『天気の子』を観てきたよ(59日目)

新海誠監督『天気の子』観てきた。面白かったです。以下箇条書き感想。
なお例によって全力でネタバレしますのでご注意ください。

・セカイ系セカイ系言われてるのでどんなもんかと思ったらセカイ系だった。とか言いつつセカイ系のことあんまよく知らないんですけど「世界の命運と好きな女の子を天秤にかけられて好きな女の子を選ぶ男の子の話」という理解でよければものすごくセカイ系だった。

・とはいえ壊滅するのは世界ではなく東京であるのだった。しばらく前に「東京幻想」っていう人が描いた、都内の有名な場所を廃墟化させた絵が流行ったけども、今作での水没した東京はその感性に非常に近いものを感じる。「Pixiv的な廃墟」としての東京。
それとセカイ系の帰結としての世界壊滅が接続された結果、ラストが廃墟で祈るファムファタルとしての女子高生、という最高にセカイ系かつPixivっぽい画面となる。
その光景の成就をコントラストの強い色彩の背景の源流ともいえる新海誠が描く、というのはなんだか円環が閉じたような因果を感じる。

・『君の名は』以上の東京都心観光アニメで、知ってるとこばっかり出てきて、それこそこの映画観てる映画館の外の通りとかも出てきて、「映画館出たら自動的に聖地巡礼」状態になってちょっとウケた。このへん、都心限定だけど作品鑑賞を体験化して語って拡散させずにはおれなくしてしまう、ものすごーくマーケティング的に巧みなやり方だよなー。

・舞台は2021年の夏なんだそうだ。あまりにすぐくる未来である2019年ではなく、オリンピックがノイズとしてでかすぎる2020年でなく、でもほぼ今の東京のままである2021年、というのは理屈からしても納得がいくんだけど、世界のあり方が変わってオリンピック開催地である東京がそのあたりから沈んでいくことにもなんとなく納得いってしまう今日この頃ですね。
ちなみに小松左京『日本沈没』が刊行されたのは1973年、高度経済成長が終わりつつある頃合いだったそうです。

・マコンドだ!と叫んだのはおれだけではないはずだ。

・穂高くん、あんだけやるからにはどれだけ島で酷い目に遭ってきたんだろうと思ったらただ単に若気の至りなだけだったんだがそれはいいのだろうか……。
というか穂高くんは「引鉄を引けてしまう人」であり、まあそれができずして世界と引き換えに陽菜を救うことなどできないのだろうけど、爽やかな顔してわりと怖い人ではある。

・あの鳥居は早いとこSCP財団が収容すべき。

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