問題を解いてくれる解決策

休まず空を飛ぶのに疲れた一羽のツバメが、高い柱の上に立っている銅像を発見した。仲間のツバメたちはみんな温かいエジプトで冬を過ごすために旅立ったが、美しい葦に心を奪われて仲間たちと一緒に旅立つことができなかったこのツバメは、今夜だけ過ごしてエジプトに行こうと決心した。

ツバメが銅像の下に身を縮めたまま、翼の下に頭をうずめた瞬間、大きな水滴がツバメの上に落ちた。雲一つない星が輝く天気なので雨が降るはずがないのにと思いながら上の方に上っていったツバメの目には、意外の情景が広がっていた。王子の銅像の目に浮かんだ涙がほおを伝って流れ落ちていたのだ。

月光に映った王子の顔はあまりにも悲しく見えた。王子は都市の各地で起きている人々の貧困と飢えで苦しむ悲惨な姿に涙を流さざるを得なかった。生きて宮殿の中で暮らしている時は、何の煩いや心配もなく、悲しみを知らずにみんなが幸せだと思っていたけれど、息を引き取って銅像になり、都市を一目で見下ろすようになって城壁の向こうに広がる世界が完全に見え始めたのだ。

王子はツバメに切実に頼んだ。自分の刀の柄にはまっているルビーを抜き出して、あのかわいそうな女性に持って行き、サファイアでできている自分の目を抜き出して、疲れ果てて眠っているあの若者に持って行き、王子の体をまとっている金箔を一枚、一枚はがして、飢えと貧困に苦しんでいる人たちに分けてあげてほしいと。

ツバメは王子の頼みを聞いてあげるために、エジプトに旅立つことができなかった。しかしツバメのおかげで新しい世界が開かれ始めた。血の気がなかった子どもたちの顔に生気が戻り、陰気だった路地に笑って飛び回って遊ぶ子供たちで満ち溢れ、人々は寒さを乗り切ることができる毛糸の服を着て街を歩き回るようになった。奇跡のようなことが起きたのだ。

1888年に出版されたオスカー・ワイルドの童話『幸せな王子』という話だ。

オスカー・ワイルドが『幸せな王子』という童話を通して伝えようとしたメッセージは、単純な王子の人間愛ではなかった。貧しい人たちを助けようと自分の目まで喜んで犠牲にした王子は、これ以上世界を見下ろすことができなかった。王子は自分のそばを離れなかったツバメに話した。「ツバメよ、この都市を飛び回りながら見たことを話してくれ」これは慈善活動だけで状況を変えることができなかった現実において、オスカー・ワイルドが見つけ出した新たな解決策だった。

現代社会は人間関係に起因する各種の葛藤だけでなく、コロナの問題、政治的な葛藤、貿易紛争、宗教的対立、人種的葛藤など解決しなければならない問題は数え切れないほど山積している。しかしこのような問題を解決する根本的な解決策が明確にあるとは言い難い。

『幸せな王子』において、ツバメがエジプトに旅立てないように阻止したのは銅像の切実に願う涙だった。ツバメは霊性を象徴する鳥だ。スカンジナビアにはイエスが十字架につけられて亡くなった時、ツバメが飛んできて人々を慰めるように'console、console'といって鳴いたという話もある。慰めるという意味を持つconsoleは、ツバメの鳴き声として使われる擬態語でもある。

すべての問題解決の糸口は切実さだ。神様が霊性の涙を流す人の祈りを聞き入れ、すべての問題を解決して下さることを心から願ってやまない。

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