糞で稼いだお金によって滅びた国々

鳥の糞で宝島になった「ナウル」

「この世の全てのものが全部タダだったら、どんなに暮らしやすいだろうか?」と人々は時折考える。ところが、このような想像が現実として成された国があった。その国はまさに「ナウル」である。オセアニアの東方に位置する小さな島国ナウルは、面積が21㎢で汝矣島(ヨイド)の2.5倍程度の大きさに過ぎず、人口も1万人余りに過ぎない、世界でバチカン、モナコに次いで3番目に小さな国だ。

しかし、1980年代に米国と日本の1人当たり国民所得が1万ドルに過ぎなかった時、ナウルの1人当たり国民所得は3万ドルを越える超富裕国だった。当時、ナウル国民は生活に必要なすべての衣食住を国から無料で提供された。税金もなく、医療費も、住宅も、学費もすべて無料であった。ナウル国民は自家用飛行機でハワイに買い物に行くなど、あふれるお金をじゃかすか使うのに大忙しだった。彼らは仕事をする必要がなく、ドル貨幣をトイレットペーパーとして使うほど贅沢な生活を享受した。

ところで、彼らがこのように豪華な生活を享受できたのは、ただナウル島全体を覆っていた鳥の糞のおかげだった。海を行きかう渡り鳥は中間休憩所となる島に立ち寄って糞をして、その糞は何千年もの間積もってサンゴ層と結合し、リン鉱石に変わった。リン鉱石は、化学肥料の主原料として使用されたり、医薬品、半導体、シルク、防虫剤、爆薬などに使用されたりする資源である。このリン鉱石は、石油よりも高く売れ、ナウルは一日にして宝島に変わってしまったのである。

糞のせいで滅びる

しかし、栄華は一時だけだった。1990年代初めにリン鉱石が底をつき、ナウルの祝福は呪いに変わってしまった。リン鉱石の無作為採鉱によって森と農地が荒廃し、数十年間、外国人労働者にすべての仕事を任せていたせいで、ナウル国民は働く能力を失ってしまった。仕事はしないのに食べるのはしっかり食べるので、国民のほとんどが肥満になり、糖尿病に苦しんだ。

結局、1980年代に国民所得3万ドルの最富裕国であったナウルは、現在失業率90%、1人当たり国民所得2500ドルのみすぼらしい貧困国に転落してしまった。現在、ナウルは国家の生存のために、タックスヘイブンの提供、外国人に対するパスポート販売など、何とか生き残るためにもがいているが、状況が改善される兆しはあまり見られない。しかも、長く続いたリン鉱石採掘によって島の高度が低くなり、島が海中に沈む危険にもさらされている。

糞のせいで栄え、滅びたもう一つの国「ペルー」

ところで皮肉なことに、このように糞のせいで栄え、滅びた国が、もう一つある。ほかならぬペルーだが、1842年、ペルーは長いあいだ海鳥やコウモリなどの排泄物が積もり、「グアノ」という肥料の原料を欧州に販売して、南米最高の富国に成長した。しかし、ペルーは稼いだお金でサトウキビ畑に投資し、まだ掘り出していないグアノを担保に莫大なお金を借りたが、干ばつですっかり駄目になると、モラトリアムを宣言してしまった。ところが、さらに悪いことに、隣国のボリビア-チリ間の戦争でボリビアの味方に立ったが、ペルーのモラトリアムによって被害を被った英国がチリを支援すると、結局ペルーは首都まで奪われて滅びてしまう。歴史はこの戦争を太平洋戦争または鳥の糞戦争と呼ぶ。

糞もお金になる皮肉な世の中

このように、世の中は糞もお金になる皮肉な世の中である。ナウルやペルーとは多少異なるが、1959年に大量の天然ガス発掘で莫大なお金を稼いだオランダが、1970年代に結局景気後退の一途を辿ると、学者たちは資源が開発された後、むしろその国の経済が低迷する現象をオランダ病と呼んだ。ならば、ナウルやペルーのように糞でお金を稼ぎ、糞で滅びたこれらの国は、どんな病にかかったと言えるのだろうか…

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