夢に出てきた人たち(25日目)

昨晩はひどくいろんな夢を見た。
目覚めてすぐに全ての脈絡は失われて、断片的な場面がちらちらと浮かぶだけだ。
テナントに書店が入っている大規模タワーマンションに住んでいたり、SCP財団のような異常オブジェクトの管理業務をしていたりしていたのはうっすら覚えている。

もうひとつ覚えているのは、知人が3人出てきたことだった。

ひとりは大学時代からの友人。当時一番仲の良かったひとりだったのに、卒業後なんとなく没交渉になっていたが、少し前からまた縁が繋がってたまに飲む関係に戻れた。没交渉になるきっかけは自分の無神経な一言だったんじゃないかと思っているが、お互いそれを口にしたことはない。

もうひとりは、所属していたコミュニティでハラスメント加害者になっていたと言われる人。本人にその自覚が一切なく、注意深く観察したつもりでもそういうハラスメント行為を直接観測することはできなかったが、被害を訴える人は確かに存在した。結局その人は無自覚なままコミュニティを去った。

最後のひとりは、そのコミュニティ内でいっとき親友と呼べるくらい仲が良かった人。ある時期からなぜかきつく当たられるようになり、そのあと色々人間関係がこじれきってほぼ完全に断絶してしまった。よほどのことがないともう関係は戻らないと思う。

その3人がなぜか仲よさそうにコンビニで買い物をしている場面があった。
夢の中でも自分はそれを見ながら「なんでこの3人が一緒にいるんだ?」と思っていた。
すべての不自然が自然と受け入れられる夢の中でさえ、その光景は不自然なもので、でも絶対に夢の中でしか見ることのできない光景でもあった。

目覚めてからも、なんとなくその光景が胸に引っかかっている。
引っかかっている棘は、すべてのわだかまりが消えたユートピアへの憧憬なのか、その後にくるだろう崩壊への恐れなのか。
3人全員、おれとしてはあまりシンプルでない感情を抱いている相手だから当たり前かもしれない。
でもなんだか、奇妙な、行き場の見つからない切なさにずっと囚われている。

夢というのは、PCでいうデフラグだとか、ディスクのクリーンアップみたいなものなのかもしれない。
記憶の貯蔵庫に眠っている光景の整理と処分。
夢で見る光景はその歪んだプレビューだ。
目覚めたあとも覚えているのは残す記憶、忘れてしまうのは消す記憶だったりするのだろうか。
それを判断できるのは、自分自身の意識でなく無意識なのだろうけど。

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