12.高校の放課後に、女の子からの告白
私が女性を意識するようになったきっかけは、同級生の女の子からの告白です。クラスは、違いました。すごく仲がよかったというわけでもなく、いつも一緒にいるグループにもいませんでした。
時々近くにきて話しかけてくる程度のつき合いで、親切にしてくれるなぁぐらいにしか思っていませんでした。視線を感じて振り返るとしょっちゅう目が合うので、不思議だなとは感じていました。
物静かな雰囲気の子で、人見知りするせいか、学校ではあまり目立たないタイプでした。ちょっと病弱だったのかな。
ある日学校から帰ろうとすると、その子が私の教室の前で待っていました。
「一緒に帰ろ」といわれたときは、ちょっと驚きました。私は彼女の家を知らず帰り道が同じ方向なのかどうかもわかりませんでした。でも「ちょっと話があって」といわれると断る理由もありません。
きっと好きな男子の恋愛相談か何かだと思って私たちは一緒に歩きはじめました。その子はなんだか妙にもぞもぞしていたけど恋愛相談だと思い込んでいる私は、あえていつも通りのテンションで話しかけました。
ひと通り何気ない会話をしたあと彼女は突然、「あのね。あのね」とくり返すようになりました。何なの? と聞いてみると、男性に恋をしたかのような訴える瞳で、
「好きなの……」
と小さな声で伝えてきたんです。聞き間違えかと思い、もう一度聞き返しました。すると恥ずかしそうに、
「恋愛意識で、○○ちゃんが好きなの!」
と勇気をふり絞って告白してくれたんです。
そのとき私は、頭が真っ白で何も考えられませんでした。ただ、この子との友だち関係を終わらせたくなくて、「私は友だちでいたいんよ」と答えたんです。
その子にとってそれは、告白を断られたも同然だったのでしょう。ほとんど即答でそういった私を悲しい目で見て、笑いながら謝っていました。
あのときもっとじっくりその子の話をきいてあげればよかったなと、いまでは思います。きっと、もっと伝えたいことがあったはずだろうと。
それから月日が経ち、学生時代を終えた私は社会人として夢に向かって、夢だけを追って無我夢中で毎日を過ごしていました。できるだけ時給のいいアルバイトを探したかったため、ノルマのきついバイトやストレスの多い現場で働いていました。
そんななか、いつの間にか忘れていた女性への関心がまた生まれる出来事に出逢うんです。
当時私の周りにはなかなかいなかった、10歳ほど歳の離れた年上女性とのお話です。
20代前半の私はちょっと大人な気分を味わいたくて、知り合いとふたりで少し高級感のあるバーで飲むことにしました。
お酒が弱かった知人は終電で帰ることになり、ひとりは心細いけどもう少し飲みたくてバーに残りました。お金もそんなにないのにもう1杯、高いカクテルを飲んで帰ることにしました。
そのとき少し離れたカウンターに座っていたのが、その女性です。ここでは彼女の名前を、仮にタカコさんとします。