小学校とユポ(32日目)

参院選の投票に行ってきた。
投票することの意義については、他の人がもっと正しく深く語ってくれているからここでは特に言わない。
昔は自分もわりと政治のことを遠ざけたい気持ちが強かったが、ここしばらくはそうも言ってられない状況になってきたし、選挙というのは「好きな人を選ぶ」のではなく「マズそうなメニューの中からかろうじて食べられそうなものを選ぶ」ようなものだとわかってからは、必ず行くようになった。

ただ期日前投票は一度もやったことがない。
投票所で投票する、という行為がけっこう好きなのだ。
理由は月並みだけど、投票所に行くのと投票用紙に触るのが楽しみだから。

自分の住んでいる地域では小学校が投票所になっている。
自分が通っていたところに比べるとずいぶん小さい建物だけど、生徒数も少ないのでキャパシティとしては問題ないらしい。
ふだん生きている世界より、全体的に少し小さい、ジオラマめいた空間。体のでかいアメリカ人が日本に来たらこういう感覚を味わうのだろうか。
娘を連れて行くと、真っ先にアスレチックや鉄棒のところへ走っていく。ジャングルジムはまだ1段目までしか登れない。
でも近い将来、娘はこの学校に通うことになる。いずれはジャングルジムの最上段に立つ日も来るだろう。
今を懐かしむ準備をする、という楽しみも個人的にはあったりする。

紙についてはもうネットで調べてもいろんな記事が出ているから細かくは言わないが、投票用紙に使われている、木材パルプでなくポリプロピレン樹脂が原料のユポに文字を書く機会なんてこの時くらいしかない。
開票者からすれば耐久性と耐水性が強く、折っても元に戻りやすいので開票が楽という実用性があり、投票者としてはふつうの紙ではなかなか味わえないすべすべな手触りが気持ちいい。
こんな合理性と特別なマチエールを備えた物体をタダで触って書いて折れるなんて機会、逃すのもったいないじゃないですか。

で、終わったあとは家族で外食、というのはモーニング娘。が残した偉大なる文化なわけですが、今日はリクエストにより宅配ピザにした。
体調は悪かったが、何か完璧な流れが投票から昼食までの一連の時間に流れていた。

そろそろ結果が出揃ってきて、しようと思えばいくらでも絶望できるわけだけど、吉田健一よろしく自分の生活を美しくしてそれに執着していきたいところであります。


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