する画像は、令和4年度春季の問題1をテキスト化し、私ならどれくらい引用(網羅)するか試してみたものです。

あえて無作為に、これを書いている時点で最新の試験から問題1を選びました。

左が問題文。右が私の引用イメージです。

赤字が、ほぼそのまま引用するであろう部分。
青字が、表現を変えつつも引用するであろう部分です。

なんと全体の83%を引用または応用します。
これだけで600字以上ありますね‥

「引用する」と聞くと、印象が悪いでしょうか。
私は最初、強い違和感を持ちました。

しかし勉強を続ける中で試験の仕組みを知り、ある程度納得しています。なんといっても2時間で3,000字前後を手書きする試験です。

しかも評価項目として「充足度」が最初に指定されており、「問題文の趣旨との合致」が合否の基準となっています。

そのような中で、常に出題された内容を網羅てきるような業務経験を持つ方はほとんどいません。
IT戦略が対象となれば、なおさらいません。

そこで出題側は、引用可能な情報を例示まで含めて提示してくれてます。
午前試験~午後Ⅰ試験を十分に学習しているなら、青字部分を置き換えるだけで論述に使える(応用できる)内容を提示してくれているのです。

合格を目指す場合、変にプライドを持たずに、引用して当然と思うほうが良いでしょう。

さて、その他の評価項目をクリアするための考え方については、次章以降でご説明します。


2.武器を手に入れる 🪓


さきほど、あなたの武器となる「評価項目」についてお伝えしました。本章では充足性以外の獲得方法をご説明します。

①論述の具体性

論述の具体性」を獲得するためには、「午後Ⅰ試験」や「午前Ⅱ試験」を活用します。

午後Ⅰ試験でITストラテジストの活躍する状況や行動を知り、そこで扱われるIT技術の意味や役割を午前Ⅱ試験で学びます。

順序が逆な気がしますか?
‥あとでその点についてもご説明します。


②内容の妥当性

「内容の妥当性」を獲得するためには、要綱や採点講評を参考にします。

要綱では、これでもかと「事業」について触れられています。個別の業務だけでなく、もう一段上の「事業」の目線が必要とわかります(目線の補正にも午後Ⅰが活躍します)。

もう一つの採点講評は、もう少し具体的です。
評価が低くなりがちな部分をしっかり書いてくれています。

採点講評はとても有用ですが、なぜか読む人が少ないです。
周りと差をつけるために、10年分くらいは読みましょう。

過去問の回答とともに掲載されてます。



③論理の一貫性

「論理の一貫性」については‥最初にお伝えしたこの図を引用してご説明します。

自分の行動を書ききるだけではなく‥

「ちゃんと目的達成できてるよね」というところが重要です。目的は、経営レベルでの課題を解消することです。
(たとえばテレビドラマでも、演技が良いだけでなく、ちゃんと複線回収してくれると一貫性がある気がしますよね‥)

その他の評価項目(洞察力など)は、字の読みやすさなどで印象が変わってしまうような「採点者の好み」に近い部分と思っています‥語弊はあるかもしれませんが、いずれにせよ適切に対策するのが難しい評価項目です。

まず確実に磨くべき武器は、充足度、具体性、妥当性、一貫性です。
その他のことは、それをやるうちに少しずつ磨かれます。

以上により、論述で勝つための武器獲得ルートは‥

試験要綱で合格者像を知る
②午後Ⅱの問題文で問われる内容をイメージする
③採点講評でイメージを補正する
③午後Ⅰでイメージを具体化する
④午前Ⅱで個別の技術や分析手法を学ぶ

