アタック25の話(4)

祖母を亡くしてからはクイズのことは何も考えられなかった。月一回くらいゲームセンターでクイズゲームをするくらいで、約束(アタック25と僕(3)参照)を守れなかったという思いは「もう勉強してもしょうがない」という悪い方向へ向いてしまっていた。

と同時に、この時期はクイズどころではなかった。転職したためである。祖母に何もしてやれなかったという思いから、介護職の道に進むことにしたのだ。年齢的にリスクの低くない行動ではあったが、これから必要にされる仕事なのは間違いないと思い決断した。そこからは仕事一筋だった。休みの日は家でゲームか友達とカラオケか大須で遊ぶかぐらい。クイズと関わることは非常に少なく、それこそ日曜日のアタックを観るくらいだった。

ある日のこと。職場であったグループホームのテレビが偶然アタック25になっていた。観たかったが、仕事中ということで、音声を聴きながら分かったら答えをつぶきながら手を動かしていた。その動きが管理者(直属の上司)に見られており、声をかけられる。

管「クイズすごい正解していたけど好きなの?」
僕「あっはい。この番組予選にも何度か行ってまして」
管「すごいじゃん!また予選出ないの?」
僕「いやー、通過できるか分かりませんし、予選は大抵土日開催なのでシフト的に無理ですよ」
管「そんなの私が変えるからいいよ!出たら?」

気遣いがとても嬉しかった。そして、自分の心の奥底に封印されたような格好となっていた『夢』を叶えようという意欲が戻ってきた。勉強は相変わらず自己流だったが、高いモチベーションのためか楽しくて仕方がなかった。久しぶりに臨んだ筆記試験。1回目通過はできなかったものの、2回目は通過。手応えを感じていた。もしかしたら今度こそ…という思いもあった。…この時までは。

つづく

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