39.お客様の卒業式を、念願の場所で…
私は、お客様の卒業式を迎えたことがあります。
「もう逢うのは最後にしたい」と告げられました。
私が一番悲しい瞬間です。
それでも、ちゃんと私に告げてくれました。
何もいわず自然消滅よりは、いいのかもしれません。
理由は、「ゆうのことを本当に好きになってしまったから」ということでした。
私たちの出逢いは、このレズ鑑賞クラブティアラ。
ここで出逢ったからには、それ以上を望むのはとても危険なことです。
それでも人間の感情は止められないものです。
好きになったら止まらないーー。
そのお客様は何度も気持ちを落ち着かせ、冷静になり、お店に通ってくれました。私といい距離感を保つ努力をして、一生懸命逢いにきてくれました。
その一途さに何度も胸を打たれたものです。
胸が締めつけられるような想いもたくさんありましたが、私にできることは、自分も気を強くもってお客様に寄り添うことだけです。
最後だというその日は、特別な場所で長時間のお泊りコース。特別というのは、私がずっと行きたかったホテルを予約してくださったから。
そこでいつものように本格的に交わるのではなく、ほとんどの時間を添い寝して過ごしました。
それが私たちの卒業式でした。
もう逢えないのかと思うとぐっと込み上げてくるものがあり、感極まるのを何度も食い止める……私にとっては、そしてきっとそのお客様にとっても、そんな時間でした。
卒業は、悲しいことばかりではありません。
私と逢わなくなっても、次の新しい生活がはじまります。
それが、お客様にとっていいことであれば止める必要もありません。
人生の区切りなんだと思います。
ここでいろんな経験をして幸せになった人は必ずいるはずです。
幸せをつかむための卒業です。
そんな幸せの一歩の準備、そういう場所だとも思っています。
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