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アナログ備忘録。のようなもの 5



今回は枠線、それに使う画材について書いていきます。

・枠線

カラス口、ミリペン、ロットリング(製図ペン)などで枠線を引きます。今は枠線用のマーカーというものもありますね。
枠線の太さは0.8mmが標準的だと思います。1mmよりやや細めで、定規で合わせると1mmの目盛り内側にすっぽり入る太さです。
決まっているわけではないので、画面が濃く人物線が太い場合は太めにしたり、画面が白っぽかったり繊細な画面は細めの線にしたり、結局は作家さんの画面の好みですね。
回想シーンなどでよく使う2重線はミリペンの0.05mmで引いたりします。
昔、細い枠線はペンで引いていたこともありましたが、その都度、または人によって微妙に太さが変わりがちで難しかったので、ミリペンを使うようになってずいぶん楽になりました。
普通の枠線はカラス口で2重線や細い枠はミリペン、と使い分けていたことも多かったです。

・カラス口

カラス口は製図用画材で均一の線をきれいに引くのに適しています。
2枚の刃先が縦にパカッと開くものが英式、スライドして開くものが独式で2種類あります。
どちらも使い方は同じでネジを締めたり緩めることで引きたい線の太さを調整します。
カラス口の横から筆やスポイトでインクを刃先の方に注入します。多すぎると垂れてしまうので一度に入れすぎないように。
定規は裏側にしてエッジを下向きになるようにして使います。刃先が触れる定規と紙の間に隙間があるようにしないと、インクが伝って落ちてしまう場合があります。
線を引く手順は、最初まっすぐに紙に刃先を下ろし、そのあと進行方向にやや斜めにして力を入れずに定規に沿って一定の速度で線を引きます。
力を入れすぎると紙が傷つく‥というか切れてしまう場合もあるので注意。
使用後はインクを良く拭き取って錆びないようにします。

長く使っていると擦り減って形が歪んでくるので、研いで形を整えたりしていました。
刃先を閉じた状態で、砥石(オイルストーン)にオイル(機械油)を数滴たらして研ぎます。
初めに砥石に垂直に下ろし、そこから左右に弧を描く感じに動かして刃先を細丸い形に整えます。垂直に下ろした位置で固定して手首だけで動かすイメージです。
そのあと2枚の刃先それぞれの厚みの角度を整えます。
刃先に向かって薄くなるように、砥石に対して10゜の角度に刃を当てて8の字を描くように動かします。8の字というのは自分がやっていた方法なのですが、丸を描くのでも包丁などのように縦方向でも良いかもしれません。
もしかすると縦方向のほうが一般的な研ぎ方かも?
自分のときは、力が入りすぎないようにやさしく8の字を描くように‥と覚えたような気がするのですが。
ネジのある方の刃はその分角度を上に上げて、ネジをこすらないように注意します。
このとき鋭く研ぎすぎると紙を切ってしまうので、刃物にならない程度を心がけて研ぎましょう。
早々擦り減るものではありませんが、使って研いで・・を長年繰り返していると、だんだん刃先部分が短くなっていきます。
まるで包丁のようだな、と感慨深く感じたのを覚えていますが、限界はどのくらいなんでしょうね。
私は厚みの傾斜部分が「研ぐには分厚すぎないか?」と感じた時にそのカラス口を引退させました。まるで包丁を研ぐみたいに気合を入れて研いでいたのですが、こんなに傾斜をつけないといけないくらい厚い部分はもう刃先じゃないのでは?と思った次第です。
あの頃は漫画の枠線はカラス口で引くものだと思い込んでいました。
引いた線の縁がシャープなので好きでしたが、何しろ手間がかかりますね。
ちなみにカラス口は円が描けるコンパスのタイプもあります。

改めて名称や部品の名前を調べてしまった;

・ロットリング

ロットリングはラピットグラフ(カートリッジ式)とイソグラフ(インク注入式)があります。
ずっと均一な線が引ける万年筆のようなイメージでしょうか。
どちらも時々インク交換や注入が必要ですし、ペン先部分のニブが汚れて詰まった時などには洗ったりする手間がかかりますが、使っているうちにペン先がだんだん開くことはありません。
つけペンのように線を引くときの力加減などで太さを変えることは出来ないので、描きたいサイズのロットリングを使う必要があります。

