エターナルサンシャイン

波打ち際で、君は1人だった。似た物同士だった。当たり前に惹かれあった。緑の髪が日差しで透けていた。笑いながら駆け抜けた。夜になって崩れた。僕たちは何かを忘れていた。それは昔のことだった。2人の出会い。当たり前の幸せが恥ずかしかった。波の音が彩った。声は遠くなった。車に乗せた夜、おんなじように笑っていた。いつかを探して頭の中を巡り巡った。目の前にいる感覚。全力で遠くにいる感覚。それを繰り返した。何度も繰り返した。掴めないと思った。ただ忘れたくなかった。君の髪は青くなった。そして再び出会った。車に乗せた。雪の中寝転がった。当たり前の幸せがあると思った。これからがあると思った。それを許してはくれなかった。誰もが全てを思い出した。特別だと思っていた。どこかで会ったことがあると。それは運命だと思った。2人は記憶を消していた。あれだけ側にいた。抱き合った。触れ合った。守り合った。互いに傷つけて離れていった。それでも全部忘れたくなかったはずだった。その先があると信じていた。過ごした時間が無駄だったと、苛立ったままに口走った。無駄だったから消したんだ。お互いが知っていた。泣きたくなかった。それでも覚えていて、見つめて、また泣いて。それで互いに許し合って向き合った。僕らはまた当たり前みたいに惹かれあった。記憶はいまや2人の中に。波打ち際を駆け抜けた。

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