となります。
午前Ⅱ→午後Ⅰ→午後Ⅱと順序良く進みたくなりますが、それだと学習効率が悪いです。

最難関の午後Ⅱへのフィードバックを続けるには、最初から午後Ⅱをイメージしておくことが重要です。

午後Ⅱの材料集めや補強のために午後Ⅰ、午前Ⅱに取り組むことをお勧めします。


3.自分を知ること 🥋

戦うべき相手(試験の全体像)を知り、戦うための武器(評価項目)を知りました。
つぎは、あなた自身を知る必要があります。

①どれくらいアウトプットできるか

定期的に、自分の頭の中にある情報を引き出してみることをお勧めします。
マインドマップや紙に、思いつくまま試験に関連するキーワードを書き出します。

キーワードの連鎖が3~5段階くらいまで止まらない状態にするのが理想です。たとえばこんな感じ。

・手作業→自動化→RPA→AI→リスク(こういうのも重要!)→リスク回避→業務担当者への妥当性確認→キーパーソン→アンケート→デルファイ法‥

出せるだけ書き出します。「正解」は必要ありません。
自分の中から言葉を引き出しやすくすることが重要です。
(つまり、連鎖のきっかけとなる最初の言葉は「試験問題によく出る言葉」であるほど良いです)



②どれくらい早く構成を作れるか

さきほど、問題文を引用することで充足性を獲得するとご説明しました。

論述試験は2時間で3,000字を書く試験です。
合格水準にある方のほとんどは、問題文を読みながら論文の構成を(半ば機械的に)作れる状態になっています。

先ほどお伝えした「キーワードの連鎖」もこの状態を作るための下準備です。

画像がつぶれてしまってますが‥どの参考書にも似たような情報が(より細かく)記載されているはずですので、今はイメージさえご理解いただければ十分です。

このような問題文と設問の分解・再構成を、30分くらいで出来るようになる必要があります。

この状態になるために、完璧な論文をたくさん書く‥必要はありません。
パソコンのメモ帳でいいので、過去問の問題文と設問を基にして、階層化された目次を作る練習が必要です。

その過程で、出題パターンもなんとなくわかってきます。
これが解ると、先ほどのキーワードの連鎖と相まって構成速度が向上します。



③どれくらい早く‥書けるか

ここまで来ると、最後は「手を動かす速度」の話になってきます。
極端な話、そもそも2時間で3,000字を書けなかったら合格できません。

3,000字を書くのに1時間30分かかるなら、構成にかけられる時間は30分。
1時間40分かかるなら、構成の時間は20分しかありません。

これを知るために、試験の1ヵ月前には手書きで1本書いてみることをお勧めします。
人に読めるような字を書く場合、速度を上げるのはそう簡単ではありません。2時間からの逆算が必要です。


以上、ここまでが「論述試験の取り組み方」です。

物足りない気もするかもしれませんが、冒頭でお伝えした通り、ひとつのコンテンツで合格できるような試験ではありません。

これから専門的な参考書や、経験豊富な方が語る動画など、敷居の高いコンテンツで学ぶ必要があると思います。

最初の足掛かりとして、このnoteがお役に立てば幸いです。

たまにこのnoteを振り返っていただけると、「ああ、あの参考書で言っていたのはこういうことか」と思っていただけると考えています。


4.SNSで評判のよかった情報

ここまでご覧いただきありがとうございます。
あなたの合格を心より祈っております。

最後に、SNSで評判の良かった情報を提供します。

論述は「採点者に読んでもらうもの」です。
あなたのお仕事が一般的でない場合など、前提知識なしで伝えるのが難しい場合もあります。

そういうとき、事業の説明ぶりを含めて他社の事例を参考にするのも「あなたの経験と考え」に含まれると考えて良いと思います。そんなときのための情報源を共有します。

※試験と無関係に、他社の改善例をみるとアイディアややる気が出てくるかもしれません。

・DX銘柄(実例が数値目標付きで見れます)

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/dx_meigara.html

・DXスクエア(DX銘柄の方がすき)

・DX白書(3章~4章のあたり)





終わりに、私の著書も紹介します。

試験の攻略法ではなく、なにかとモヤモヤしがちな論述試験をどう捉えればよいか。を中心にお伝えしてます。

勉強を始めたばかりの方にお読みいただくものではないので、気が乗らなくなってきたときに思い出していただけると嬉しいです。


最後までご覧いただきありがとうございました✨ 以下に記事はございませんが、良いと思っていただけたら購入お願いします。励みになります😌

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