ロットリングも線を引くときに傾斜させすぎない方が、インクがきちんと出て本来の幅の線が引きやすくなります。
つけペンやミリペンよりもインクの出かたがやや遅めな感じなので、ゆっくりめに線を引いたほうが安定してインクが出ます。
とは言え停止しているとインクがダマになってしまうので、そのあたりの加減が必要です。

ラピットグラフのホルダー後部はレンチになっていて、カートリッジからニブ部分を取り外すときに使えるということを最近になって知りました。
今まで長年、力業で手を汚しながら交換していましたよ。説明書を最初に読んでおくのは大事ですね。
イソグラフの方もインクを注入してその後はめ込む時には手にインクが付いてしまうので、このレンチみたいなものが欲しいのですが。

インクを出すときに軽く振るとカタカタと音がするのが、インクを出している感じがしてちょっと気に入っていました。
あれはインクが固まらないように攪拌する仕組みのようですね。

そういえば昔使っていた時だと0.1mm~0.2mmくらいの細さだと白インクはすぐ目詰まりしてしまったのですが、現在はインクの色によって詰まりやすいとかあるのでしょうか。
ロットリングの白インク、とんと使わなくなりました。

・他にも

ペン先を好みのサイズにカットをして枠線用のペン先を作り、太い線を引くという手法もありましたね。
丸ペンなどの先をカットして使ったことがあります。
回想シーンなどに使うような細い枠線を引くとき、線を描く強さを一定に保つように力やスピードを調整して、均一の線を引くのが大変でした。
カットしたペン先はそれよりやや調整がマシ、というかむしろ力を入れないで線を引いたほうが良いのですが、それはそれでコツをつかむのが難しくて苦手でした。

カットして自作と言えば、竹ペンのような書き味の割り箸ペンを思い出します。割り箸ペンなんて知っている人はいるでしょうか。
竹ペンより手軽に割り箸を自分で削って作るペンです。
ムラがあったりちょっとかすれたり、という味のある線が引けます。
柔らかさは無いので滑らかな線は引き難いです。
シャープではないけれど強い線が描けるので、ガシガシした画面や絵手紙などに向いているかも?

ずっと昔、作ってみた時「削っただけなのに意外と線が描けるものだな~」と思いました。ちなみに擦り減ったり先が潰れるのは早かったですね。
ひとしきり遊んだ(笑)記憶があります。
竹ペンは当時、身近に素材が無くて自作したことはなかったのですが、今では販売しているようですね。
枠線には向いていませんが、こんなものもあったなとメモ的に書いてみました。

次回からいよいよ画面効果線などに入ります。
どきどき。


参考サイト


ロットリング公式HP
https://www.rotring.jp/
ホルベイン公式オンラインショップ
https://holbein-shop.com/?mode=grp&gid=1798473
武蔵野美術大学造形ファイル
http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E7%83%8F%E5%8F%A3/
ウチダドラフトドットコム
http://www.uchida-draft.com/product/05_karasu/index.html
ゼブラ公式サイト
https://www.zebra.co.jp/pro/shusei/
デリータ―公式サイト
https://deleter.jp/lineup/pen
Too漫画の描き方・道具のまとめサイト
https://www.too.com/manga/pen.html
株式会社立川ピン製作所
https://tachikawa-net.jp/pen/features
芳栄堂
https://nasushiobara-hoeido.com/index.php?FrontPage
たかじいちゃんのペン軸ペン先屋さん‘s shop
https://fril.jp/shop/a14ceeabfd4a8d5556a8f4c3a922ef95
ぺんてる株式会社HP
https://www.pentel.co.jp/
開明株式会社
http://www.kaimei1898.com/index.php
ゼブラ株式会社
https://www.zebra.co.jp/
株式会社サクラクレパス
https://www.craypas.co.jp/index.html
株式会社G−Too (ジー・トゥー)
https://www.icscr.jp/

上記サイトを参考にさせていただきました。
記憶だけでは名称や仕組み、数値などその他とても無理なので改めて確認と勉強し直させて頂きました。
ありがとうございました。

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